AppleがカナダのAIスタートアップ「DarwinAI」を2024年初頭に買収していたことが、海外メディアのBloombergによって報じられました。この取引は公式に発表されていませんでしたが、すでにDarwinAIから数十人のスタッフがAppleのAI部門に加入したとのことです。

Apple (AAPL) Buys Canadian AI Startup DarwinAI as Part of Race to Add Features - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-03-14/apple-aapl-buys-canadian-ai-startup-darwinai-as-part-of-race-to-add-features



Report: Apple Acquired Canadian AI Startup DarwinAI

https://www.pymnts.com/artificial-intelligence-2/2024/report-apple-acquired-canadian-ai-startup-darwinai/

Bloombergが接触した匿名の関係者によると、Appleは2024年初頭にDarwinAIの買収を行い、数十人のスタッフがAppleのAI部門に移ったとのこと。ウォータールー大学のAI研究者で、DarwinAIの共同創業者でもあるアレクサンダー・ウォン氏は、AIディレクターとしてAppleに加わったとBloombergは報じています。

今回の取引についてBloombergがAppleに問い合わせたところ、「私たちは時々、小規模なテクノロジー企業を買収することがあります」と述べたものの、DarwinAIの買収については言及しなかったそうです。

カナダのウォータールーに本拠を置くDarwinAIは2017年に創業されたAIスタートアップで、プリント基板(PCB)の製造工程における外観検査をAIで改善するサービスを提供しています。CEOを務めるシェルドン・フェルナンデス氏は2022年の資金調達時に、「私たちは、AI・ハードウェア・ソフトウェアを組み合わせて、エレクトロニクス製造工程に統合しやすいシステムを構築した企業がなかったことに気づきました。検査ユニットとデータ分析を容易にすることで、顧客は新しい場所に検査ユニットを設置し、返品製品の検証・工程の監査・遡及的品質検査といったまったく新しい機能を実現できます」と述べています。

しかし、Bloombergは「DarwinAIの中核技術のひとつは、AIシステムの小型化と高速化です」と述べ、AppleがDarwinAIを買収した目的はPCB検査ツールではないと指摘。Appleはクラウドではなく、iPhoneなどのデバイス上で動作するAIを追求しているため、DarwinAIが持つAIシステムの小型化と高速化のノウハウが有用だというわけです。



Appleは2016〜2020年にかけてAI関連企業の買収を多数行いましたが、マルチモーダルAIの「Gemini」を展開するGoogleや、ChatGPT開発元のOpenAIと提携するMicrosoftなどの競合他社と比較すると、記事作成時点では目立ったAI製品をリリースすることができていません。その理由については、AI開発部門の機能不全や幹部のAIに対する野心の欠如、AIに対する慎重な姿勢などがあると指摘されています。

Appleの慎重さと開発チームの機能不全が音声アシスタント「Siri」とAIの取り組みを妨げているとの指摘、AIの新時代に乗り遅れる懸念も - GIGAZINE



しかし、依然としてAppleはAI開発に多額の投資を行っており、生成AIのトレーニングのためにさまざまなメディアと複数年契約について話し合ったことも報じられています。

2024年にリリース予定のiOS 18には、「ChatGPTやGeminiなどの大規模言語モデルに基づく新しいSiri」「Pages、Keynote、NumbersとAIの統合」「AIを用いたメッセージアプリでの自動入力」「Apple Musicで自動でプレイリストを作成してくれるAI機能」など、さまざまなAI関連機能が搭載されるとウワサされています。

「iOS 18」で登場するとウワサされている新AI機能まとめ - GIGAZINE