初年度産駒ですでに5頭の重賞馬 フィリーズレビュー覇者の父は血統も素晴らしく
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返るフィリーズレビュー
【Pick Up】エトヴプレ:1着
父トゥーダーンホットは現役時代、サセックスS(英G1・芝8ハロン)など3つのG1を制し、カルティエ賞最優秀2歳牡馬、同3歳牡馬に選出されました。その母ダーレミはブエナビスタを破ってドバイシーマクラシック(首G1・芝2410m)を制覇するなどG1を3勝、2代母ダララは名馬ダルシャーンの半妹でヴェルメイユ賞(仏G1・芝2400m)の勝ち馬。世界最高レベルの良血といって差支えないでしょう。父系はドバウィ→ドバイミレニアム→シーキングザゴールド→ミスタープロスペクターとさかのぼります。
現3歳が初年度産駒で、本馬を含めてすでに5頭の重賞勝ち馬を出しており、昨年の英愛新種牡馬ランキングではブルーポイントに次ぐ第2位。馬体のサイズは小さめですが、血統も産駒成績も素晴らしく、これから産駒の輸入が増えることが予想されます。現2歳の血統登録頭数は6頭です。
母ナフードはファルマスS(英G1・芝8ハロン)とロウザーS(英G2・芝6ハロン)を勝った一流馬で、産駒の重賞勝ちはこれが初めてです。
トゥーダーンホット産駒はいまのところスピードタイプが目につき、産駒が勝った7つの重賞のうち6つが7ハロン以下。エトヴプレの鞍上藤岡佑介騎手も「1400mがギリギリ」とコメントしているので、次走の桜花賞は展開に恵まれることが条件でしょう。
◆血統で振り返る金鯱賞
【Pick Up】プログノーシス:1着
GII以下の芝2000m戦では6戦5勝。唯一敗れた一昨年の中日新聞杯は、1000m通過61秒9の超スローペースにもかかわらず、後方追走→外を回るという厳しい競馬だったので、4着と敗れたのは致し方ありません。この条件では安定しています。金鯱賞は2連覇。ディープインパクト産駒は同レースで7年連続連対となりました。
チェヴァリーパークS(英G1・芝6ハロン)を勝ったヴォルダ(父オーペン)の半弟。ディープインパクト産駒の一流馬は、母がアメリカ血統主体の馬が多く、とくにノーザンファーム生産馬はその傾向が強めです。一方、社台ファームは昔から欧州志向であり、ヨーロッパ血統を抱えた母から誕生した馬が目立ちます。母ヴェルダはイギリス産馬で、母の父オブザーヴァトリー、2代母の父マークオブエスティームは、いずれもクイーンエリザベス2世S(英G1・芝8ハロン)の勝ち馬。前者はほかにイスパーン賞(仏G1・芝1850m)を、後者は英2000ギニー(G1・芝8ハロン)を制しています。
GIレースは海外の2戦を含めて2、3、5着という成績ですが、今回のパフォーマンスを見るかぎり、いずれ壁を越えられるのではないかとの期待を抱かせます。ヨーロッパ血統をベースとしているので、多少馬場が渋っても問題ないのは強みです。