この記事をまとめると

■日本の自動車メーカーのクルマながら、海外専売というモデルが存在する

■海外市場ではヒットしているモデルもあるほか、並行輸入をして日本で乗っている人もいる

■日本にはないキャラクターなことが多く、導入したらヒットする可能性も大いにあり得る

日本のメーカーが手がける日本で売ってないクルマたち

「あったらいいな、できたらいいな」は、なにものびちゃんの専売ではありませんよね。我々クルマ好きだって「あったらいいな」ってクルマが少なくありません。すなわち、日本の自動車メーカーが海外だけで売っていて、国内発売していないクルマのこと。

 たしかに、サイズが大きかったりニーズが薄めだったり、導入しない理由もあることでしょうが、それにしても魅力的、欲しくなるクルマがあるのは事実! そんなモデルをピックアップしてみました。

ホンダ・パイロット

 北米ホンダがリリースする大型SUV「パイロット」は、2002年に初代を発売して、現行で4代目というヒットモデル。トピックとしては、北米ホンダ史上で最強となる295馬力を発揮する新型3.5リッターV6エンジンを搭載したことでしょうか。

 ご覧のとおり、直立した大型グリルや、力感あふれるオーバーフェンダー、そしてアメリカ人が好む長大なボンネットフードなど、これまでのパイロットが踏襲してきたスタイリングを、これでもかとアップデートしてきました。

 全長が4823〜5085mm(グレードによって変わります)、全幅1994mmというサイズですから、当然3列目シートを装備しつつ、ラゲッジスペースも最大1863リットルというビッグサイズ。これならグランドキャニオンでファミリーキャンプなんていうのも楽勝かと。

 また、ドライバーが障害物を発見するのをサポートするトレイルウォッチカメラシステムや、トレイルトルクロジックとよばれる悪路が得意な4WDシステムなど、本格的なトレイルドライブにも対応しています。

 昔から、ホンダの大型SUVは国内導入してもイマイチ売れ行きがよくない印象ですが、この最新パイロットなら、ランドローバーやゲレンデに飽きたユーザーを獲得できそうなんですがね。

日産(インフィニテイ)Q60

 フェアレディZと並んで、北米で手堅い売れ行きを示しているのがインフィニテイQ60。ご存じのとおりスカイラインのクーペで、搭載エンジンもほとんど日本のスカイラインと同系となります。当然、日本で人気の400Rと同じく405馬力を発揮する3リッターV6ツインターボ(VR30DDTT)を搭載した「RED SPORTS(レッドスポーツ)」なんてグレードもライアンアップしています。

「400Rがあるんだから、それでいいじゃない」というのは、クルマのことをよく知らない奥さん連中のセリフ。あっちは4ドア、Q60は2ドアクーペですからね。仮にGT-Rが4ドアだったりしたら、ここまで人気は出なかったはず。それだけ、クルマ好きにとってドアの数というのは重要なファクターに違いありません。

 なお、Q60をはじめインフィニティの正式な導入こそないものの、並行輸入で手に入れることは可能でしょう。北米向けとはいえ、基本設計やエンジン製造は日本で行っているのですから、機関的な心配も少なくて済みそうです。

 ただし、正規ディーラーでは門前払いをくらう覚悟は必要かと。もっとも、そうしたリスクを背負ってでも欲しくなるのがQ60ではないでしょうか。

これだったら日本でも売れるはず!?

トヨタ・シエナ

 全長5m、全幅2mを越えるとなるとさすがに日本で活躍する場面は少ないかもしれませんが、「そんなアメリカンサイズこそ欲しい!」というユーザーも少なからずいらっしゃることでしょう。それだけ、北米トヨタのシエナは魅力的なファミリーミニバンなのです。

 シエナはアメリカでエスティマの後継モデルとして連綿と作りつづけられ、2021年には省エネ&ゴージャスなクルマの称号「ファミリーカーグリーンカーアワード」まで受賞。それもそのはず、2.5リッター直4エンジン+ハイブリッドシステムで、システム最大出力243馬力を発揮しつつ、前輪駆動モデルなら、EPA(米国環境保護局)燃費36MPG(約15.3km/L)と優秀な燃費性能を誇るのです。

 これなら十分にアルファード&ヴェルファイアと勝負できそうな気がするんですがね。たとえば2列目キャプテンシートには、スーパーロングスライド機能が備えられ、前後に635mmもスライドしてくれます。オットマン機能と組み合わせて使用すれば、アル/ヴェルクラスと同等の快適さが得られること請け合い! なんですがね。

 なお、こちらは北米トヨタが独自に設計開発したモデルで、日本には同系異種は存在しません。そのあたりも、欲しい気持ちをくすぐってくれますよね。

三菱パジェロスポーツ

 国産クロカンの代名詞だったパジェロもいつの間にか国内から姿を消していて、これまたいつの間にか海外でその名前が復活していました。これは、先ごろ日本に正式導入されたピックアップトラック「トライトン」のフレームシャシーの上に、4ドアキャビンを架装したもので、東南アジア向けとされています。

 もともとパジェロは初代から2代目までがラダーフレーム、3&4代目がラダーフレームにモノコックボディを溶接して架装するという方法だったので、流用シャシーといえども抵抗感を覚える方は少ないはず。また、ボディにしても、最近の三菱デザインが反映されており、エクリプスやアウトランダーのユーザーなら上位互換を望んだとしてもおかしくありません。

 もっとも、パジェロを国内で復活させずとも、三菱SUVはわりと盤石。エクリプスクロス、アウトランダーに加え、デリカD:5やデリカミニだって売れていますからね。国内導入はトライトンの売れ行き次第、といったところでしょうか。

 ちなみに、トライトンにしてもパジェロスポーツにしても、東南アジアでは最上級のステイタスモデルだそうで、富裕層は親族向けの小型車まで三菱で統一しちゃうくらい。なるほどアジアのセレブは、なかなかセンスがいい感じです!