【海外発!Breaking News】幼い頃に困難を乗り越えた2羽のペンギン 互いに支え合い、絆が生まれる(英)
先日、当サイトでは、イギリスの鳥類園にて目が悪い仲間をガイドするケープペンギンについてご紹介した。この鳥類園にテックインサイト編集部が取材を依頼したところ、2羽が最高のコンビになるまでに乗り越えてきた試練や2羽の絆など、同園スタッフから貴重な話をうかがうことができた。
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英サリー州ファーナムにある鳥類園「バードワールド(BirdWorld)」では、フクロウやフラミンゴ、オウム、ペンギンなど、様々な鳥類を飼育している。今回注目を集めたのは、53羽から成るコロニーの中で過ごしている、ケープペンギンのメス“スクイッド(Squid)”とオスの“ペンギン(Penguin)”だ。
スクイッドは生後わずか数週間で、両目に白内障の兆候が現れ始めた。この影響で視力が悪くなってしまったが、それ以外は問題なく、両親のもとで健やかに育った。しかし親元を離れてから独立してコロニーの中で上手くやっていけるのか、巣立ちしたばかりのスクイッドを飼育員は注意深く見守っていた。
一方で“ペンギン”も幼い頃、困難に直面していた。同園で「リビング・コレクション・マネージャー(飼育鳥類の管理責任者)」を務めるポリー・ブランハムさん(Polly Bramham)は、“ペンギン”について「視力は問題がなかったのですが、ヒナの頃に重い病気を患いました。多くのケアや医療措置を必要としたため、飼育員の手で育てられなければならなかったのです」と説明する。
同時期に生まれた2羽は、それぞれ幼少期の厳しい状況を乗り越え、ほとんど同時にコロニーの中で一人前のペンギンとしてのスキルを磨き始めた。「“ペンギン”は自信に満ちていて穏やかな気質を持っていますが、スクイッドは短気で活発です。スクイッドは部分的な視力を使ってうまく対処することを学んできましたが、主な課題は餌を食べることでした」とポリーさんは話す。エサの時間にはたくさんのペンギンたちが集まり、口ばしを使ってエサの魚を奪い合うため、スクイッドはその口ばしが誤って自分に当たってしまうことを恐れて尻込みしていたのだ。
ところがしばらくすると、落ち着いて上手に飼育員からエサをもらう“ペンギン”の口から、スクイッドがエサの魚を奪うような行動が見られた。“ペンギン”のそばにいれば、安全にエサを食べられると学んだスクイッドは、それから約3年間毎日同じ仕方で餌を食べている。
“ペンギン”はエサを奪われて腹を立てているかと思われたが、実はそうでもなかった。ポリーさんは「“ペンギン”はこのことを気にしていないですし、スクイッドは一緒に育った楽しい遊び相手なので、好きなようにさせています」と“ペンギン”の様子を明かした。
またポリーさんによると、ペンギンのコミュニティでは社会的な絆や相互寛容が重要だそうで、このように語っている。
「ペンギンは長命(30年以上)で、一般的に生涯つがいの絆を保つことが分かっています。陸上で巣を作ってヒナを育てるため、その間は捕食動物に襲われる危険がとても高いのです。卵を温める成鳥、卵、そしてヒナの安全性は、集団で集まることによって大幅に向上します。ペンギンが長寿であることと、繁殖のために非常に密集したコロニーを作る相互依存の関係性という条件の組み合わせにより、社会的な絆を重視するライフスタイルができているようです。野生のペンギンは常に研究されていますが、彼らの社会構造の多くは完全には理解されていません。」
「一方で飼育下においては、何年も仲の良い状態を保つ様子や、つがいになった相手と一日の大半を互いに近くで過ごしている様子、またつがい以外のペンギンとも社交的に交流する様子が見られます。ペンギン同士がお互いのスキルを学ぶために、社交性はつがいになる前の幼少期のペンギンにとって特に重要です。ペンギンはお互いに絆を深めるために体を触り合ったり、毛づくろいをしたりしますが、素早く相手を罰することもあり、気に入らないペンギンや巣に近づきすぎたペンギンを追い払うこともあります。時には、ペンギン同士が掴み合ったり、叩いたり、噛みついたりするなど、非常に残忍な行為をすることもあります。」
スクイッドは親元で育ったが視力にハンディキャップがあり、“ペンギン”は幼い頃に飼育員の手で育てられたため、他のペンギンとの関わり方を学んでいる。そんな2羽はエサの時間以外にも、一緒に過ごしていることが多いという。また、スクイッドはメス、“ペンギン”はオスということもあり、まだ生涯のつがいにはなっていないようだが、今後はつがいとなる可能性もあるようだ。
なお、スクイッドの白内障は手術により改善も可能だが、現時点で手術はしない方向に決まったという。ペンギンの白内障手術はまだ確立されたばかりで、手術に伴うリスクやスクイッドの健康と生活の質(QOL)を検討しつつ、手術が必要かどうかを当初から獣医と話し合ってきたそうだ。
ポリーさんは、「スクイッドの視力は左右で異なりますが、白内障は大きく進行していません。スクイッドは投薬を受けておらず、自身の限られた視力に非常に良く適応しています。他のペンギンから否定的な扱いを受けることはなく、コロニーで充実した生活を続けています。スクイッドは4月に眼科の検査を受ける予定ですので、その時にスクイッドの現在の眼の状態についてさらなる情報が得られるよう願っています」と述べている。
画像は『Birdworld Surrey Facebook「Happy 3rd Hatchday to Penguin!」』『Birdworld, Farnham Instagram「Who has seen our famous penguins in the news?」』『Good News Network 「Penguin Becomes ‘Guide Bird’ Companion For Zoo Pal Suffering with Cataracts: Waddle I do Without You?」(Photo released by Birdworld via SWNS)』『Department of Conservation Facebook「You might’ve caught up on the news of a rare visitor coming ashore in Christchurch」』『ARY News 「WATCH! ‘Lonely’ penguin hops on board tourist boat in Antarctica」』『New York Post 「Fleeing penguin escapes killer whales in nail-biting video」(Expert Vagabond/Kennedy News)』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)
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英サリー州ファーナムにある鳥類園「バードワールド(BirdWorld)」では、フクロウやフラミンゴ、オウム、ペンギンなど、様々な鳥類を飼育している。今回注目を集めたのは、53羽から成るコロニーの中で過ごしている、ケープペンギンのメス“スクイッド(Squid)”とオスの“ペンギン(Penguin)”だ。
一方で“ペンギン”も幼い頃、困難に直面していた。同園で「リビング・コレクション・マネージャー(飼育鳥類の管理責任者)」を務めるポリー・ブランハムさん(Polly Bramham)は、“ペンギン”について「視力は問題がなかったのですが、ヒナの頃に重い病気を患いました。多くのケアや医療措置を必要としたため、飼育員の手で育てられなければならなかったのです」と説明する。
同時期に生まれた2羽は、それぞれ幼少期の厳しい状況を乗り越え、ほとんど同時にコロニーの中で一人前のペンギンとしてのスキルを磨き始めた。「“ペンギン”は自信に満ちていて穏やかな気質を持っていますが、スクイッドは短気で活発です。スクイッドは部分的な視力を使ってうまく対処することを学んできましたが、主な課題は餌を食べることでした」とポリーさんは話す。エサの時間にはたくさんのペンギンたちが集まり、口ばしを使ってエサの魚を奪い合うため、スクイッドはその口ばしが誤って自分に当たってしまうことを恐れて尻込みしていたのだ。
ところがしばらくすると、落ち着いて上手に飼育員からエサをもらう“ペンギン”の口から、スクイッドがエサの魚を奪うような行動が見られた。“ペンギン”のそばにいれば、安全にエサを食べられると学んだスクイッドは、それから約3年間毎日同じ仕方で餌を食べている。
“ペンギン”はエサを奪われて腹を立てているかと思われたが、実はそうでもなかった。ポリーさんは「“ペンギン”はこのことを気にしていないですし、スクイッドは一緒に育った楽しい遊び相手なので、好きなようにさせています」と“ペンギン”の様子を明かした。
またポリーさんによると、ペンギンのコミュニティでは社会的な絆や相互寛容が重要だそうで、このように語っている。
「ペンギンは長命(30年以上)で、一般的に生涯つがいの絆を保つことが分かっています。陸上で巣を作ってヒナを育てるため、その間は捕食動物に襲われる危険がとても高いのです。卵を温める成鳥、卵、そしてヒナの安全性は、集団で集まることによって大幅に向上します。ペンギンが長寿であることと、繁殖のために非常に密集したコロニーを作る相互依存の関係性という条件の組み合わせにより、社会的な絆を重視するライフスタイルができているようです。野生のペンギンは常に研究されていますが、彼らの社会構造の多くは完全には理解されていません。」
「一方で飼育下においては、何年も仲の良い状態を保つ様子や、つがいになった相手と一日の大半を互いに近くで過ごしている様子、またつがい以外のペンギンとも社交的に交流する様子が見られます。ペンギン同士がお互いのスキルを学ぶために、社交性はつがいになる前の幼少期のペンギンにとって特に重要です。ペンギンはお互いに絆を深めるために体を触り合ったり、毛づくろいをしたりしますが、素早く相手を罰することもあり、気に入らないペンギンや巣に近づきすぎたペンギンを追い払うこともあります。時には、ペンギン同士が掴み合ったり、叩いたり、噛みついたりするなど、非常に残忍な行為をすることもあります。」
スクイッドは親元で育ったが視力にハンディキャップがあり、“ペンギン”は幼い頃に飼育員の手で育てられたため、他のペンギンとの関わり方を学んでいる。そんな2羽はエサの時間以外にも、一緒に過ごしていることが多いという。また、スクイッドはメス、“ペンギン”はオスということもあり、まだ生涯のつがいにはなっていないようだが、今後はつがいとなる可能性もあるようだ。
なお、スクイッドの白内障は手術により改善も可能だが、現時点で手術はしない方向に決まったという。ペンギンの白内障手術はまだ確立されたばかりで、手術に伴うリスクやスクイッドの健康と生活の質(QOL)を検討しつつ、手術が必要かどうかを当初から獣医と話し合ってきたそうだ。
ポリーさんは、「スクイッドの視力は左右で異なりますが、白内障は大きく進行していません。スクイッドは投薬を受けておらず、自身の限られた視力に非常に良く適応しています。他のペンギンから否定的な扱いを受けることはなく、コロニーで充実した生活を続けています。スクイッドは4月に眼科の検査を受ける予定ですので、その時にスクイッドの現在の眼の状態についてさらなる情報が得られるよう願っています」と述べている。
画像は『Birdworld Surrey Facebook「Happy 3rd Hatchday to Penguin!」』『Birdworld, Farnham Instagram「Who has seen our famous penguins in the news?」』『Good News Network 「Penguin Becomes ‘Guide Bird’ Companion For Zoo Pal Suffering with Cataracts: Waddle I do Without You?」(Photo released by Birdworld via SWNS)』『Department of Conservation Facebook「You might’ve caught up on the news of a rare visitor coming ashore in Christchurch」』『ARY News 「WATCH! ‘Lonely’ penguin hops on board tourist boat in Antarctica」』『New York Post 「Fleeing penguin escapes killer whales in nail-biting video」(Expert Vagabond/Kennedy News)』より
(TechinsightJapan編集部 iruy)