見慣れたあの男の隣に、見慣れない人物が......。

埼玉県内に登場した、二度見不可避な光景がX上を騒がせている。

関東近郊の路上やSNS上でよく見かける「きぬた歯科」(東京都八王子市)の看板。お馴染み、羅田泰和院長が「インプラントは俺に任せろ!」と宣言している。

これだけならば、いつものこと。しかし、この看板には「企業誘致は出来ないが」という謎のフレーズがくっついている。

そして、その隣にはもう1枚の看板が建っていて......。

「インプラントは出来ないが
企業誘致は俺に任せろ」

そんなアンサーらしきメッセージとともに、埼玉開発の横手昇さんという人が朗らかな顔で笑っているのだ。......いや、誰? 何? どうしたの?

不思議すぎる"看板合戦"はX上でも注目され、ユーザーからこんな声が上がっている。

「斬新なコラボだな」
「弱点補い合ってて無敵じゃん」
「仲良しなの?(笑)」
「何この平和なプロレス」
「2人でプリキュアになればいい」

インプラントと企業誘致。何の関係もなさそうな2つの会社が、どうして呼応しているかのような看板を出しているのだろう。X上でも言われていたように、お友達なのか......?

埼玉開発「コラボ看板、どこで知られたんですか!?」

実はJタウンネットでは、埼玉開発が掲出している"きぬた歯科オマージュ看板"がこのところネット上でしばしば話題になっているのを、確認していた。そして2024年1月24日、どうしてこんな看板を出しているのか同社に取材しようと電話をかけたところ......なぜか電話口の相手が驚いた様子。

そして、こんなことを言ったのだ。

「弊社ときぬた歯科さんのコラボ看板が出るのをどこで知られたんですか!?」

えっ......知りませんけど......。この看板って、コラボなの?

動揺しつつ、よく聞いてみると、これまで同社は単なる「オマージュ看板」を出していた。しかし、この度きぬた歯科と正式にコラボすることになり、2024年2月に「アンサー看板」を立てる運びになったのだという。

埼玉開発は、記者がこの情報をどこかから嗅ぎつけて電話してきたと思ったのだ。

信じてほしいのだが、編集部員は誰ひとりとして、本当に、何も知らなかった。それなのに、奇跡的なタイミングで電話をかけていたのだ。

これはもう、運命かもしれない。Jタウンネット記者は、埼玉に向かった。

まずやってきたのは、日高市にある埼玉開発の本社。不動産仲介業や企業誘致などを行う同社の代表取締役が、真ん中の横手昇氏だ。

広報担当者によると、同社では5年ほど前から、地元・日高市の魅力を知ってもらえるような、ユニークな看板を掲出していた。

そして23年8月ごろ、初めてのきぬた歯科オマージュ看板が誕生したという。

彼はなぜ看板になったのか。なぜ、きぬた歯科風に顔を出したのか。記者の質問に、横手代表が答えた。

「日高市内で企業誘致をしているのは、うちの会社だけです。そういった活動をあらためてもっと広く周知したいと考え、何かインパクトのある看板を出したいと思っていました。色々と考えていた中で、広報担当者に『きぬた歯科の看板を参考にしてはどうか』と言われ、この看板を出しました」

"顔出し"には意味がある

きぬた歯科風看板を発案した広報担当者によれば、横手代表は社員に慕われる「愛されキャラ」だ。

看板に大きく顔を出す背景にも、代表の娘である専務取締役の熱い愛があった。

「横手代表が一代でこの会社を築き上げた形を残したい、日高で仕事をしていた証を残したいという思いを、以前から専務に聞いていました。それならば、インパクトもあるし、ということできぬた歯科さんをリスペクトした看板を出すことを提案しました」(広報担当者)

そうして誕生したオマージュ看板は、インパクト絶大。すぐにSNS上でも話題になり、看板を見たという人からの問い合わせも増えたという。

その反響もあってか、本家のきぬた歯科も2023年8月4日、公式Xで埼玉開発の看板に反応。

「面白い!色んな方がいますね。笑」

と画像とともに呟いた。埼玉開発はこの機を逃さず、23年秋にきぬた歯科にコラボを依頼し、無事に実現したのが、あの2枚並びの看板というわけだ。

院長とはまだ会ったことないけれど...「一度直接お話してみたい」

ところで、きぬた歯科オマージュ看板を掲出して以来、「インプラントは出来ないが 企業誘致は俺に任せろ」というフレーズは、横手代表の口癖のようになっているという。本家とコラボできた喜びは、格別らしい。

「コラボして頂けて、とてもよかったと思っています。きぬたさんほど知ってもらうにはまだまだですが......。これをきっかけに、うちの会社や、日高という街の存在や魅力を知ってもらえれば嬉しいです。互いに相乗効果を生み出せていれば、さらに嬉しいです」(横手社長)

埼玉開発によるきぬた歯科風看板は、飯能市に3枚(うち1枚がきぬた歯科コラボ)、狭山市に1枚設置されている。

今後は川越市や入間市、また地元・日高市内にも看板を掲出していきたい、とやる気満々。きぬた歯科のお膝元である八王子にも「ぜひ出したい」と野心を燃やす。

実は横手代表はまだ、きぬた歯科の羅田院長に会ったことはない。「羅田さんとも一度直接お話してみたいです」と、こちらにも意欲的だった。

看板越しではない対談が実現する日も、近いかもしれない。