引退セレモニーの様子(c)netkeiba

写真拡大

 2月29日(木)をもって騎手を引退する藤井勘一郎騎手(栗東・フリー)の引退セレモニーが17日、京都競馬場で行われた。

 藤井騎手は1983年12月31日生まれ。01年にオーストラリアのニューサウスウェールズ州で見習騎手免許を取り、その後06年に同州で騎手免許を取得した。以降、海外を中心に騎乗し、16年にはクリソライトで韓国のコリアカップを勝つなどビッグレース制覇を経験。日本では地方競馬に短期免許で騎乗した。

 JRAでは19年に騎手免許を取得し、同年3月にJRA所属騎手としてのデビューを迎えた。20年3月にはアブレイズでフラワーCを制してJRA重賞初制覇。しかし22年4月に福島競馬場で落馬負傷し、復帰を目指していたが、現役を退くこととなった。これまでJRA通算42勝の成績を残している。

【藤井勘一郎騎手のコメント】
「本日はジョッキーとしての22年間のキャリアにピリオドを打つ日です。このような場を設けていただいたJRAと騎手クラブに感謝いたします。

 小学6年生の時、初めて京都競馬場に足を運び、競馬への興味が芽生えた瞬間を今でも鮮明に覚えています。父親に連れて行ってもらったあの日が、私の競馬への情熱の始まりでした。母親の勧めで乗馬クラブに入会し、馬と触れ合う喜びを知りました。馬房掃除のバイトを通じて、初めて自分で稼いだお金で騎手用のヘルメットを手に入れることができました。

 そして、15歳で訪れたオーストラリアで、両親への感謝の気持ちを抱きながら騎手への夢を胸にしました。韓国で日本の馬に騎乗して、コリアカップやコリアスプリントを勝てたことで、少しずつJRAへの道が開けました。初めて北海道競馬の馬で札幌競馬場のレースに参戦した時は、長年思い描いたことが現実になった瞬間でした。

 2022年4月の落馬で、私の胸から下の感覚は無くなりました。入院期間中は病院で療法士さんと1つ1つできることを増やしていきました。また、皆様の温かいメッセージに支えられ、様々な困難を克服することができました。

 日本で騎手免許を取得してからの在籍は5年間だけでしたが、精一杯レースで騎乗しました。今日、子供の頃から憧れていたJRAの騎手として、大好きな京都競馬場で引退を迎えられることは大変光栄に思います。

 今までの競馬人生を通じて様々な世界を見ることができ、一流のホースマンやジョッキー、馬たちと出会うことができました。家族をはじめ、皆様の温かいサポートがあってこそ、私はここまで来ることができました。最後に、もし私の子どもたちが将来、競馬の世界に進むことがあれば、温かく受け入れていただければと思います。

 競馬は素晴らしい世界であり、私が感じたように多くの学びや喜びが待っています。改めて、皆様のサポートに心から感謝いたします。今この瞬間を味わえて最高の気分です。競馬が大好きです。ありがとうございました」

(JRAのホームページより)