国交省の資料を批判する川勝平太知事

 2月6日、NHK静岡局が県内向けのニュース番組内で、静岡県・川勝平太知事のリニア中央新幹線への対応について解説し、批判する場面があった。

 番組では「リニアJR東海の反論会見・“47項目” 整理」とのタイトルで、VTRを交えながら約10分にわたって、現況を説明。

 まず取り上げたのが、1月24日にJR東海が川勝知事へ異例の反論会見をおこなったこと。川勝知事は1月29日の会見で部分開業などについて「公表されているデータに基づいて申し上げている」と “反論の反論” をおこなったが、番組のキャスターは、

「知事はこのように発言していますけど、見解の違いならまだしも、JR東海の計画とは明らかに違いますよね」

 とバッサリ。

 静岡県はリニア工事にあたり、JR東海に対して水資源や自然環境について47項目の懸念点をあげており、2月5日には静岡県の副知事が会見を開き、47項目への新たな見解を公表した。47項目のうち水資源に関する17項目のみの議論が終了したというものだったが、番組ではこれについても解説。

 県の「残る30項目でも今後議論を続ける必要がある」という主張に対し、国は「47項目も含め、国の有識者会議で議論した水資源と環境保全の問題で、今後、議論すべき残された論点はない」との認識であると説明。

それでも県はまだ議論を続けるつもりか、というキャスターの問いに、記者は

「川勝知事は、これまで地元の意見を尊重するよう繰り返しJR東海に求めてきましたが、事業主体のJRが間違いだとする、情報や独自の見解を発信し、混乱させることは地元のためになるとは思えませんし、県の信頼にも関わってくると思います。

 今後もJRや自治体と協議を続けていくのならば、関係者の意見を十分に聞きながら、コミュニケーションを密にしていくことが必要だと強く感じています」

 と諭すように語った。

「リニアの問題で、地元のNHKがここまで川勝知事を批判するのは、初めてではないかと思います。言葉遣いには十分配慮しながらも、報道機関としての強い意志を感じました。

 川勝知事の主張は、以前から矛盾や間違いが多くありましたが、ここへきてその傾向がさらに強くなっており、かつては知事寄りの報道をしていたテレビや新聞からも、批判的な意見が多くなっています。明らかに潮目は変わりました」(週刊誌記者)

 2月7日には国土交通省の鉄道局長と川勝知事が面会。国交省がリニア工事前後の環境への影響をモニタリングする有識者会議を立ち上げる方針を示したことに、「国家的事業。ついに本格的に乗り出された。これは進展させないといけない」と語った川勝知事だが、腹の中は如何に――。