最高検察庁刑事部長の森本宏氏(写真・共同通信)

 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、パーティー券収入のノルマ超過分やキックバック分を、派閥や議員個人の政治資金収支報告書に記載しなかった疑惑。1月13日に毎日新聞が「安倍派幹部 立件断念へ」と報じると、SNSでは「検察仕事しろ」「検察は巨悪を眠らせるな」「検察は国民裏切るな」などのワードがトレンド入りした。

「安倍派は、公訴時効にかからない2018年からの5年間で、総額6億円近くを裏金にしました。この巨額に国民は、議員の逮捕立件を期待していました。まだ断念が決定したわけではありませんが、国民の特捜部に対する失望感は相当なものがあります」(事件担当記者)

 国民の矛先が向かっているひとつが、特捜部長を経験した森本宏・最高検察庁刑事部長だ。今回の捜査の実質的な指揮官と言っていい。

「森本氏は特捜部長在任中、日産自動車元会長カルロス・ゴーン被告の特別背任事件、元法相の河井克行夫妻の買収事件、秋元司・元衆院議員のIR汚職事件などを手がけました。歴代部長のなかでも屈指のキレ者です。ヘアスタイルや、ガンガン捜査する姿勢から『パンチ森本』、ほかにも性格がアツいので『燃える男』などと呼ばれています。そんな人物が陣頭指揮をとるということで、『今回、特捜部は徹底的にやるつもりだ』と思われていました」(司法担当記者)

 しかし「断念」のニュースに、SNSでは《森本宏刑事部長 散々国民の期待を煽ってこのザマ》《正義は無いと言うことですかね?》《国民はこれでだいぶ希望を失ったよな。ドラマの見過ぎだったのかもしれん》など、落胆の声が相次いだ。

 特捜部への期待が持てなくなったせいなのか、SNSでは次に「納税の義務」「納税拒否」がトレンド入りしている。

「衆院議員の池田佳隆容疑者が、5年間で総額およそ4800万円のキックバックを安倍派から受けたにもかかわらず、収支報告書に記載していなかったことから『4000万円まで税金を納めなくてもセーフ』などの書き込みが急増しました」(週刊誌記者)

 SNSを見ると《あの裏金の悪魔どもが逮捕されなかったらもう全国民で納税拒否してもよろしくないか》《悪徳政治家は裏金脱税やり放題 国民はインボイスまで押し付けられて廃業続出 もう納税したくない》《大勢の与党議員が裏金作りや政治資金不正をしても逮捕されない国に納税などしたくないですね》などの書き込みが目立っていた。

 橋下徹元大阪市長も、自身のXに《政治と金の問題を解決する簡単な方法は政治資金も確定申告の対象=課税にすればいいだけ。国税が目を光らし、国会議員は税理士と綿密に打ち合わせをするようになる。国民が普通にやっていること》とつづっている。国民の怒りとモヤモヤが解消される日は来るのだろうか。