もはや時代遅れ? 「三角食べ」は本当に正しい食べ方なの? 管理栄養士が解説するメリット&デメリット
学校や家庭で、主食、おかず、汁物を交互に食べる「三角食べ」を教わった人は多いと思います。ただ、近年は「ベジファースト」のように、最初に野菜を食べ切ってから別の料理を食べる方法が推奨されるようになり、子どもに三角食べを教えるべきか迷うことがあります。
三角食べは食育上、本当に正しい食べ方なのでしょうか。三角食べのメリット、デメリットなどについて、管理栄養士の桜井このさんに教えていただきました。
偏食が激しい場合は「三角食べ」が適しているケースも
Q.「三角食べは正しい食べ方」といわれていますが、本当なのでしょうか。
桜井さん「『三角食べ』はおかず、白米、汁物などを一口ずつ順番に食べ進めるものです。一昔前は食育として推奨されていたことがありますが、現在では良い面ばかりではないという専門家の意見も少なくありません。例えば、複数の食べ物の味が混ざり合うことで味が薄いと感じやすくなるため、濃い味付けによる塩分過多が起きやすいという指摘があります。
また、汁物で食べ物を流し込んでしまい、そしゃくの習慣がつきにくくなるケースもあるといわれています」
Q.では、「三角食べ」を実践するメリットはあるのでしょうか。
桜井さん「昔からいわれている利点としては、平行していろいろな料理を食べ進めることでバランスよく栄養を摂取しやすい点です。
小さなお子さんの場合、苦手な食べ物はまったく手をつけないというケースも多いのですが、三角食べを意識させると、少量でも苦手な物を食べてもらいやすくなります。
そして、硬さや味が異なる食べ物を交互に口に入れることで、早食いの防止にもなるといわれています」
Q.「三角食べ」のほかに「ばっかり食べ」という言葉を聞きますが、どのような食べ方なのでしょうか。メリット、デメリットも含めて教えてください。
桜井さん「『ばっかり食べ』は、1つの皿の料理を食べ切った後、別の皿の料理に進む食べ方です。最終的にバランスよく食事ができるのであれば、『ばっかり食べ』でも問題はないという意見もあります。
例えば、『食事はまず汁物やサラダから食べるとよい』という話を聞いたことはありませんか。これは野菜や海藻に含まれる食物繊維が血糖値の急激な上昇を抑え、余分な糖や脂肪の吸収を軽減させる効果があるためです。順番を考慮して食べ進めることで、メリットが大きい場合もあります。
ただ、『子どもの偏食が激しく、同じものしか食べなくて心配』という場合は、栄養バランスが乱れてしまうため、よりたくさんの食べ物に触れ合う機会をつくるため、三角食べを推奨した方が良いケースもあるでしょう」
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以前は、学校などで食事のマナーとして教わったことがある人も多い「三角食べ」。現在は積極的に食育として推奨されているわけではなく、むしろ食べる順番によっては「ばっかり食べ」が健康に良いと脚光を浴びることも少なくないようです。
どちらの食べ方にもそれぞれメリット、デメリットがありますが、まずはおいしく楽しく食べる習慣を子どもに身に付けさせたいですね。