「通販などで届いたダンボール箱を開けるなら、専用の開梱ツールを使うべき!」ということは、この連載で繰り返しお伝えしてきた。というのも、手で開けるとダンボールのフチで指を切ってしまうおそれがあるからだ。カッターナイフやハサミをそのまま突き刺す方法も、中の荷物を傷付けたり、本来の使い方ではないために危険だったり、とトラブルの元になる。とはいえ、開梱のためだけに使い慣れない道具を導入するのも面倒……という人もいるだろう。

 

しかし逆に言えば、その抵抗をあまり感じずに導入できる開梱ツールがあれば良いのではないか、とも思うのである。

↑わりとよくやりがちな、ハサミを突き刺しての開梱。実はかなり危ないので、絶対にやらないで欲しい

 

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そのままザクッと突き刺せる開梱ハサミ

新しい道具の “不慣れさ” はどこに由来するのか? ということを考えると、「見た目の違和感」「やったことのない動作」の2点が大きそうだ。つまり、見た目と動作に馴染みがあれば、違和感少なく使えるはず。そこで試してみてほしいのが、クツワ「二刀派ハサミ」である。

クツワ
二刀派ハサミ
シルバー 1800円/ブラック(フッ素コート) 1980円(税別)

 

こちらはダンボールの開梱機能を搭載したハサミということだが、いかがだろうか? まず、見た目からは大きな違和感を覚えることもないだろう。実際のところ、一部を除いてはごく普通のハサミなので当然といえば当然なのだが。その “ごく一部” にして、肝心な開梱機能を司っているのが、刃先の部分である。

 

普通のハサミは、交差した刃が先端で揃っている。対して「二刀派ハサミ」は刃先が揃わず、互い違いになっているのが特徴だ。刃先は、下側の刃が上側よりも4mmほど長く伸びている(下画像参照)。これがまさに重要なポイントで、ダンボールを開梱するときには、この長い方の刃先(開梱カッター刃)を梱包テープに突き刺して切り開く、という仕組みなのだ。

↑片方の刃が長く突き出しており、これを開梱カッター刃として使う仕組みだ

 

ハサミを閉じたままの状態で刃を使うことができるので、一般的なハサミでの開梱とは比べものにならないほど安全だ。開梱機能付きのハサミは他にも発売されているが、「開梱用の刃を出すために、まずスイッチを入れてグリップを握る」といった特殊なセーフティ解除動作が必要となっている。その点、「二刀派ハサミ」なら事前操作が必要ないので、ザクッと刺してズバッと切って開けるだけ、と動作そのものにも違和感を感じにくいはずだ。

↑開梱カッター刃の長さはダンボール自体の厚みと変わらないので、突き刺して中身を傷つける心配も少ない

 

ハサミとしても細かな機能がさまざま

「二刀派ハサミ」は、開梱ツールとしてはもちろん、普段使い用のハサミとしての機能も充分なレベルにある。切れ味はかなりのもので、柔らかなフィルムからコピー用紙、硬いPPバンドまで、幅広く対応できる性能を持っているようだ。実際に切ってみた感覚としては、薄手のビニールやフィルムなどの柔らかいものをスパッと切る力はかなり強い。対して、ダンボールやPPバンドなどの硬めな素材だと少々力が必要かな、という印象だった。

↑切るときのコツは、長い方の刃を動刃(下側)にして握ること。刃の長さの食い違いを意識せず、切りミスも出にくいのだ

 

ちなみに刃自体も、直線刃(長い方)とカーブ刃(短い方)の組み合わせとなっている。これは、切る対象を包丁のように引き切る効果があり、せん断力を高めるためだそう。正直なところ、この引き切り効果がどれだけ働いているのかは実感しづらいが、ホームユースとしてはなんの不満も無く「良く切れるハサミ」と言えるだろう。

 

さらに刃の側面には、細かなリベット穴のような加工が一面にずらっと施されている。これはディンプル構造刃と呼ばれるもので、細かなくぼみによってテープなどの粘着材と接する面積を減らすことで、刃に粘着材が付着しづらくする工夫なのだ。フッ素コートほど強力な効果ではないが、長期間使い続けるうちに「ベタベタが溜まってジワジワ切れ味が落ちていくのを防ぐ」という効果は期待できそうだ。

↑刃の内側に施されたディンプル加工により、粘着材が付着しづらくなっている

 

↑廃棄時には樹脂ハンドルと金属部分をカンタンに分別できる構造になっている

 

↑磁力入りの刃先は、ネジやクリップなどを拾い集める際に便利

 

個人的には、刃先の食い違いが作業時に使いづらく感じられるのでは? という点が気になっていたのだが……実際に使ってみると、そこはさほど気にならなかった。開梱ツールとしてもシンプルに使えて安全かつ効率的と、不満はまったくない。値段は他の開梱ツールよりも少々高めではあるが、違和感少なく導入できるのは大きなメリットなので、気になる方はぜひ試してみて欲しい。