福岡在籍時の冨安健洋【写真:Getty Images】

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福岡がルヴァン杯決勝へ進出、初タイトル懸け浦和と対戦

 イングランド1部アーセナルの日本代表DF冨安健洋が10月28日のプレミアリーグ第10節シェフィールド・ユナイテッド戦(5-0)で、クラブ加入後初ゴールを記録した。

 プレミアでも輝かしい活躍を遂げている冨安だが、プロキャリアをスタートさせたのは地元のアビスパ福岡だった。そんな古巣が11月4日に国立競技場で浦和レッズとのルヴァンカップ決勝に臨む。初タイトル獲得を懸けての戦いに挑む古巣に向けて冨安が思いを語った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 10月シリーズの日本代表戦ではカナダ代表、チュニジア代表との対戦で2試合連続先発出場した冨安。シリーズ中の10月15日には古巣のアビスパがルヴァン杯準決勝・第2戦で名古屋グランパスを1-0で下し、決勝進出を決めた。同日にチュニジア戦前の取材対応を受けていた冨安は嬉しそうに答えた。

「本当に嬉しく思います。僕が育ったクラブで、日本ではアビスパでしかやっていない。僕もシーズンオフには顔を出させてもらって、アカデミーからトップチームにも行かせてもらっている。そういう意味で本当に嬉しいですし、刺激にもなりますし、ぜひ優勝してほしいなというふうに思います」

「刺激になる」――。そう話した直後のチュニジア戦でも圧巻なプレーを発揮し、アーセナルに戻ってからもさまざまなポジションで高パフォーマンスを続けた。そして10月28日のシェフィールド戦はプレミアリーグ出場50試合目の節目で、3-0とリードする後半21分に右サイドバック(SB)のDFベン・ホワイトと代わって冨安がピッチに入った。

 MFファビオ・ビエイラの得点でさらにリードを広げたアーセナルは後半アディショナルタイム6分、右コーナーキックのこぼれ球を冨安が右足で流し込みプレミア加入後初ゴールをマーク。冨安は大きくガッツポーズし、次々と駆け付けた仲間に頭を撫でられた。

 自身が活躍を遂げる一方で、古巣のアビスパ、そして地元・福岡のさらなる飛躍も気にかけている。アビスパが地元クラブとして注目されるなか、プロ野球の福岡ソフトバンクホークスが人気を誇る町でもある。サッカーと野球。比べられるものでもないが、その現状について冨安はチュニジア戦後に語っていた。

「町のポテンシャルとしてかなり可能性を秘めているクラブ。J1に定着して、今の状況で言えば、あとはタイトルだけなんですよ。そこでタイトルを取ることができればもうワンランク上のクラブ、チームになれる。人々からの見え方も変わってくると思うんです」

 アビスパは今年度、ここまで16試合のホーム入場者数の平均が9232人。J1で下から2番目の数字となっている。一方でソフトバンクは71試合の平均3万5705人でパ・リーグ1位、12球団でも阪神タイガース、読売ジャイアンツに次いで3位の数字を誇っている。冨安が話すように、「町」としてのポテンシャルの高さが分かる。ここでアビスパがタイトルを獲得すれば、クラブの注目度が高まり、福岡の地もアビスパも活性化する。それぐらいルヴァン杯の決勝は重要な一戦となる。

 そして冨安は最後にこう言い残した。

「僕が(アビスパ福岡に)帰ってくる時にJ1にいてほしい」

 アビスパ愛が伝わる冨安流のエールだった。(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)