キリン「午後の紅茶」で「これでもか!」とミルクティーが続々 無糖に始まり茶葉にこだわった新商品とミルクにこだわった新商品

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 キリンビバレッジは今年、「午後の紅茶」で“これでもか!”と言わんばかりにミルクティーで商品投入と施策を繰り広げている。

 3月に約8年の歳月を要して開発された「午後の紅茶 おいしい無糖 ミルクティー」を新発売し、6月には定番3品の1つ「ミルクティー」の味覚・パッケージデザインを刷新した。

 秋冬に向けては、今夏立ち上げた「TEA SELECTION(ティーセレクション)」シリーズから「ザ ミルクティー イングリッシュブレンド」(発売日10月17日)と「クリーミーティーラテ」(同12月5日)の2品を期間限定発売する。

 こうしたミルクティーの取り組みは、今年掲げたブランド戦略の1つ“紅茶を飲みたくなる瞬間の創出”の一環。

 10月4日発表した大竹野晋さんは「ミルクティーのバリエーションを増やしていくことでお客様の飲みたい気持ちに寄り添える確率が高くなる」と語る。

 生活者の飲みたい気持ちに寄り添うとは、例えば「おいしい無糖 ミルクティー」では朝食シーンや止渇ニーズに対応していくことを意味する。

 一方、秋冬新商品2品はともに有糖タイプ。近年高まっているとされる“自分へのご褒美”“ちょっと贅沢な気分になる”“味が濃い”といった項目を加味して開発された。

 このようなご褒美や贅沢といった項目の上昇は、有糖飲料市場が底堅く一定層のボリュームを維持している背景にもなっていると同社はみている。

左から「午後の紅茶」の「おいしい無糖 ミルクティー」「ミルクティー ホット」「ミルクティー」

 ミルクティーカテゴリーが1年の中でも秋から冬にかけて消費量が拡大傾向にある点にも着目した。

 「ミルクティーは紅茶の中で一番間口が広く、本当にミルクティーを飲みたい時期に良い飲用体験をいくつもしていくことが日本に紅茶文化をつくるきっかけになる」とみている。

 飲用体験の創出にあたり紅茶が好適である点にも触れる。

 「茶葉の配合やフレーバーによって幅広い味わいが可能となる。さらにミルクの有無によっても広がり、多様な飲み物になりうると我々も認識している」と述べる。

 季節に応じて発売開始する理由については「紅茶飲料は“いつ飲めばいいのか分かりにくい”カテゴリーになったしまったところがあり、季節ごとに変わりゆく気分や飲みたい気持ちに合わせてコンセプトを振り分けた」という。

10月4日発表した大竹野晋平マーケティング部ブランド担当主務(中央)と商品開発研究所飲料開発担当の鈴木梢さん(左)と長井美保さん

 「ザ ミルクティー イングリッシュブレンド」は“紅茶のおいしさが味わえるミルクティー”を志向し紅茶葉にこだわった新商品。「ミルクティー」の1.5倍の茶葉を使用して茶葉のブレンドも追求。ウバ茶葉51%とアッサム茶葉47%をブレンドしている。

 同商品の開発を担当した鈴木梢さんは「茶葉を多くしただけでは上質な味わいは難しく、ブレンドなどいろいろとこだわって“濃くて上質なおいしさ”を目指した。ウバ茶葉は冷涼感のある香りが特徴でミルクと合わせると特徴を出しやすい。一方、アッサム茶葉はミルクと上手く合わさる香りやコクを持っている」と説明する。

 もう1つの新商品「クリーミーティーラテ」はミルクにこだわった点が特長。

 「『ミルクティー』よりも牛乳の量を増やしたところ自然なミルクの甘さが上がったものの、少しミルクのサラッとした感じになってしまった。冬に求められる濃厚さとは程遠くなってしまい、いろいろ探索した結果、生クリームを使用した」と振り返るのは同商品の開発を手掛けた長井美保さん。

 茶葉は濃厚なミルクに合わせるべくキャンディ茶葉を20%使用。その上でアプリコットやピーチのフレーバーを使用したことで「最初に飲んだ時に華やかな香りと軽い味わい、飲用の中盤から後半にかけて濃厚な甘さが感じられるようにした」と胸を張る。

 「ザ ミルクティー イングリッシュブレンド」はコールドのみ、「クリーミーティーラテ」はコールドとホットで展開していく。

 紅茶飲料市場について、大竹野さんは「ストレートティー」「ミルクティー」「レモンティー」の定番3品を6月にリニューアル発売して以降、上昇基調にあるとみている。

 飲料全般については「世の中の流れで少し飲料も二極化しているようだ。物価高でコモデティ化が進む中で、報酬感や贅沢感を求められるお客様も増えてきている」との見方を示す。

 なお、自販機投入対象商品としては昨年発売して好評だった「キャラメルミルクティー ホット」の商品名とパッケージを変更して「キャラメルティーラテ ホット」として9月5日から発売している。