Unityが突然料金を改定したのは「自社の広告プラットフォームにユーザーを誘導するため」ではないかという指摘
ゲーム開発プラットフォームのUnityが、「Unityで開発したゲームのインストール数に応じて手数料を支払う」という料金システムの改定を2023年9月12日に発表し、ゲームの開発者から大反発を受けています。ゲーム関連ニュースサイトのMobileGamer.bizが「Unityが開発者に厳しすぎる料金システムを突然導入したのは、AppLovinなどの競合するモバイル広告プラットフォームに対抗するため」と論じています。
https://mobilegamer.biz/unity-is-offering-a-runtime-fee-waiver-if-you-switch-to-levelplay-as-it-tries-to-kill-applovin/
Unity will quietly waive controversial fees if developers switch to its ad monetisation service - report | Eurogamer.net
https://www.eurogamer.net/unity-will-quietly-waive-controversial-fees-if-developers-switch-to-its-ad-monetisation-service-report
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Unityが新しく導入した「Unity Runtime Fee」がどういうシステムなのかは、以下の記事を読むとよくわかります。さらに、Unityは発表後に利用規約を削除したりフォーラムの記述を修正したりしたため、ゲーム開発者コミュニティから強く非難されています。
Unityが「ゲームがインストールされるたびに手数料発生」の価格体系を導入してゲーム開発者が激怒、年額約5万円の「Unity Plus」も新規受付停止に - GIGAZINE
Unityが突如発表した「ゲームのインストール数に応じた料金システム」にゲーム開発者が怒りのコメントを続々投稿 - GIGAZINE
Unityは、Unity Runtime Feeを告知するブログ記事内で「Unity サービスの利用料金の軽減について」と題し、「対象のお客様には、Unity Gaming Servicesやモバイル広告に対応したゲーム向けのUnity LevelPlayメディエーションなど、エディター以外のUnityサービスの採用状況に基づいてUnity Runtime Feeに対してクレジットをご利用いただける場合があります」と述べていました。
MobileGamer.bizによると、Unityはすでに一部のスタジオに対して、Unity独自の広告プラットフォームである「LevelPlay」に切り替えた場合は料金を80〜100%免除することを提案しているとのこと。LevelPlayは、Unityで開発したスマートフォン向けのゲーム内に広告を出すためのツールで、さまざまな種類の広告を試したり、広告のテストや分析を行って収益性の改善を図ったりすることが可能になります。
Unityは2023年7月にモバイルゲームアプリのビジネスプラットフォームを展開するIronSourceとの合併に合意しましたが、AppLovinは「IronSourceとの合併を放棄すれば、Unityを200億ドル(約2兆9000億円)で買収する」と提案し、Unity側から断られています。そういった経緯もあって、UnityはAppLovinとバチバチに対立しており、MobileGamer.bizは今回のUnity Runtime Feeの目的が「AppLovinに対抗するためにLevelPlayへユーザーを誘導すること」だった可能性を示唆しています。
ユーザー獲得コンサルタントのMatej Lancaric氏は「AppLovinは広告収益化とユーザーの両方でLevelPlayよりもずっと先を行っており、Unityのやり方はAppLovinを潰そうとしています」とコメントしました。
さらにLancaric氏は「Unityは『LevelPlayに移行しなければ、ばく大な金を支払わなければならない』と言っています。小規模な開発者にとって、会社を救うためにはLevelPlayに移行する以外に選択肢はありません。残りの開発者はすでにUnityからGodotやCocos2Dなどのエンジンへの移行を検討しています」と述べています。