あらためてフラッグシップを画策、
「大きい」がアイコンのBIG-1 PROJECTがスタート!

1980年代のレーサーレプリカ終焉から、各社は原点回帰のネイキッドへと主力を切り替えていたが、ホンダにはそれとは別次元のインパクトのある路線構想があった。
それは開発者が夢を育んできた、ホンダの圧倒的に存在感が大きい、4気筒エンジンを搭載したフラッグシップたちの存在だ。

世界に先駆けた初の量産4気筒、1969年のCB750フォアにはじまり、世界中を熱くした1978年のCF900F、さらに1979年には驚愕の6気筒CBX(1000)、そしていかにもホンダ流儀のレース仕様カフェレーサー、1981年のCB1100Rたちが放ったオーラは凄まじい強烈さに満ちていた。

ホンダらしさはこの圧倒的な存在感。ライバルとの競争に明け暮れた時期に、対抗機種開発で勝ってはきたが、世の中の流れが原点復帰へとなる中、圧倒的な存在感をあらためて模索することとなったのだ。

その存在感の視覚的なインパクトを、CB1100Rの燃料タンクへと焦点を当て、まさに「大きい」ことがアイコンとなる構想が走りだした。
PROJECT BIG-1と呼ばれた開発は、CB1100Rの燃料タンクをマウントしたビッグネイキッド……エンジンもCBR1000Fのほぼ直立したそそり立つ武骨な水冷シリンダーを敢えて強調したフォルムで、1991年の東京モーターショーにCB1000 SUPER FOURの名で参考出品、確かな手応えに一気にGOとなり、何と最もメジャーな400ccクラスに同様のコンセプトとフォルムのCB400 SUPER FOURも開発、1992年春に先んじてデビューすることとなった。

不滅の名機、CB400 SUPER FOURは2022年に惜しまれつつ生産を終了したが、30年間もの長きにわたり中心的な存在であり続けたのはご存じの通り。

国内市場の大型バイクとしては記録的な台数で大ヒットに

初代BIG-1は、998ccで93PS/8,500rpm、最大トルク8.6kg-m/6,000rpmと、装備重量260kg(乾燥重量は235kg)の巨体を、スロットルひと捻りで超弩級の押しまくるマッチョなバイクに仕上がっていた。

もちろん、ジェントルに走らせればハンドリングが素直そのもので、ホンダならではの安心感も、国内市場で大型バイクとしては記録的なベストセラーを支えていた要素だったのは間違いない。

そして1998年、排気量を1300ccへとアップして足回りを見直すモデルチェンジを迎えるのだった。

最大トルク12.2kg-mのゴリゴリした力強さにモデルチェンジ

パワーユニットは1997年にデビューした、アメリカンマッチョスポーツ(ホンダではロング&ローのカスタムネイキッドとカテゴライズしていた)のX4をベースに、スロットル・レスポンスの感覚的な醍醐味を引き出す側へとチューン。

1,284ccは100PS/7,500rpm、12.2kg-m/5,000rpmと、X4よりは高回転側へ伸びがあり、逆に低中速域ではゴリゴリ感を直感させるチューンとしていた。

またX4が水冷でもシリンダーフィンを刻んだデザインだったので、トラディショナルさを演出する側で、さらに空冷並みに見えるフィンを強調した塗色のモデルも出現した。

足回りも2本サスながら、路面追従性の向上を狙ってショックユニットのボトムにリンクを介した、ダブルプロリンクを装備、走りへのこだわりをアピール。

10年で3世代目となり、30周年を迎えたいまも存続するロングセラー!

2003年、PROJECT BIG-1から10年を経たのを機に、エンジンから車体を見直す、3世代目への刷新が行われた。
先ずエンジンは、バルブの挟み角が同じながらロッカーアームを介して直押しという方式の変更で、DOHCのカムシャフト位置が吸気と排気とが近づいたレイアウトになり、見た目にヘッドまわりがコンパクトに収まっている。

またシリンダーへ刻まれていたフィンも廃止して、のっぺりとした水冷ボディと潔いルックスとなったのも大きな変化だ。
リヤサスは通常のリンクを介さない2本ショックと、トラディショナルな出で立ちとなっている。

そして迎えた30周年。各部に充実したグレードアップを施した記念のSP仕様が登場。
またカラーリングにCB750/900F時代のグラフィックを採り入れるなど、CB(シービー)の原点をアピールする存在として、ホンダのアイデンティティ継承を象徴し続けながら現行機種へと受け継がれている。

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