新潟記念で穴をあけるのはヴァンセンヌ産駒2頭か 外回りコースでの「爆発」に期待
夏の新潟開催のラストを飾るのは、サマー2000シリーズ第5戦のGIII新潟記念(9月3日/新潟・芝2000m)だ。
昨年は、10番人気のカラテが勝利し、2着にも9番人気のユーキャンスマイルが入って、馬連が2万8250円、3連単が70万9120円と高額配当を記録。大波乱となった。
その昨年に限らず、同レースは"荒れる"傾向が強い一戦と言える。現に過去10年の結果を振り返ってみても、1番人気は2勝、2着2回と振るわず、一方で6番人気以下の伏兵が5勝、そのうちふた桁人気馬が3勝も挙げているのだ。
結果、昨年を含めて馬連は過去10年で万馬券が3回、3連単では6回も10万円超えの高配当が飛び出している。
はたして、今年はどうか。
「人気になりそうなのは、超良血のサリエラ(牝4歳)、ノッキングポイント(牡3歳)あたり。それに続くのが、マイネルウィルトス(牡7歳)といったところでしょうか」
そう語る日刊スポーツの木南友輔記者は、今年もひと筋縄にはいかないと見ているようだ。
確かに、サリエラは三冠馬コントレイルの好敵手だったサリオスの妹という良血で、ここまで5戦3勝、2着1回、3着1回と底を見せていないが、重賞勝ちはなし。それでいて、55.5kgという重いハンデを背負わされての出走となる。
ノッキングポイントにしても、母がオークス2着のチェッキーノという良血で、前走のGI日本ダービー(5月28日/東京・芝2400m)でも5着と奮闘しているが、同馬も重賞は未勝利。絶対的な信頼を置くまでには至らず、つけ入る隙は十分にありそうだ。
そこで、木南記者はある種牡馬の産駒に注目する。
「父がディープインパクトで、母は春秋の短距離GIを制しているフラワーパークという良血のヴァンセンヌ産駒です。同馬自身、条件戦から重賞まで4連勝を飾って、GI安田記念では強烈な末脚を繰り出して2着と好走。そうしたディープ系に引き継がれる瞬発力が、新潟の外回りで爆発するシーンが期待できそうで、同馬の産駒に食指が動きます」
そのヴァンセンヌ産駒は今回、ファユエン(牝5歳)とバラジ(牡4歳)の2頭が出走。木南氏は「この2頭が穴をあけそう」と目を細める。
新潟記念での一発が期待されるファユエン
「まずファユエンは、ここにきてメキメキと力をつけている印象があります。2走前の3勝クラス・江の島S(5着。6月24日/東京・芝2000m)で、昨年のGI菊花賞で4着に入ったドゥラドーレス相手に見せ場を作って『オッ!』と思ったら、続く前走の3勝クラス・関ケ原S(7月15日/中京・芝2000m)を完勝。外を回って、ライバルたちをねじ伏せての勝利は鮮やかでした。
祖母がGIエリザベス女王杯を勝っているサクラキャンドル。同馬の兄にはGI天皇賞・秋を勝ったサクラチトセオーがおり、一時代を築いた"サクラの牝系"の血筋も魅力。今回はハンデ53kgと軽量ですし、今の出来のよさを生かせば、一発あってもいいと思っています」
もう1頭のバラジは、今回が2度目の重賞挑戦となる。
「2走前のオープン特別・メトロポリタンS(5月7日/東京・芝2400m)は、直線でスムーズさを欠く競馬で6着。前走のGII目黒記念(5月28日/東京・芝2500m)も、逃げ馬の背後でレースを進めながら最後に止まってしまい、再び6着に終わりました。
しかし、3走前の3勝クラス・湾岸S(1着。3月5日/中山・芝2200m)で負かした相手、上位2〜5着馬は皆、その後にすべてオープン入り。4歳春の時点で、素質の高さを示したことは間違いありません。将来性は高いと見ています。
そして今回は、距離短縮がプラスに働くと思います。また、春は使い詰めできましたが、過去に未勝利戦を勝った時、2勝クラスを勝った時と、いずれも間隔をあけての勝利。フレッシュな時のほうが走るタイプだと思えば、およそ3カ月ぶりとなる今回は、勝負の一戦だと踏んでいます」
波乱ムードが充満している新潟記念。ヴァンセンヌ産駒の2頭がこの夏最後の大花火を打ち上げるのか、必見である。