人通りのある住宅地でも、外からの視線を気にせず、カーテンをあけ放した生活をしたい。そんな日刊住まいライターが、ハウスメーカーで家を建てる際に行った外構にまつわる工夫と、住んでからの対策について紹介します。明るく開放的に暮らせるうえに、リビングからの眺めも良好。満足度の高い住まいになりました。

外からの視線を気にせず暮らせる家を建てたい

わが家は夫、筆者、小学生の息子2人(8歳と6歳)の4人暮らし。2年前ハウスメーカーで2階建ての注文住宅を建てました。わが家があるのは、古い住宅街の一角。碁盤の目のように区画されている場所で、角地です。

土地の西側と南側(最初の写真、庭の方向)は道路に面していて、残り二面は隣家が立っています。

 

わが家のリビングには、日差しが明るい南側の道路に向かって、大きな窓があります。現在筆者は、外からの視線を気にせずに、カーテンをあけたまま庭を眺める暮らしを満喫。

この環境を実現するために、家づくりの際と建てたあとで、工夫をしています。ハウスメーカーの設計士と外構担当者にも「外からの視線が気にならない設計をお願いします!」と依頼。

実施した工夫は、具体的に以下の3つとなります。

1.建物が立つ部分には、土を盛ってレベルを上げる
2.道路側に目隠しとなるブロック塀を設置。高さがたりない分は、常緑樹で補う
3.住んでからは、視線が気になったところにボーダーフェンスを設置

詳しく説明していきましょう。

 

建物が立つ場所に盛り土を。視線のバッティングを防ぐ

こちらは前面道路(西側)からみたわが家の敷地の様子。写真ではわかりにくいのですが、敷地境界線より、敷地の奥が少し高く、スロープ状になっています。外構工事で土地を盛って、建物と南に面した庭は、西側と南側(写真右側)の道路よりもレベルを上げました。

理由は、敷地外からの視線対策のため。道路よりわが家が高い位置にあれば、道路から家を見上げる形になります。同じ高さよりも、視線が向かいにくくなる効果があるのです。

実際、リビングの窓からは、南側の道路を行き交う人々の顔が見えません(塀や植栽の効果もありますが)。お互いの視線がバッティングしないので、とても過ごしやすいです。

ちなみに、土地のレベルを一部上げたのは、災害対策も理由のひとつ。わが家があるのは、ハザードマップでみると浸水50cmエリアだったのです。

ブロック塀と植栽を組み合わせで完璧な目隠しに

確実に外から見えなくするには、壁が有利。そこで道路に面している南側と西側の庭の入り口まで、ブロック塀を採用しました。

暮らしている住宅街では、ほかの家もブロック塀で区画されており、外観的にも地域になじみます。それに、ブロック塀なら、ウッドフェンスなどと比べてメンテナンスがラク。さらに、すき間もないので目隠しに最適です。

わが家では、白いレンガのように見える、おしゃれなブロック塀を採用。道路から見える白いブロック部分の高さは約177cmです。

道路から敷地のレベルが高くなったことも手伝って、ブロック塀があれば、室内はほぼ見えません。しかし、室内から外がまったく見えないようにするには、もう少し高さが欲しいところでした。

じつは、建築基準法の規制上、塀をこれ以上高くできなかったのです。悩む筆者に設計士が提案したのが「たりない部分は、目隠しになるよう、背の高い常緑の木を植える」ことでした。

 

常緑樹のシラカシを採用。ブロック塀に沿って、たくさん植えました。おかげで、100%とはいえませんが、室内からも外はほぼ見えません。

「植物で目隠しをすると、やわらかい印象になるので、ご近所への印象もいいですよ」。そう外構担当者が話していたとおり、とてもいい雰囲気。逆に室内から眺めても、無機質なブロック塀だけより、ずっとやわらかな印象に感じます。眺めもよくなり一石二鳥!

 

住んでから気になった部分には、ボーダーフェンスを設置

こちらは引き渡し直後の2年前の様子です。写真中央の隣家と接しているブロック塀は、もともとあった既存のもの。これは、筆者宅が建てたブロック塀より低いものでした。

じつはこのブロック塀自体が、敷地の境界線なのです。お隣との共有財産だったので、手をつけられませんでした。

目隠しとしては、高さの点で不十分。しかし、幸いなことに、隣家の建物とわが家の開口部が横並びで、視線がバッティングしません。お隣さんの庭木も立派だったので「ぜひ借景しましょう!」と外構担当者が、低さを生かした設計をしてくれたのです。

ところが…。住んでみたところ、この低いブロック塀を通じて、南側の道路からリビングが見えてしまうことに気づきました。また、お隣さんが木々を剪定しているとき、お互いがバッチリ丸見えで気まずかったことも…。

 

そこで自分たちで、人工木のボーダーフェンスを低いブロック塀に沿って取りつけました。高さは180cmの商品で、地面に突き刺して固定するだけの簡単なもの。ネットで購入し、組み立ても半日もかからず、取りつけが完了しました。

 

結果的に、わが家が設置したブロック塀よりも、ボーダーフェンス(写真中央部分)の方が高くなりました。気になっていた、道路から斜めの角度でリビングが見えてしまう問題も解決。お隣さんが剪定中でも、気にならなくなりました。

借景を考えて、ボーダーフェンスにしています。わずかにすき間がありますが、問題はまったくありません。

ちなみに、庭が外から見えないと、防犯上のリスクも高まる可能性があります。設計士からもその点は指摘され、わが家はセコムを採用しました。セコムを採用してでも、「プライベート感が守られる高い塀」と「外からの見えにくさ」を優先したかったからです。

 

この家に住んで2年。結果的に、外構計画を、ブロック塀と常緑樹の合せ技を採用してよかった! 絶対に隠したい高さまではブロック塀をつくり、たりない高さを植物で補う。プライバシーを重視する人にとって、このスタイルは満足度が高いと筆者は思います。

ちなみに植物は、日差しや土などの環境要因で、思い通りに葉がつかないことも。そもそも、どんな庭木を選ぶのかも重要です。プロへの相談は欠かせません。