ESSE読者から寄せられたお悩みに、清水ミチコさんがお答え!

帰省してきた子どもに、夫婦2人での生活パターンを崩されるのが面倒…

子育てが終了し、子どもは県外へ独立しました。たまに泊りがけで帰ってきてくれるのはうれしい半面、夫婦2人での生活パターンを崩されるのが面倒に感じ、罪悪感を覚えてしまいます。母親失格でしょうか?

うさこさん(49歳・製造業)

●自分たちの生活リズムに合わせてもらうのがベスト

短大生時代、私は親からしょっちゅう「たまには帰ってこい」と言われてました。今考えたら、そんなに重くなるほどの意味ではなく、「いつでも帰る場所はあるんだよ」という軽い優しさだったのかもわかりませんが、東京がどんどん好きになっていく私は、その言葉を聞くたびにどんよりと閉口したものです。

ところが、いざ夏休みなどに帰省してみると、自分の部屋が最初は少しずつ、しかしながら徐々に大胆なタッチで「物置き」と化してきてるのがわかりました。ダンボール部屋。ありがちな笑い話ではありますが、人の生活には「慣れ」が生じるんですよね。慣れという生活のリズムは、いちばん人を疲れさせません。入院などで、体以上に心労が重なってしまうのは、「慣れ」を家に置いてきてしまうからではないでしょうか。楽しい旅先などでも、想像よりも疲労はついてまわります。そこに「慣れ」までは連れて行けないからです。

私のもとマネージャーのNさんは親思いな性格なのですが、いつかこう言ってました。「実家に1泊するたび、親の生活リズムを崩してるなあって感じて、すっかり足が遠のきました」。なんと優しい。「足を運ばないという親切」というのも、たしかにあるんですよね。まさに親を切ると書いて親切と読みますが、いくら親子であっても、年齢を重ねれば大人同士のつきあい方に変わってくるのは当然のことで、ベッタリでも困る。

私がグッときたのは、Nさんの「視線」です。自分が来たことで、リズムを崩してることに気がつく、というこの視線こそが愛なんだって思えたのです。なかなか子どもの方からは気がつきにくいかもしれません。なぜなら親も(せっかく来てくれたんだから気分よく居て欲しい)と、ごちそうや雰囲気で「歓迎」してしまうからです。でも、子どもは案外、歓待されたいなんて思ってません。行けば喜ぶのでは? と気を使っているだけなのです。子どものあなたが私たちの生活リズムに合わせてね! という態度がベストです。

 

<清水ミチコさんがあなたのお悩みに答えます>

人間関係、子育て、仕事、体の不調…など、皆さんのお悩みに清水ミチコさんがお答えします。お悩みをesse.cbox@fusosha.co.jpまでお送りください。