持続可能な社会をつくるための「SDGs」。2030年までの達成をゴールとした「持続的な開発目標」を指し、世界的に注目されています。一見難しそうに感じますが、じつは私たちの暮らしのなかに取り入れられることがたくさんあります。

今回のテーマは「温暖化食い止め施策って効果出ているの?」問題について。SDGsに詳しいフジテレビの木幡美子さんに教えてもらいました。

温暖化食い止め施策って効果出てるの?SDGsの今

今年の7月の世界の平均気温は16.95℃と、観測史上最高を記録したそうです。どおりで暑いはずです。

これまでの記事でずっと温暖化を食い止めるための方法をご紹介してきました。でも、「地球はもう沸騰している」とまで言われる今の状況を見ると、なぁーんだ、ちっとも改善していないのでは? と思ってしまいます。果たしてその進捗は?

今回はちょっと立ち止まって、ここ数年の私たちの努力の成果を探ってみたいと思います。

温暖化対策1:プラスチックごみって減っているの?

まずは、プラスチック問題。

プラスチックは、便利ではありますが、石油などの化石燃料を原料とし、つくるときも廃棄処理するときも温暖化の原因となる二酸化炭素をたくさん出しています。しかも、自然には分解されないのでやっかいです。

●レジ袋辞退率は確実に増加

それを減らすための方策のひとつとして、小売店でのレジ袋有料化が2020年7月にスタートしました。お店では、必ず「レジ袋はいりますか?」と聞かれるようになりましたが、みなさんは、どうしていますか?

この制度が始まってから丸3年が経つのですが、全国のスーパーにおける辞退率(マイバッグ持参率)はというと、約80%(2021年度)に達したそうです!

 

制度開始前の19年度は約57%だったということですから、かなり増えていますね。

●レジ袋消費量は3年間でほぼ半分に

これによって、国内のレジ袋消費量は19万7,000トンから10万トン、ほぼ半分になっています。すごい!(拍手) まずは削減に貢献したみなさん、自分を褒めてあげてください。

私も、意地でもレジ袋をもらわないよう、万が一マイバッグを忘れたら手で持ったり、商品を自転車のカゴに入れるなどしてきました。こうした、ひとりひとりの努力がこの結果につながったのだと思います。

●プラスチックごみはまだまだ多い

 

しかし、それでも日本国内のプラごみ総排出量は824万トン。1人当たりのプラ容器包装の廃棄量はアメリカについで世界第2位です。レジ袋はその中のほんの一部でしかないので、引き続きプラ削減に向けてがんばらないといけません。

温暖化対策2:食品ロスは減っているの?

続いて、食品ロス問題。
農水省によると日本における2015 年度の食品ロスは645万トンでしたが、21年度は523万トン。123万トンも減ったのです。こちら、約20%減ですから結構すごいと思いませんか?

食品を扱う多くの企業が真剣に取り組んだこと。そして、私たちも野菜の使いきり作戦や上手な保存法など、少しでもムダを省くことが2割削減につながったのかもしれません。

こういった「がんばった証」をより大々的に示す“ポジティブな推進”をもっとやってほしいと思います。だれだって結果が出ないとやる気が失せてしまいます。

 

温室効果ガス…結局今どうなっているの?

では、いちばん大事な指標である温室効果ガスはどうなったのでしょうか?

地球温暖化の防止には、温室効果ガス、中でも温暖化への影響が最も大きいとされる二酸化炭素の大気中の濃度をこれ以上増やさないこと、これが大事です。

日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを実現することを宣言しています。

2021年度の日本の温室効果ガス11億7,000万トンでした。前年比べると2%ほど増えてしまっていますが、8年前の2013年度と比べると約2割=2億3,800万トンも減っているんです。結果は出始めています。

●地球温暖化対策はダイエットに似ている

ふと、温暖化ってダイエットに置き換えるとわかりやすいのかも、と思いました。

「最近ちょっと太ったなー、思いのままに食べていたからなー」
そんなことありませんか?

人間ドックでメタボと言われ、このままだと病気になりますよ、と警告される…いったん重い病気になれば回復は難しくなります。ただ、生活習慣を改善しないといけないとわかっていても、ついついちょっとダイエットしたからって変わらないか…と自分を甘やかしてしまう。

 

まさに、地球も同じで、すでに人間が便利さや経済活動を優先させた結果、温室効果ガスが増えすぎて、“地球ドック”があったとしたら、危険信号が出ている状態です。

●小さな努力こそ結果につながる

だから、それを減らすためにちょっとでもいいからできることをやらないとダメと、国連はお医者さんのような立場で、どうしたらみんながCO2を減らすダイエットに取り組めるかを考え、TO DOリストとしてSDGsを出したのかもしれません。

運動をしたり、食事内容を改善し、今よりちょっと量を減らせば、必ず体重は減ってメタボも改善します。

地球もきっとそう。
残念ながらもう病気になってしまっていると言わざるを得ませんが、回復のために自分ひとりがなにかやっても変わらないと思うのではなく、まずは小さな1歩でもやってみること。

取り返しがつかなくなる前に、より多くの人がアクションを起こせば、きっといい方向にいくはず! その最後のチャンスがまさに今なのです。