本田真凜インタビュー『ワンピース・オン・アイス』後編

アニメ『ワンピース』がフィギュアスケートに! そんな史上初の試みで、本田真凜はアラバスタの王女・ビビ役を演じる。8月11日開幕の『ワンピース・オン・アイス〜エピソード・オブ・アラバスタ〜』横浜公演直前、スポルティーバのインタビュー取材で今回のアイスショーの手応えや見どころなどを語ってくれた。


『ワンピース・オン・アイス』稽古をする本田真凜

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●仲間と練習の日々「オフが寂しい」

ーー現在、どのような気持ち、状態で『ワインピース・オン・アイス』の稽古に臨んでいますか?

本田真凜(以下同) お稽古が毎日朝から夜まであって大変ではあるんですけど、充実した練習ができています。今までに自分たちがやったことがない分野というか、役者に近い感じのジャンルをやっているので、楽しい学びがあります。最初の頃は不安もあったんですけど、今は本番が楽しみです。

ーーお稽古の毎日は本田さんにとってどういう日々ですか?

 ここまで長期間の稽古というのは初めてです。ときどき、オフの日があると寂しいというか。やっている最中はずっと滑っているのでみんなキツそうだなとかキツいなと思うこともあるんですけど、その日々が恋しくなるような感覚になります(笑)。

ーーショー全体を通してひとつの物語を表現するというアイスショーは、本田さんのスケートにどういう影響をもたらしますか?

 もともと表現することがすごく好きで、(俳優でもある)妹の望結みたいに演技をした時にどこまでできるのかなというのは最近、特に興味があったんです。このアイスショーはスケートと演技のちょうど間くらいなので、そういったことを習得できているというか、勉強できている感覚です。

 スケートのプログラムって決められた振付けじゃないですか。1年を通して1曲を上手に仕上げていくという感じなので、表情を変えたりというのは意識したことがなくて。

 今回はセリフに合わせて演技をしたり、効果音があったりするので少しも間違えられないですし、技を繰り出したり、キャラクターになって物語を表現するというのは今までになかったことなので、すごくいい経験です。

●演技への挑戦は「今後に活きてくる」

ーー稽古を初めて拝見して感情が伝わる演技に感動しました。

 ありがとうございます。もともとどちらかといえばそういう(感情を演技にのせる)タイプで、楽しい曲を使っていたら楽しく滑るし、練習で調子がよくなくて悲しかったらそのままの流れで引きずってしまうタイプなんですけど、今回は特にそうですね。

ーービビに感情移入している時、一番心が動くのはどのシーンでしょうか?

 ビビは麦わらの一味を少し離れた場所から客観的に見るシーンが多いと思います。麦わらの一味がビビのために戦ってくれている様子を違う場所から見ていたりすると、胸が締めつけられるような感情になってしまいます。

ーー個人的なおすすめシーンはありますか?

 やっぱり最後の、「仲間の印」のシーンです。ビビと麦わらの一味のお別れのシーン。そこでは麦わらの一味は船の上でこちらが見えていないと思うんですけど、ビビからはみんなが見えるので、初めてそのシーンのお稽古をした時も涙が出てしまうような感動がありました。どのシーンもおすすめなんですけど、一番好きなのはそのシーンです。

ーー今回の経験が将来に役立ちそうだなと感じることや、挑戦してみたいと思うことはありますか?

 演技はもっとしてみたいです。もともと興味はあったんですけど、この『ワンピース・オン・アイス』のお稽古を通して、やってみたいなとさらに思いました。どんなふうに自分ができるかはわからないですけど、この経験が今後に活きてくるんじゃないかなと思っています。

 自分のプログラムの練習をする時も、今までよりももっと自由な感じで表現できていて、決められた振付にプラス自分のその時の感情やストーリーを表現できるようになったと思います。

●ルフィとクロコダイルの戦いは必見!

ーー『ワンピース・オン・アイス』が日に日に完成に近づいていくにつれて感じることや、どこを見てほしいかを教えてください。

 最初はお稽古が始まる前に望結とアラバスタ編を見て、例えば、ルフィの「仲間だろうが!!!」というセリフの時にどうやって表現するんだろう? ステップするのかな? ジャンプするのかな? とふたりで言い合っていたくらいまったく想像ができていなくて。

 今となっては、特にルフィとクロコダイルの戦いのシーンは稽古でもう何十回も見ているんですけど、毎回見入ってしまうような迫力がスケートでそのまま表せているので、すごいなと思っています。

ーー最後に、楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。

 今まで何回もアイスショーや試合を見てくださっている方も、まったく新しいジャンルのスケートなので楽しんで観ていただけるんじゃないかと確信を持っています。ワンピースファンの方や、今までスケートを見たことがない方でも、ストーリー性があってすごく楽しいショーになっているのでぜひ見に来てください!

(終わり)

前編<本田真凜が語る『ワンピース・オン・アイス』舞台裏 稽古で感じた妹・望結の影響力>を読む

【プロフィール】
本田真凜 ほんだ・まりん 
フィギュアスケーター。2001年8月21日、京都府生まれ。2歳からフィギュアスケートを始め、ノービス時代から国際大会に出場。ジュニアに参戦した2015−2016シーズンには世界ジュニア選手権では優勝。翌2016−2017シーズンは世界ジュニアで2位、シニア選手に相手に全日本選手権でも4位に入る。シニアに転向後、全日本選手権やグランプリシリーズなど国内外の大会に出場。JALスケートクラブ所属。明治大学在学中。

『ワンピース・オン・アイス〜エピソード・オブ・アラバスタ〜』 
アニメ『ワンピース』が史上初のアイスショー化。日本屈指のスケーターが集結し、アニメの声優たちのセリフに合わせ、フィギュアスケートならではのスピード感、躍動感で『ワンピース』の世界を表現。光やプロジェクションマッピングの演出によるスペクタクルなアイスショー。8月11〜13日(横浜)、9月2〜3日(名古屋)の全国2カ所で全10回公演。