夏の新潟開催2週目に行なわれる重賞は、3歳馬によるGIIIレパードS(8月6日/新潟・ダート1800m)だ。過去にはここをステップにして、その後のダート重賞戦線で飛躍を遂げた馬も数多くいて、見逃がせない一戦となる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は4勝、2着3回、3着1回と、その信頼度は高い。だがその一方で、伏兵の台頭も頻繁に見られ、3連単では高配当が続出している。そうしたレースの傾向について、競馬研究の藤田浩貴記者はこう語る。

「最近は6年連続で7番人気以下の馬が連対中で、1番人気が好成績を残しているわりには、荒れる傾向が強くなっているレースと言えますね。その要因としては、暑い時期で調整面での難しさがあるうえ、器用さの求められる新潟・ダート1800mのコース形態が大きく作用していると思います」

 そして藤田記者は、今年もひと筋縄とはいかないと見て、人気を集めそうな面々について懐疑的な目を向ける。

「今年は、エクロジャイト(牡3歳)やミスティックロア(牡3歳)あたりが上位人気を形成しそうですが、前者はもまれ弱さがあって、好走には注文がつきます。後者もまた、ゲート不安に加えて、前走ではキックバックを気にしていたのが引っかかります。それぞれ、条件が向けばそれなりに好走できると思いますが、過信は禁物でしょう」

 では、藤田記者が期待するのはどういった馬なのか。厳選してピックアップしたのは、人気の盲点となりそうな実力馬2頭だ。

「まずは、ライオットガール(牝3歳)です。昨年10月に、デビュー2戦目の未勝利戦(阪神・ダート1800m)を勝利。その後、1勝クラスでは壁を感じる内容が続いていましたが、ひと息入れた今春の復帰戦で3着と好走して以降の充実ぶりには、目を見張るものがあります。

 6月には牝馬限定戦とはいえ、古馬が混じっての2勝クラス(6月10日/阪神・ダート1800m)を快勝。3歳馬がこの時期、ダート戦線の準オープンにまで出世するのは稀なことです。

 さらに、前走では3勝クラスのマレーシアC(7月8日/中京・ダート1800m)で古馬牡馬相手に4着と善戦。流れが遅く、終始大外を回る厳しい条件にあって、最後まで上位に食らいついていきました。斤量51kgだったとはいえ、それ以上に中身の濃い内容でした。

 好センスの持ち主で、キックバックや馬込みも何ら問題のないタイプ。しかも、鞍上がロスなく立ち回るのが得意な岩田望来騎手というのも心強い限りです。

 状態面に関しても、直前は輸送を考慮して坂路の単走でしたが、53秒8−12秒4とラクな感じで好時計をマーク。4月から月イチのローテで使われているなか、"夏は牝馬"の格言どおりにバテた様子はなく、元気いっぱいです。

 陣営によれば、『輸送でイレ込むので、一泊競馬が課題』とのことですが、そこさえクリアできればチャンスは十分にあるでしょう」

 藤田記者が注目するもう1頭は、距離短縮でここに臨むソッコータルマカ(牡3歳)だ。

「気性の幼さが残っていて、揉まれたり、砂を被ると嫌がる面はありますが、すんなり運べた際にはしぶといタイプです。

 肝心の展開面では、積極策を示唆していたゴールドバランサー(牡3歳)や先行脚質のアクションプラン(牡3歳)などが除外になったので、自分の形に持ち込みやすくなりました。エクロジャイトとパクスオトマニカ(牡3歳)の直後あたりにつけられれば、ごちゃつくこともなさそうです」


レパードSでの一発が期待されるソッコータルマカ

 父ホッコータルマエは、現役時代にこのレースを勝利し、出世の足掛かりにした。

「血統的には、父ホッコータルマエに、母父ゴールドアリュールというコテコテのダート血統。父同様に上級レベルに育つ下地は十分あります。

 状態に関しても、2走前に1勝クラスを勝ったあとはツメの不安で少し間隔が空きましたが、前走を叩いて気配はグンと上向き。もともとおっとりした性格で、使ってよくなる叩き良化型です。

 直前(の追い切り)も終(しま)いまでビシッとやって、攻め駆けしない馬がラスト1ハロン11秒8なら上出来。体にもシャープさが出てきて、間違いなく上積みは大きいです。

 左回りの中京で2勝を挙げている点も強調材料。長所&短所を知っている坂井瑠星騎手に手綱が戻る点も魅力です」

 3連単では2017年に80万円超え、2018年には60万円超えの高額配当が飛び出しているレパードS。今年も波乱ムードが漂うなか、ここに挙げた2頭が高配当の使者となるのか、注目である。