埼玉県と群馬県を結ぶ新たな橋「利根川新橋」の構想が本格的に動きそうです。これは戦国時代からの歴史を持つ渡し船「赤岩渡船」の代替となるものです。

埼玉と群馬を結ぶ「赤岩渡船」の代替に

 利根川で隔てられた埼玉県と群馬県を結ぶ新たな橋「利根川新橋」の構想が本格的に始動しそうです。どのような効果が見込めるのでしょうか。


「利根川新橋」の計画地(2023年7月、乗りものニュース編集部撮影)。

 現在、埼玉県北部と群馬県南部は、国道407号「刀水橋」(熊谷市〜太田市)と利根大堰の「武蔵大橋」(行田市〜千代田町)などで結ばれていますが、2つの橋は約10kmも離れています。このため刀水橋に交通が集中し、慢性的な渋滞が課題となっています。そこで刀水橋と武蔵大橋の間に利根川新橋を整備し、混雑緩和を図ることが望まれています。
 
 利根川新橋は、埼玉県熊谷市と群馬県千代田町を結ぶ「赤岩渡船」の代替となるものです。この赤岩渡船は、県道熊谷館林線の一部として千代田町が運行している渡し舟で、戦国時代からの長い歴史を持ちます。
 
 ここに橋を架ける構想は古くからあり、1997年には埼玉・群馬・栃木の6市4町で構成する利根川新橋建設促進期成同盟会が設立され、国や県へ要望活動を行ってきました。栃木県側では国道293号を足利市から南側に延伸し、利根川新橋へとつなぐことも提案されています。

 ただ、利根川新橋は川幅が広いため大規模な橋梁になることや、隣接する日本学生航空連盟の妻沼グライダー滑空場が支障となることなど、課題もありました。
 
 そうした中、2023年5月、群馬県の山本一太知事が新橋の整備に着手する方針を表明。長年の課題だったグライダー滑空場については、2020年に隣接する妻沼ゴルフ場が閉鎖されたことで移転の検討が可能となるなど、状況が変化してきたといいます。
 
 埼玉県の大野元裕知事も、県議会の6月定例会で「今年度、現地の測量に着手するなど、事業化に向けて道路計画を具体化するための調査検討を着実に進めていく」意向を示しました。今後、事業化に向けた具体的なアクセスルートの検討が行われる予定です。
 
 利根川新橋の建設により、熊谷市〜千代田町〜足利市の往来が円滑になる見込みです。また、沿線自治体では通勤・通学圏の拡大、救急医療体制の連携、工業が集積する群馬県東毛地域の産業振興なども期待できるとしています。