「大荒れ」の福島で馬券は紙くずと化した…が、帰り際に思わぬ「女神」がほほ笑んだ
福島から北陸道をゆく「旅打ち」
第3回:やっぱり福島はゲンがいい
福島競馬場に到着
福島競馬場には、第6レースの直前に着いた。
ただ、このレースと次のレースは"見(ケン)"。馬券を買うのは自分好みの芝の長距離戦、第8レースからと決めていた。
その前に、まずは腹ごしらえだ。
フードコートのあるスペースに行くと、「米沢牛」という呼び文句が目についた。とはいえ、メインの牛串は少し高いし、腹一杯になりそうもないので、代わりに「米沢」のブランド名がついていない、ただの「牛肉焼きそば」と生ビールを注文することにした。
牛肉焼きそばとビール
ビールは旨いし、焼きそばも結構いけた。
食後はしばらく場内散策。福島はこの時期、桃がうまい。場内にあったソフトクリームの売店でも「白桃ソフト」が人気で、切れ目なく客が訪れていた。
福島競馬場限定の「白桃ソフト」が人気
そうこうするうちに、第6、第7レースが終了。お目当ての第8レース、芝2600m戦の時間となった。
真っ先に思ったのは、下級条件では「斤量有利な3歳馬が強い」ということ。このレースにも半数近い6頭の3歳馬が出走していた。
軸は、福島県出身・田辺裕信騎手の騎乗馬と決めていた。そこから、3歳馬に総流ししようかと思ったが、さすがに初芝となる1番の馬と、芝で好走例のない6番の馬はキツいだろうと踏んで、その2頭を外し、他に4歳馬3頭を選んだ。
ところが、ところが、である。
軸にした田辺騎手の馬は勝ったものの、2着には「初芝でキツい」と見て切った1番の馬が突っ込んできた。馬連万馬券の大波乱である。
競馬はリクツだけで勝てるものではない。その鉄則を無視して、一瞬頭をよぎった"3歳馬に総流し"を閃いた自分を信じきれず、ヘタなリクツを優先させた結果がこの始末だ。
「福島はゲンがいい」じゃなかったのか......。
それにしても、この日の福島後半は妙に荒れた。第9、第10、第11レースと馬券を買い続けるも、ひとつも当たらずじまい。
惜しくも「紙くず」と化した馬券
極めつけが第10レースの白河特別――。
ここで少々自慢をさせていただけば、私、長年に渡るPOG(ペーパーオーナーゲーム)の愛好者で、何年か前までその世界では少しは知られた某会に所属していた。そこで、最大の"愛馬"となったのが、二冠馬ドゥラメンテ。
もともとエアグルーヴが好きで、ダイナカールから始まるその系統を指名し続けてきた。それで結構いい思いもしてきたが、一方で「エアグルーヴ系から牝馬のA級馬は出ても、牡馬は出ない」と揶揄され続けた。現にそうで、そうした声に反論できず、ずっと悔しい思いをしてきた。
そこへ、颯爽と"救世主"のように登場したのがドゥラメンテだ。彼がダービー馬になった時の痛快な心境は、おそらくPOG愛好者ならわかっていただけるだろう。
そのドゥラメンテは早逝してしまったが、以来、心に決めているのが、ドゥラメンテ産駒の馬券を買い続けること。昨年末のホープフルSや今年のオークスなど、ここ最近はわりといい思いをさせてもらっている。
そしてこの日の第10レースにも、グランドラインというドゥラメンテ産駒が出走。当然「馬券はこの馬から」というより、この馬を頭にして馬単を買った。
再び、ところが、である。頭にしたグランドラインが2着。勝ったのは、なんと1年3カ月ぶりの休養明けで、しかも馬体重が前走比で20kgも増えていた、まったく人気のないセイウンプラチナという馬だった。
馬連はまたも万馬券。「こんな馬券、どうやったら買えるんだ!」と毒づいた。
今回の福島は、本当に"トンデモ馬券"の連発で、理不尽すぎた。「オレの福島でのツキもここまでか......」と思いながら帰り支度をする。
別会場の中京記念が的中してチャラに
トボトボと歩きながら場内ビジョンを見つめると、ちょうど同時開催の中京で行なわれていた重賞、中京記念が放送されるところだった。馬券は購入していたが、あまり深く考えずに買ったのでさして期待していなかった。
すると、三度のところが、である。馬連配当4430円が見事に的中! それまでの負けがチャラになった。
やっぱり、福島にはまだツキがある。
最終レースは見送って福島駅へ戻り、そこから東北本線で郡山へ。さらに磐越西線で十数駅停車しながら、会津若松へ向かった。翌日の予定を考えると、ここを本日の終着点とするのがベストだった。
会津若松に着いた時は、もうすっかり日が暮れていた。ディナーはご当地名物の喜多方ラーメンとビール。旨かったなぁ〜。
最初の宿泊地、会津若松では喜多方ラーメンに舌鼓を打った
(つづく)