バーガーキングの朝メニュー モーニングコンビ 390円(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第35回となる今回、訪れたのは「バーガーキング」です。

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飲食チェーンがひそかにしのぎを削っているジャンル、それが「モーニング」です。朝の数時間だけ提供される限定メニューは、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

そのなかでもとくに、朝限定メニューを積極的に展開しているのが、カフェチェーン、ファミレスチェーン、牛丼チェーン、ハンバーガーチェーンです。マクドナルドの朝食メニュー「朝マック」に至っては固有名詞としてもすでに定着しています。

今回は、近年破竹の快進撃をみせる「バーガーキング」の「モーニングコンビ」をご紹介します。

バーガーキングの朝メニューは3種類

「バーガーキング」の朝メニュー「モーニングコンビ」は3種類で、販売時間は開店から朝10時30分までです。

「モーニングコンビ」の実施店舗は、公式ホームページの店舗検索画面の朝メニューにチェックを入れれば、最寄りの店舗が表示されます。


なお、公式サイトには朝メニューのページがない模様です(筆者撮影)

メニュー内容は、

・チーズバーガー
・タルタルチキンバーガー
・フィッシュバーガー

のいずれかに、Sサイズのドリンクをセットにして、税込390円となっています。

ドリンクは10種類以上から選べます。

・アイスコーヒー
・アールグレイアイスティー
・ブレンドコーヒー
・ダージリンティー
・コカ・コーラ
・コカ・コーラ ゼロ
・スプライト
・ジンジャーエール
・ファンタメロン
・ウーロン茶
・カルピス
・オレンジジュース
・ミネラルウォーター


壁のイラストがかわいい(筆者撮影)

ドリンクをサイズアップした場合、Mサイズなら税込50円プラス、Lサイズなら税込100円プラスになります。

単品価格でみると、「チーズバーガー」は税込280円、「タルタルチキンバーガー」は税込350円、「フィッシュバーガー」は税込400円です。

Sサイズドリンクの価格が230円なので、値引き率の低い「チーズバーガー」でも23%オフの120円値引き。「フィッシュバーガー」にいたっては、単品で注文するよりも、ドリンク付きの「モーニングコンビ」を購入したほうが安いというパラドックスが生じる、38%オフの240円値引きで、すごいお得感でした。

当記事ではすべての「モーニングコンビ」を、順を追って紹介していきます。

バーガーキングのモーニングコンビ チーズバーガー 390円


バーガーキングの朝限定メニュー チーズバーガーとホットコーヒーのコンビで390円(筆者撮影)

「バーガーキング」といえば、特大サイズで具沢山のハンバーガー「ワッパー」シリーズが看板メニューですが、「モーニングコンビ」の「チーズバーガー」は、通常サイズのハンバーガーで、「マクドナルド」や「モスバーガー」と同じぐらいのサイズ感です。

「チーズバーガー」は、バンズに、ビーフパティとスライスチーズとピクルスを挟んで、ケチャップとマスタードで味付けした、いたって普通のスタンダードなレシピになっています。


サイズもレシピもいたって普通な、正統派チーズバーガーです(筆者撮影)

とはいえ食べてみると、「バーガーキング」の直火焼きパティならではの、肉がガツンと来る感じが、ちゃんと伝わってきました。


ビーフ100%のパティは直火焼きならではの香ばしさ(筆者撮影)

100%ビーフを使用したパティは、画一的に成形された同業他社のものよりも、いびつな形状をしていますが、直火で炙られて余分な脂が落ちて肉の旨味をぎゅっと凝縮。食べると直火ならではの薫香がふわりと口内に広がります。

バンズのクラウン(上部分)は「ビッグマック」のように、白ゴマがふってあり香ばしい。パンの厚みがあるため、一見すると重そうですが、空気をたっぷり含んだふわっと軽い食感で、肉とチーズのハーモニーを引き立てる名脇役です。


チーズバーガーの断面図。マスタードが強めで大人向けの味わい(筆者撮影)

ハンバーガーはジャンクフードの代名詞のように言われますが、チーズバーガー単品で見ると実はそうでもなかったりします。チーズバーガーとホットコーヒーを組み合わせた朝食なら、罪悪感を持たずに食べられるのではないでしょうか。

バーガーキングのモーニングコンビ タルタルチキンバーガー 390円


バーガーキングの朝限定メニュー タルタルチキンバーガーとアイスコーヒーのコンビで 390円(筆者撮影)

「タルタルチキンバーガー」は、「チーズバーガー」と同じゴマつきのバンズで、とりむね肉のフリットと、レタスを挟み、タルタルソースで味付けしたチキンバーガーです。

とりむね肉を薄めの衣で揚げたフリットは、外はサクッ、中はしっとりの、しつこすぎない軽やかな味わいでした。つまりは、淡白であっさりしています。


とりむね肉のフリット。衣は薄く軽やかな味わい(筆者撮影)

そこに「バーガーキング」の濃厚で大きめの具がゴロゴロ入ったタルタルソースをドン! 独特の酸味とまろやかさは、タルタル好きにはたまりません。

ただしタルタルソースは調味料のなかでは随一のボリューム感の持ち主なので、一口目は「おいしい〜」と、舌鼓を打っていても、後半には飽きが来るというのも、よくある話。


シャキシャキレタスが食感にコントラストをプラス(筆者撮影)

「タルタルチキンバーガー」は、タルタルとチキンの間にレタスを挟むことで、みずみずしさとシャキシャキした食感をプラスして、中だるみをブロック。おかげで、最後までおいしく食べきれました。

コンビのドリンクは、アイスコーヒーを組み合わせました。タルタルが口内を占拠したら、アイスコーヒーの清涼感で口の中をリセットできる、相性の良い組み合わせです。

バーガーキングのモーニングコンビ フィッシュバーガー 390円


バーガーキングの朝限定メニュー フィッシュバーガーとコカ・コーラのコンビで390円(筆者撮影)

「バーガーキング」の朝メニューで選べる3種類のバーガーのなかで、最も値引率が高く、お得感が強いのが「フィッシュバーガー」です。

フィッシュフライとタルタルソースはフードペアリングの王道、誰もが知る名コンビです。あっさりとした白身魚をサックリフライにして、こってりしたタルタルソースをたっぷりかけて、ゴマ付きバンズとチーズで挟む。どう考えても、ハズレ知らずの組み合わせです。


フィッシュフライは、粗挽きパン粉でザクッとした歯ごたえ(筆者撮影)

「バーガーキング」のフィッシュフライは、白身魚にやや粗めのパン粉をまぶして、しっかりめに揚げてあり、「マクドナルド」の「フィレオフィッシュ」の洗練された均一的な見た目と比較すると、手作り感のある、街のお惣菜屋さんのコロッケのように朴訥とした、カリホク感のある仕上がりでした。


白身魚の淡白さと、タルタルソースの濃厚さの相性は抜群(筆者撮影)

食べると口の中でホロホロとほどける白身魚と、表面のカリカリのコントラストを楽しめます。白身魚のヘルシーさを帳消しにする、タルタルとチーズの波状攻撃が加われば、そりゃあもう濃いのなんの。

毎日食べるにはトゥーマッチですが、罪深さと比例しておいしい、ピザやからあげと肩を並べるギルティグルメだと思います。カロリーなんて一切忘れて、コカ・コーラと組み合わせてジャンクにむさぼれば、日頃の憂さも吹き飛びます。

バーガーキングが若い男性にウケる訳

今回訪れた店は、オタクの聖地として名高い街の、駅徒歩1分という絶好の立地にある路面店です。


完全キャッシュレスのタッチパネル式セルフレジ(筆者撮影)

オーダーカウンターにはスタッフがいるものの、注文はすべてタッチパネル式のセルフレジ形式で行います。ラーメン店や牛丼チェーンの入り口で買う食券と同じようなものだと思っていたら、キャッシュレスかつバーコード決済に対応していなかったため、少し慌てました。

入店したのは日曜の朝9時頃。50席以上ある2階席に座ったときには、お客さんは筆者を含めて5人しかいませんでしたが、じわじわと客席は埋まり続け、退店する10時前には席の半分近くが埋まっていて、セルフレジの前にはさらに行列ができていました。

ほとんどが若い男性で、グループ客も多め。女性客も数人いるものの、夫もしくは恋人であろう男性と連れ立って来ていました。「マクドナルド」や「モスバーガー」の客席と比べると、男性の比率と若者の比率が圧倒的に多いのが特徴的です。

街の特性も多少はあるでしょうが、「バーガーキング」のメニュー自体が、ボリュームや味付けともに、若い男性が好むものであるというのが顕著に出ているなと感じました。

尖っているからこそ感じる面白み


朝の喧騒のなか、ホッとする朝のひとときを過ごします(筆者撮影)

そもそも、看板メニューのワッパー(大きめサイズのハンバーガー)は、バンズの直径が約13センチもあり、「ビッグマック」ですら足元にも及ばないほどのボリューム。期間限定メニュー「ビッグベット」に至っては、単品価格で1000円超えという、ハンバーガーの常識を超えるボリュームと価格設定になっています。

もちろん、この量を食べきるには、おいしいのが大前提ですが、たまにはヘルシーとか腹八分目を忘れて、お腹いっぱい肉と炭水化物を食べたい。その欲求を満たしてくれるのが「バーガーキング」なのかなと思いました。

最近の「バーガーキング」の勢いの秘訣は、ターゲットを明確にしているところなのかもしれません。「食欲旺盛な腹ペコさん(往々にして若い男性)のためのハンバーガー店として、個性を際立たせて尖っていこうぜ!」という、信念が伝わってきます。


こちらのロゴもかわいいですね(筆者撮影)

ハンバーガー屋でカフェメニューを出さなくても、おしゃれなフラペチーノを飲みたい女子は「スタバ」に行けばいいし、ごはんを食べたい人は、ごはんバーガーを食べなくても定食屋にいけばいい。老若男女みんなに喜ばれるメニューもいいですが、やはり万人受けを狙うと角が丸くなってしまいがちです。そうすると面白みはどうしても欠けてしまう。

「思わず写真を撮って誰かに見せたくなるようなハンバーガー」「食べきったことをSNSで自慢したくなるほどの大きさ」という部分に、「バーガーキング」の面白みが詰まっています。

今回ご紹介した「モーニングコンビ」にも、「バーガーキング」らしさは健在です。何せ、単品価格が税込400円の「フィッシュバーガー」を、朝だけドリンク付きで税込390円で提供しているのです。「マクドナルド」など他チェーン店が値上げを続ける今、そのコスパの良さは日に日に増している気がします。

お得さはもちろんですが、こんな面白いメニュー、ほかには見たことがありません。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)