日本で公開されたインド映画で、史上初めて興行収入20億円を超えるヒットを記録し、映画『RRR』の展示会が行われますが、同作は乗りものが効果的に使われています。

ハリウッドとは違ったド迫力シーンの数々

 日本で公開されたインド映画で、史上初めて興行収入20億円を超えるヒットを記録した『RRR』の展示会が、2023年7月27日より東武百貨店池袋本店で行われています。


『RRR展』のキービジュアル(画像:『RRR展』)。

 同作は1920年代、英国植民地時代のインドで、傲慢に振る舞う総督にさらわれた少女・マッリを救うために立ち上がったゴーンド族の戦士・ビームと、警察として英国政府に建前上は従っているが高い志を秘めているラーマが主人公になっています。劇中のナートゥダンスは、この作品が米アカデミー賞の歌曲賞を受賞したこともあり、かなり注目されるようになりました。

 しかし、本作の最大の魅力は、ビームを演じるNTR Jr.とラーマを演じるラーム・チャランというふたりの主人公による、鍛え上げられた肉体を駆使した派手なアクションシーンにあります。そして、それらシーンの盛り上げにひと役買っているのが、各種“乗りもの”です。

 まず忘れてはいけないのが、ビームとラーマが出会うシーンです。互いの身分も知らずに初めて出会うのは、列車事故の現場。今にも鉄橋と列車が落ちてきそうな川の中州に取り残された子どもを救うため、それぞれの体にロープを縛り付け、ビームはバイク(ロイヤルエンフィールドのブリット)、ラーマは馬にまたがり爆走。橋の両サイドから燃え盛る川へとダブルバンジーを決めるというとんでもない方法で救出します。

 序盤からいきなりクライマックスのような派手なシーンを見せつけられますが、ここのシーンで、火を避けるためにラーマがビームにインド独立運動の旗を、逆にビームがラーマに中洲から救った子どもを託すことが、この後のふたりの運命を暗示するような伏線になっており、最後まで見ると妙に納得するシーンとなっています。ちなみに、ふたりは初対面で、一切喋らずアイコンタクトだけでこの一連の行動をとります。

バイクは移動手段であり打撃・投擲武器

 バイクメーカーのロイヤルエンフィールドが現在はインド資本であることも影響があるのか、同作では全編を通して、バイクが印象的なシーンに登場しますが、中でも最終盤の戦闘シーンは圧巻です。


第2次世界大戦でイギリス軍も使用したBSA M20(画像:パブリックドメイン)。

 ビームが英国軍との戦闘に使用するのですが、乗りものとしてだけではなく、英軍が乗ってきたBSA M20と思われるバイクを、ビームが気合を込めたストンピングで地面を叩いた反動で跳ね上げ、そのまま打撃武器や投擲武器としても使用するのです。「いや、そんな無茶苦茶な」と思う人もいるかもしれませんが、その時点では、思考が『RRR』に順応しているので「やっぱバイクは打撃武器だよね!」と思ってしまいます。

 なお、同作で最高の“乗りもの?”が登場するのが、拷問を受け脚の自由が効かないラーマを救出に来たビームが肩車をして戦うシーンです。射撃が得意なラーマが英兵から奪ったエンフィールドライフルで射撃を担当。怪力で足腰も強いビームが移動を担当し、大勢の敵兵相手に無双します。もはや肩車というより合体ロボットのようなノリで、高速で地を駆け、宙を舞い、敵を撃ち抜くといった状況で、「世界最強の肩車」とも言われています。普通に考えれば無謀な戦い方なのですが、前述したように、ここに至るまでの印象的なアクションの数々で『RRR』のノリに染まり切っているので、「なんて合理的な戦法なんだ…」と思えてしまうのです。

 そうした問答無用の面白さが連続する、『RRR』の展示会は2023年8月8日まで武百貨店池袋本店で行われた後、2023年9月13日から9月25日まで、あべのハルカス近鉄本店でも開催されます。