男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「女が二度と男の誘いに乗らなかった理由」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:別れ際、女をそっと抱き寄せた男。「次は僕の家で…」と約束をしていたけれど…




金曜の夕方。一通のLINEに既読はつけたものの、そのまま放置する。

― hayato:奈々美ちゃん、この前話してたご飯だけど来週土曜とかどうかな?

いい人だと思っていたし、レストラン選びのセンスも良かったので二度ほどデートをした。

でもデート中に、私は心底嫌な思いをした。嫌な思いというよりも、「グーパンチで殴りたくなった」と言ったほうが正しいかもしれない。

「絶対にナシ。会う理由がなさすぎるでしょ」

LINEを見ながら、思わず声に出してそう言っている自分がいた。

それほど、もう隼人に会いたくないと思っていた。


A1:初デートの時は、真面目でいい人だった。


隼人に出会ったのは、知り合いの食事会だった。ただこの日隼人は仕事があったらしく、彼が合流したのは2軒目からだった。

「遅くなってすみません、隼人です」
「隼人さん、待ってましたよ〜」

腰が低くて、いい人そうな隼人。この日私や他の2人は既に酔っ払っていたけれど、楽しかったのでみんなで24時過ぎまで飲んでいた。

そしてたまたま同じ方向に住んでいた隼人に送ってもらうことになり、一緒のタクシーに乗り込む。すると隼人は連絡先を交換するのと同時に、食事にも誘ってきてくれた。

「よければ、今度食事に誘ってもいいですか?」
「もちろんです」

この2週間後。隼人は予約が取れないことで有名な代々木上原の『セララバアド』へ連れて行ってくれた。




「ここ、ずっと気になっていたんですよ!」
「初めてだった?良かった。前に知り合いに連れてきてもらって、気に入っちゃって」

お店選びのセンスがいいのは嬉しい。

「隼人さんって、グルメなんですね」
「グルメかどうかはわからないのですが、食べることが好きで。美味しいお店って素晴らしいなと思って」
「わかります!」

話も合うし、優しい隼人と一緒にいるとあっという間に時間が過ぎていく。ただ料理の話をしているときに、ふと気がついたことがある。




「隼人さんって、私より年上ですよね?」
「まぁ奈々美さんよりは上です」

出会った時から思っていたけれど、隼人は私に対してずっと敬語だった。

「じゃあなんで、いまだに敬語なんですか?」
「つい癖で…初対面の人は、誰に対しても敬語なんですよ」
「隼人さんって真面目なんですね」

― この人、いい人だな。

堅物なのかもしれないけれど、そういう律儀なところもチャラチャラしていなくていい。

「でも奈々美ちゃんが言うなら…」
「もちろんですよ!敬語ナシで」

こうして私たちは敬語をやめて、少しだけ距離が縮まった。

でもまだ緊張していたのか、食事が終わってお店の外へ出ると、隼人は遠慮気味に誘ってくる。

「もう1軒行きたいなと思うんだけど…どうかな?」
「明日ゴルフだからそこまで遅くはなれないけど、行こう!」

残念ながら翌朝が早かったので、この日は1時間ほどで解散となった。それでも楽しい思い出とともに帰路についた。

「奈々美ちゃん、タクシー乗る?」
「ううん。家はすぐそこだから、歩いて帰っちゃう」
「大丈夫?気をつけて帰ってね」

お互い家が徒歩圏内だったので、私たちはタクシーに乗らずにそれぞれ帰った。そしてすぐに二度目のデートをすることになる。


A2:お酒が入った途端にベタベタ触ってきて気持ち悪い。


二度目のデートは、恵比寿にあるイタリアンになった。

「今日は上原じゃないんだね」
「ここも気になっていたお店で。奈々美ちゃんもたぶん好きだと思って」
「隼人さんと一緒にいると、毎回美味しいご飯が食べられるな♡」

食事も楽しく、お酒も進む。この時点で、私たちは二人でワインボトルを2本も空けていた。




「奈々美ちゃんも飲むよね〜。お酒強いってよく言われるでしょ?」
「強くはないけど好きなんだよね。でも隼人さんも強いよね?」
「そうかな」

1軒目はまだ大丈夫だった。でもこのあとに問題が発生した。

2軒目はバーに移動した私たち。薄暗い店内は、“口説ける”モードが全開のお店だ。

そして案の定、隼人は私に近づいてくる。

「奈々美ちゃんって本当に可愛いよね」
「どうしたの?突然そんなこと言って」
「前から思ってたけど、恥ずかしくて言えなくて」
「隼人さん、酔っ払ってるでしょ?」
「全然だよ」

そう言った瞬間、急に私の髪に触れてきた隼人。

「髪、綺麗だよね」

一瞬びっくりして何が起こったかわからず、思わず背筋がゾクっとする。

― え…?この人、今私の髪を触ってきたの?なんか気持ち悪い。

それまで紳士的だったのに、店の雰囲気を借りて口説くモード全開になった彼に引いてしまったのだ。

その後もどんどん飲むペースが上がってきた隼人。これは一秒でも早く帰ったほうがよさそうだなと思い、酔ったふりをして1時間くらいで切り上げることにした。

でも酔っ払っている隼人の言動は止まらない。




「奈々美ちゃん、送っていくよ」

嫌な予感がしたので、今日は一緒のタクシーには乗りたくないと思った。

「ううん、平気だよ」
「同じ方向だし、いいよ」
「でも…微妙に方向が違うから大丈夫だよ」
「いいよ、奈々美ちゃんの家のほうに回って行くから」

しかし何度断っても、隼人は引き下がらない。面倒なのでさっさと乗って、早く帰宅したほうが賢明かとも思った。

渋々一緒のタクシーに乗り、適当に会話を交わす。

「今日も楽しかったね。次はうちでご飯とかどうかな?」
「うん、そうだね」

― 早く着かないかな…。

下心が見え見えの誘い方に、タクシーという密室。とにかく早く降りたい。

しかしようやく家の近くに着き、降りようとした時だった。なぜか私と一緒にタクシーを降りてきた隼人。

― 嘘でしょ?なんで降りたの?

「え?降りなくて大丈夫だよ!隼人さんはそのまま乗っていて」
「うん、ただ見送りたいだけだから」

そう言うと、隼人は急に私に抱きついてきた。

― 待って、本当に無理。マジで気持ち悪い。

触れられて嬉しいのは、好きな人だけ。

酔っ払ってスキンシップが激しくなる男性は、ただただ気持ち悪い。むしろ怖い。

酒癖の悪さはいくつかあるけれど、相手の同意なしにベタベタと触ってきたり、ハグをしてきたりすることなんて、もはや論外だ。

さらに腹が立つのは、ハグをされて私が喜んでいると思っていそうな隼人の心理だった。

そしてこの夜、もう二度と彼とは一緒にお酒を飲まないと誓った。

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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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