SNSで好かれる人とそうでない人の差とは(写真:Ran&Ran/PIXTA)

「SNS運用がうまくいかない」という人は、本人も知らないうちに「まわりから嫌われる」行動を取ってしまっている場合がある。

一方で、ごく自然体で運用しているのに多くのファンを集める人は、まわりから好感を持たれ、確実に信頼を得られるふるまいをしている。

この両者の姿勢や行動には、いったいどのような違いがあるのだろうか?

「SNSの運用において、好かれる人嫌われる人の行動にはそれぞれ共通のパターンがあります」と、『LinkedIn(リンクトイン)活用大全』の著作がある松本淳氏は言う。

その松本氏が、「SNSで『好かれる人』『嫌われる人』の4つの決定的差」について解説する。

「嫌われるアカウント」には共通パターンがある

SNSで仕事を伸ばしたりセルフブランディングを強化したりしようとするとき、「とてもうまくいく人」と、「あまりうまくいかない人」に分かれるという現象を目にします。

あまりうまくいかない人は、ひょっとして投稿の数や分量が足りないのかと思い、必死で数で勝負しようとします。あるいは、もっと自分の能力をアピールすべきかと思い、「とっておきの」ノウハウや仕事情報をもっと出そうとします。

しかし、そのようなアプローチをいくら重ねようとも、運用が上向く気配はなかなか出てきません。いくら「有益な」投稿を増やしてもあまり反応ももらえませんし、つながりやフォロワーも増えないままです。

その一方で、自然と人気の集まるアカウントも存在します。

投稿頻度がかなり高いのかというと、必ずしもそうでもありません。しかも、別にいわゆる「有益な」情報だけを常時出しているわけでもありません

SNSで、人気のある(好かれる)アカウント/そうでない(嫌われる)アカウントには、それぞれ共通する行動パターンがあります。

面白いのですが、これらは基本的にはリアルの人間社会と同じです。

リアル社会で、やたらとしゃべる人、(頼んでもいないのに)いろいろ教えてくれようとする人、自己主張が激しい人は、はたして人から好かれるでしょうか。

リアル社会だとそのような行動が人間関係においてマイナスになるとわかっているのに、SNSになるとつい気づかずにやってしまう人がいます。

今回は「SNSで好かれる人、嫌われる人」の4つの大きな差について考えていきたいと思います。

1. 「フラット」か「上から目線」か

ビジネスパーソンに限らずですが、SNSでまず大切にすべき考え方は、「参加者はみなフラットであり、それぞれが対等な立場にある」ということだと思っています。

つまり、「ここは会社ではない」ということです。

「偉い」立場を、そのままSNSに持ち込む人も

こんなアドバイスは当たり前すぎて笑い話のようにも思えますが、さにあらず。組織内で「偉い」立場にいる人が、その感覚を、なぜかSNSにもそのまま持ち込んでしまうケースは残念ながらよく見られます。ミドル・シニアの男性管理職に多い印象です。

そのような「上から目線の」ふるまいは、自分の投稿にもにじみ出てしまいます。若い部下に説教をするような投稿をしても、たんに誰にも読まれず、反応のないまま終わってしまいます。

会社では立場や権限があるから説教も聞いてもらえますが、SNSでは、誰もそんな押し付けがましい投稿を読みたいとは思わないからです。

さらに最悪なのは、他者の投稿にわざわざ「指導」のようなコメントを入れてくる人。相手を見下し、完全に「オレが教えてあげるよ」というモードです。

このようなふるまいを続けていると、人はどんどん離れていってしまいます。

自分の意見や知識を人に押し付けるのではなく、いかに他者とフラットな姿勢で交流しようとするか。SNSは、人間関係のバランス感覚や、社交的なセンスが必要とされる場だと心得ることが大事でしょう。

2. 「協調的」か「独善的」か

SNSで、自分の意見をきちんと述べることは重要だと思います。しかしながら一方で、運用する目的を見失ってしまうのはとてももったいないことです。

本稿では、SNSをビジネス、そしてセルフブランディングに活用することを主眼に置いています。その前提において、SNSの中であまりにも極端な、かつ自分勝手な意見を主張しすぎることは本当に損しかありません

「SNSを使う人」にも「いろいろな立場」がある

問題をややこしくしているのは、いろいろな立場でSNSを使う人がいるということです。

Twitterのビジネスコミュニティにも、政治的・思想的な強い主張を続ける人がいます。「ビジネスSNS」であるLinkedInでも同様です。

そういう議論も大切だと思いますし、適切な場においてどんどんやれば良いと思います。SNSにも、つねに意見を戦わせているようなコミュニティは多く存在します。

しかしながら「ビジネスを伸ばしたい、ポジティブな交流をしたい」という人たちが集まるコミュニティの中では、やたらと強い主張や思想を押し付けるのは、たんなる迷惑行為になりかねません。

興味深いのは、そんな人でも、プロフィールは自分のビジネスの紹介がメインになっているような場合です。

ビジネスを伸ばすことを目的にSNSを始めたはずなのに、なぜか主義主張を振りかざすことが日課になってしまっているのです。

そして相手から避けられているのを察知すると、「議論から逃げるのか」などといってさらに迫ってしまうありさまです。

議論をしたいというのはその人の勝手ですが、ビジネスコミュニティにおいては、互いに協調・協力しようとする姿勢こそが重要です。そういう中で、つながりやビジネスの機会を作ることが、多くの参加者の目的だからです。

Twitterなど、匿名性の強い一部のSNSでは独善的で先鋭的な意見がバズることもありますが、それは炎上覚悟のリスキーな運用と背中合わせです。

パートナーを見つけたり、ビジネス機会を見つけることがSNS運用の目的なのであれば、まわりとの建設的で前向きな関係づくりが必須です。

独善的なキャラで受けるのは一部の有名人や劇場型インフルエンサーのみで、マネしようとしてもほとんどの場合で失敗すると考えたほうがよいでしょう。

3. 「ポジティブ」か「ネガティブ」か

SNSは、自分の中にある不平や不満を吐き出せる場でもあります。自分を包み隠さずに積極的に開示するという意味においては、ネガティブな思いを書くことが意味を持つ場合もあるでしょう。

でも、もし常に他者への批判、世の中への嘆きばかりを投稿しているようなアカウントを見た場合、あなたならそういう人に近づきたいと思うでしょうか。

何かに対して批判的な投稿は、ときに力を持ちます。共感者を集め、それがきっかけになって元の課題が解決されるというようなムーブメントが起きる場合もあるでしょう。

しかしながら、実際には、ネガティブに批判ばかりしているアカウントから意味のある動きが起きることは、残念ながらほとんどありません。そのようなアカウントに集まるのは、同じようにネガティブな言動を繰り返す同類ばかり、というのが現実です。

そのような人、もしくは集団に、何か良いチャンスやパートナーシップの話が持ちかけられることはほとんどないでしょう。

「ネガティブな発言ばかり」のアカウントも意外と多い

また、もしSNSの運用が就職・転職目的なのであれば、なおさらです。キャリアアップを目的にしているはずなのに、ネガティブな発言ばかりしているアカウントは意外にも少なくないのです。

人事担当者が、ある人のSNSプロフィールを見て良さそうだと思ったのに、「普段のネガティブな投稿内容を見て敬遠してしまった」というのは本当に採用あるある話です。

別にSNSでどんな投稿をしようと(ルールやモラルに反しない限り)自由なはずなのですが、その投稿を「自分の利害関係者も見ている」という事実は忘れないほうがよいでしょう。

ビジネスやセルフブランディングを強化するはずが、それとはまったく逆の、本末転倒な結果に終わってしまうことになりかねません。

4. 「未来志向」か「過去志向」か

SNSで嫌われてしまうもうひとつの典型的な行動パターンは、「自分の過去の経歴・実績の自慢に終始する」というものです。

経験をシェアすること自体は、とても重要です。失敗談も含め、自分が蓄積してきたことを次の世代に伝えることには大きな意義があると思っています。

しかしながら、過去の出来事に言及するとき、その内容や書き方に個人としての生き方が大いに影響します。それは、その投稿がたんなる自慢の「俺スゴイ」アピールなのか、他者の学びのためのシェアなのか、ということです。

投稿が「たんなる自慢」になってしまう人は、会社で「部下に武勇伝を語りたがる上司」に似ています。誰もそんな話を聞きたいとは思っていないのに、それが面白いと思い込んでアピールしてしまう。

尊敬してほしいと思えば思うほど、尊敬されずに疎まれるだけという悲しい結果になってしまうのです。

「他者にGiveをしよう」という精神があれば、「過去の自慢」ではなく、「未来のため」のシェアができるはずです。

自分の(失敗も含む)経験をもとに、読者に対して「未来へのヒント」を示すという書き方です。

実際、そのような投稿ができる人はとても人気があり、信頼されます。

【SNSで「嫌われる人」「好かれる人」の4つの決定的差】

1. 「フラット」か「上から目線」か
2. 「協調的」か「独善的」か
3. 「ポジティブ」か「ネガティブ」か
4. 「未来志向」か「過去志向」か

「過去をアピールする」より「現在、未来を見る」


またSNS運用において、別に「過去の実績」などは必要ないと思っています。

よく「自分にはたいした経験がないから……」といって投稿に尻込みする人を見ますが、まったく要らぬ心配です。

SNSでは「過去の自慢」よりも「未来への挑戦」が尊ばれ、より応援されます

「今はまだできていないけど、これから実現したい」ことを、現在の心境や挑戦の過程も含めてオープンにシェアするのです。

「過去」をアピールするのではなく、「現在」そして「未来」を見ること。

そのような姿勢が自分を支え、いつも応援してくれる人との縁が増える、そういう結果につながるのです。

(松本 淳 : アースメディア代表取締役CEO)