プロキオンSを制したドンフランキー(c)netkeiba.com

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【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆先週の血統ピックアップ

・7/9 プロキオンS(GIII・中京・ダ1400m)

 逃げたドンフランキーがリメイクの追撃をクビ差抑えました。デビュー1、2戦目は芝を使ったものの勝てず、3戦目にダートに転向すると楽勝しました。ここから快進撃が始まり、ついに重賞を制覇しました。JRA所属のダイワメジャー産駒がJRAダート重賞またはダートグレード競走を勝ったのは、ノーヴァレンダ(全日本2歳優駿)、デュープロセス(兵庫ゴールドトロフィー)に次いで3頭目。母ウィーミスフランキーはアメリカ産馬で、2歳時にデルマーデビュータントS(米G1・ダ7ハロン)、オークリーフS(米G1・ダ8ハロン)を勝ちました。

 母方の硬質なアメリカ血統の影響で、本馬はパワー型の巨漢馬となりました。今回の馬体重594kgは、2019年のマーチSを572kgで勝ったサトノティターンを抜く、JRA重賞最高馬体重勝利記録です。今回は2着リメイクが58kgの別定重量を背負い、本馬は57kgと、1kg有利な条件でした。両者の再戦が待たれます。

◆今週の血統Tips

 シルバーステートは現役時代に5戦4勝。新馬戦で2着と敗れたあと、2戦目から4連勝し、そこで屈腱炎を発症して引退しました。全弟ヘンリーバローズは、もっと短い競走生活でした。新馬戦でのちのダービー馬ワグネリアンにハナ差敗れ、2戦目の未勝利戦を4馬身差で楽勝。ここで脚部不安を発症し、長い休養のあと復帰を断念して引退しました。新馬戦の上がり5ハロンは57.7秒。これはわが国の新馬戦史上ナンバーワンで、2位がディープインパクトの57.8秒ですから価値があります。ヘンリーバローズはハナ差2着だったので相当な能力の持ち主だったと推察されます。

 初年度産駒は2歳。血統登録頭数は22頭と少ないので、まだ中央競馬でも地方競馬でも産駒がデビューしていません。シルバーステートと遜色ない競走能力の持ち主だったとすれば、種牡馬としても期待できそうです。