この記事をまとめると

クルマにまつわる違法行為には当然罰則がある

■罰則は違反の中身によって変わる

■今回はうっかりやりがちだが想像もより罪が重いであろう違反5つを紹介

具合悪いから自分で運転して病院へ……も違反の可能性!

 無事故無違反はドライバーにとっての誇りだが、細かいルールが多すぎて、うっかり違法であることを知らなかったり、本人が思っているより重い違反を犯していることもあるようだ。

 そこで比較的甘く見がちだが、じつは罪が重い違反をいくつかピックアップしてみよう。

1)検査標章(車検シール)の張り忘れ

 フロントウインドに貼る、車検の有効期限を記したシール=「車検シール」。正式名「検査標章」は表示義務があり、うっかり貼り忘れているとなんと50万円以下の罰金になる(道路運送車両法 第109条8項)。

 ユーザー車検を行った人などは、車検合格したからといって油断して、検査標章の張り替えをあとまわしにしておくと、いざというとき大きなペナルティを喰うことも!

 なお、2023年7月3日から、検査標章を貼る位置が、従来のフロントガラス中央上部から、「前方かつ運転者席から見やすい位置」として、運転者席側上部で、車両中心から可能な限り遠い位置に変わるので覚えておこう。

2)過労や体調不良時の運転

 疲れたとき、具合が悪いときに、クルマのハンドルを握るのは、じつは重大な交通違反。

 道路交通法には、「何人も、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」(第66条)と明記されていて、違反者は違反点数25点で、一発免停コース。

「熱があってフラフラする」といった状態で、病院に行くためクルマの運転をするのも、違反になるので要注意。

昔はOKだったものがいまでは違反になっているものも!

3)車検切れのクルマの運転

 2021年6月に自民党の武井俊輔衆院議員の名義の乗用車が事故を起こし、無車検・無保険だったことが発覚し、警視庁交通捜査課が書類送検した事件があった。

 車検切れのクルマでの走行=「無車検車運行」はかなりの大罪で、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金(道路運送車両法第58条1項、108条)となる。

 また、車検とセットになっている自賠責の期限切れも重大な違反。「無保険車運行」で、1年以下の懲役または50万円以下の罰金(自動車損害賠償保障法第5条、86条の3)が課せられる。

 自賠責保険は、新車のときに車検の有効期限より1カ月長く加入しているのが普通なので、車検よりも1カ月猶予があるが、うっかり車検切れにならないように、余裕を持って準備しておこう。

4)ナンバープレートへのカバーやシール

 平成28年4月1日以降、道路運送車両法施行規則が改正され、ナンバープレートについて、カバー等で被覆すること、シール等を貼り付けること、汚れた状態とすること、回転させて表示すること、折り返すこと等が明確に禁止となった。

 このナンバープレートの表示義務に反して、ナンバープレートの数字を改ざんしたり、車両に付随する装備や搭載物などで隠した場合、50万円以下の罰金となる(道路運送車両法 第109条第1項)。

 変造したり偽造したりすると、さらに罪が重く3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金(道路運送車両法 第106条)。

 紛らわしいものを使用すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(道路運送車両法 第106条の5)となる。

5)飲酒運転の同乗者

 数ある交通違反の中でももっとも罪が重いのは、違反点数35点の酒酔い運転(麻薬等運転も同点の違反点数35点)。

 そして、飲酒運転の場合、運転者だけでなく同乗者も罪が問われることを覚えておこう。

 運転者が酒気帯び運転だった場合、同乗者も2年以下の懲役または30万円以下の罰金。運転者が酒酔い運転だったとすると、同乗者も3年以下の懲役または50万円以下の罰金だ。

 いずれも、「ついうっかり」とか「しらなかあった」では済まないので、ことの重要性をよく理解しておこう。