宮内被告(左)と15日午前、東京地裁へ入る堀江被告。(資料写真06年3月17日
/撮影:吉川忠行)

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ライブドア(LD)事件で証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた元社長、堀江貴文被告(33)の第5回公判が15日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれ、前財務担当取締役、宮内亮治被告(39)=分離公判中=が検察側証人として出廷。自社株売却益の売り上げ計上につながる企業買収計画を報告すると、堀江被告は「ふーん、そうなの」と言って了承したと証言した。

 堀江被告の公判で、共犯者が証人出廷するのは初めて。両被告が再会するのは1月の逮捕以来約8カ月ぶりとみられるが、お互いをチラリと見ながらも、目を合わせることはなかった。宮内被告は起訴事実をほぼ認めており、検察側の描くストーリーに沿って証言は進んだ。

 宮内被告の証言によると、LDは2003年秋、自社株売却益の売り上げ計上につながった携帯電話販売会社「クラサワコミュニケーションズ」の買収を計画。LD側は当初、株式交換による買収を考えていたが、クラサワの株主が現金買収を希望したため計画の変更を余儀なくされた。

 そこで宮内被告は親しかった投資顧問会社「HSインベストメント」の野口英昭元社長(LD強制捜査後に自殺)に相談したところ、投資事業組合(投資ファンド)を利用したLDの新株売却を提案された。だが、新株発行には時間がかかるので、大株主である堀江被告の保有株を借りて売却することになったという。

 投資ファンドを介在させた理由について、宮内被告は「誰が貸したか分からなくした方が、市場の悪影響がないと野口に言われた」と説明。計画を説明すると、堀江被告は「ふーん、そうなの」と話し、宮内被告は納得してもらったと思ったと語った。

 また、自社株売却益の売り上げ計上について宮内被告が報告すると、堀江被告は「そんなに儲かっちゃうの」と非常に喜んだ。宮内被告は「予算案に数字を計上しろということだと理解した」と証言。検察側が「それは指示なのか、要望なのか」と問いただすと、「指示です。社長ですから」と答えた。

 買収予定の会社を利用した架空売り上げの計上についても、堀江被告は「やりきるしかないよね」と話したという。

 この日、宮内被告は証言台に進む際に、先に入廷していた堀江被告をチラリと見下ろした。堀江被告は資料に目を落としており、目を合わせなかったが、宮内被告が目の前の証言台に座るとその横顔をチラリとのぞいた。

 宮内被告の証言中は、堀江被告は時折首をかしげたり腕組みをしながら、口を不満そうにとがらせて宮内被告を見つめていた。

 宮内被告の証人尋問はあと4回予定されており、次回は20日に行われる予定。【了】

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