11日、第3回公判で東京地裁に入る堀江貴文被告(撮影:吉川忠行)

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ライブドア(LD)事件で証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた元社長、堀江貴文被告(33)の第3回公判が11日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。LDが粉飾決算の手口として介在させたとされる事業投資組合(投資ファンド)の税務申告や経理などを担当していた税理士が、検察側の証人として出廷した。

 この税理士は、LD元取締役の宮内亮治被告らが設立したコンサルタント会社「ゼネラル・コンサルティング・ファーム」に、2002年9月から06年6月まで勤務。「M&Aチャレンジャー1号投資事業組合」や「EFC投資事業組合」を担当していたが、「(投資ファンドの)利益の源泉がLD株の売却益だけで、金額も大きかったので違和感を感じた」と証言した。

 また、2004年春ごろには、ライブドアファイナンス(LDF)元社長、中村長也被告に自社株売却益が約29億円に達すると報告した際、「そのうち半分をLDFに回すようと言われた」と証言。つじつまが合うようにファンドに入る利益を計算し直したことを明らかにした。その上で、税理士は「推測だが、残りの半分を別の四半期に収益を計上するためではないか」と述べた。
 
 一方、弁護側は反対尋問で、LDがコンパニオン派遣会社「トライン」を株式交換で完全子会社化する際に発行した新株4万4000株余について取り上げた。税理士は、これらの株について「PSI(沖縄で自殺したエイチ・エス証券の野口英昭氏が香港で設立した会社)に移動することは、なんとなくわかった。理由までは聞いていないが、漠然と変だと思った」と証言。小坂裁判長自らが「(4万株余について)野口・中村が好き勝手なことをするという認識はあったか」と尋ねると、「好き勝手に使うという認識はなかったが、これらの株の結論はまったくわからなかった」と答えた。
 
 トライン買収の過程では、LD株4万4000株余の売却益約2億6000万円のうち約1億5000万円の行方がわからなくなっていた。この使途不明金について、5日の第2回公判でVLMA1号、同2号の2つの投資ファンドを組成した投資会社「バリュー・リンク」の大西洋社長が、宮内被告が役員だった香港の会社に送金したことを「知っている」と証言している。

 堀江被告はこれまでの公判と同じくダークスーツに身を包み、ワイシャツに紺色のネクタイ、茶色の靴といった姿で入廷。腕組みをして証人を見つめたり、資料に目を通していたほか、反対尋問で弁護士が投資ファンド名を間違えると、被告席から振り返って訂正を促す姿も見られた。【了】

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