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 日本社会で進む超高齢化。その中で誰もが望むのは、健康寿命を延ばすことだろう。そこで問題視されているのが、加齢で疲れやすくなるフレイル(虚弱)や、歩行困難などを引き起こすサルコペニア(筋力低下)による要介護者の増加だ。

【写真で解説】タオルまくらの作り方&首と腰のまくら体操のやり方

女性ホルモン減少で痛みの連鎖が起こる

 整体師として多くの女性を施術し、現在はセルフケア法も伝授するいちい葉子さんは、

「関節の痛みや不調は、骨格のゆがみと、筋肉低下が原因です。それらを解消することが、健康寿命を延ばすことにつながります」

 と断言する。

 女性の場合、痛みや不調の主な原因のひとつは、閉経前後に起きる身体の変化だ。女性の骨盤は、生理や出産のときに自然と開くようにできているが、閉経後、女性ホルモンが減少すると、骨盤の開閉がしづらい状態に。

「すると股関節がうまく動かず腰に負担がかかり、それをカバーしようと脚が外開きになって膝に痛みが出ます。次は膝をカバーしようと、足首に負担がかかります。それが関節の痛みや外反母趾を引き起こすのです」(いちいさん、以下同)

 また、関節に痛みがあると運動不足になり、骨盤底筋群の筋力が低下。尿漏れや頻尿の原因になる。

 さらに加齢にともない、脊髄の骨の間にあり、クッションの役目を果たす椎間板が摩耗。それにより骨の隙間がつまって自律神経を圧迫し、全身の不調を引き起こす。

チェック!こんな症状があったら骨のゆがみが原因かも!
□腰や膝に痛みがある
□頻尿・尿漏れがある
□外反母趾
□肩こり・首こりがひどい
□便秘ぎみ
□眠りが浅い
「骨格に無関係と思われる症状も、すべてつながっています」(いちいさん)

あおむけでフリフリ!1日5分で不調解消

 加齢により引き起こされる悪循環を断ち切るため、いちいさんが提唱しているのが、「まくら体操セラピー」。20年間で3万人以上の女性に指導している。

 やり方は、バスタオルをまくら状に巻き、寝転がった状態で腰や首に当て、その上で身体を振るだけ。

 首や腰を床から浮かせて動かすことで、詰まった骨と骨の間に自然に隙間を作ってゆがみを解消し、背骨の理想的なアーチを復活させる。同時にふだん使わない筋肉のトレーニングにも。

「骨格がゆがんだまま筋肉をつけると、崩れたバランスを増強してしまいます。自分の足でできるだけ長く歩くためには、まずは骨格を整えてから筋肉をつけることが大切」

「まくら体操」は1日5分、寝転がってできるので、ものぐさな人でも試しやすい。

「バスタオルなので、硬さで腰や首を傷める心配もありません。大切なのは枕を入れたときの体勢。また、腰と首の体操はセットで行ってください」

「バスタオルまくら」の作り方

1. 3枚のバスタオルをそれぞれタテ3分の1の大きさにたたむ。1枚目を巻いて芯を作り、それを2枚目のバスタオルの上に置き、重ねて巻く。

2. 3枚目のバスタオルの上に(1)を置いて巻く。ほどける場合は中央を紐で縛る。

その1:腰のまくら体操(4分)

1. あおむけに寝て、脚を閉じて膝を立てる。腰を少し持ち上げ、へその裏側に枕を差し入れ、密着させる。

2. 膝を90度の角度に立て、両脚をくっつけ、外側から内側に力をかけるイメージで内股を締める。

3. 手をまくらに当てて胸を開き、背中をできるだけ床につける。

4. 内股とお尻の穴が締まっているのを確認し、あごを天井方向に上げる。

5. 姿勢をキープし、腰幅くらいの幅で、枕に腰を密着させて脚を左右に振る。

※終わったら横に転がりながらまくらを抜く

その2:首のまくら体操(1分)

1.背中全体を床につけてあおむけに寝て、首の後ろに枕を差し込む。

2.腰の体操と同じように、膝を90度に立て、両脚の外側から内側に力をかけて脚を密着させる。

3.手を枕に当て、胸を開く。このとき、肩は床につける。

4.背骨を伸ばすように、あごを天井へ向ける。目を閉じ、左右の耳たぶを順に枕につけるイメージで首を振る。

※終わったら横に転がりながらまくらを抜く
※持病や痛みがある方は主治医に相談のうえ行ってください

教えてくれたのは……いちい葉子さん●女性専用の整体治療院で施術する傍ら、セルフケアを教える「からだデザイン研究所」を運営。整体の理論と経験を生かした「まくら体操セラピー」を提唱。詳しくは、正しいやり方をまとめた著書『まくら体操ダイエット』(あさ出版)へ。
取材・文/仲川僚子 撮影/北村文成(体操)、Mr Kumu(いちいさん近影) モデル/いちい葉子