「包む」対「破く」。日本と全然違うフランスの「贈る文化」
日本には独特の贈答文化がありますが、実はフランスにも面白い贈る文化があります。フランス人の贈り物に対する考え方や感情の表現方法について調べてみると、日本人と全く異なることがわかりました。フランスへの旅行や留学などを検討している人なら特に知っておくべき、フランス人のプレゼント習慣やコミュニケーション方法について紹介します。
すぐに破く!
近年ではだいぶ変わってきたようですが、日本では贈り物を受け取ってすぐに開封することはマナー違反とされていました。一度自宅に持ち帰り丁重に開封して、後日、いただいた品に見合った額のお返しを贈ります。そのうえ、「包む」ことにも伝統があり、パッケージも細部にわたり美しく、包装までとても丁重です。
しかし日本に比べて、フランスのプレゼントの包み方はかなり大雑把。さらに、驚くほど薄い包装紙でラッピングされています。
その理由は、「贈り物をもらったら本人の前で開封して感動とお礼を伝える」という贈り物に対するフランス式マナーがあるから。待ちきれないほどのうれしさを表現するように、とにかく勢いよく高速で開けるのが良しとされ、大きな音で包みを破きます。そして、プレゼントを見たらとことん感激し、お礼と感想をその場で相手に伝えます。
プレゼントが開けられたら、贈った人は「自分はどうしてそれを選んだのか?」「どんな所がその人にピッタリだと思ったのか?」などをその場で伝えます。贈る側も、相手が自分の選んだ品に感激してくれたことで、喜びを共有するのです。
お返しをしない理由
フランスでは、贈り物をもらった後にお返しをする習慣やマナーがありません。冠婚葬祭や出産祝いの贈り物でもお返しは不要で、日本とは大きく違います。
クリスマスや誕生日などのプレゼントを贈り合うのは、あくまでもお互いの「プレゼントを贈りたい」という気持ちが軸になります。そのため、お返しをすると「なぜ理由もないのに贈り物をもらうのだろう?」と不思議がられます。人によっては「この間の贈り物が迷惑だったのだろうか?」と気に病んだり、「借りを作りたくないのか?」と残念な気持ちになったりしてしまいます。
このように、フランスでプレゼントを贈るのは「自分が相手に贈りたいから贈る」ことが基本。もらったからという理由だけで義務のようにお返しをするのは、むしろマナー違反なのです。
プレゼントを贈られたら、すぐに開いて、その場で最大限の感謝の気持ちを相手に伝えるフランス人。日本人がフランス人からプレゼントをもらうときは、「オーバーリアクションぐらいがちょうど良い」ということを覚えておくと良いかもしれません。
執筆者/Mayumi Folio