妊娠・育児には昔の常識や迷信も多いけど…

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 妊娠・出産・育児の方法は、時代によって変わっていくもの。そのため、「昔は当たり前だったけれど、今では変化していること」も多くありますが、主に親世代から、迷信や昔の「常識」、ジンクスに絡むさまざまなアドバイスを受けて戸惑った経験のある女性も多いのではないでしょうか。

 そんな「妊娠・出産・育児で戸惑ったアドバイス」について、リクルート(東京都千代田区)の妊娠・出産情報誌「ゼクシィBaby 妊婦のための本」が調査を実施。その結果をランキング形式で発表しました。

助産師「出産時の痛みと愛情に相関関係はない」

 調査は2022年11月、「ゼクシィ Baby」会員で、妊婦または0カ月〜2歳までの子どもを持つママを対象に、ウェブ上で実施。3753人から有効回答を得ています。

 5位は「無痛分娩は痛みを感じないので愛情が薄くなる」(71票)です。「無痛分娩予定ですが、父親に『痛みがある自然分娩の方がいいんじゃないか』と言われました」「『無痛分娩は痛みを伴わないので、子どもに愛情が湧きにくい』と親に反対されました」といった声が寄せられました。

 4位には「妊娠中は2人分食べて」(85票)がランクイン。「つわりでつらいとき、母におなかの赤ちゃんの分までしっかり栄養を取りなさいと言われました」「医師から体重管理するよう言われていたのに、母に何度も『2人分食べなさい!』と言われてけんかになりました」など、食べる量について親に言われた経験がある人が多いことがうかがえます。

 3位は「沐浴(もくよく)の後は白湯(さゆ)を飲ませるべき」(136人)。「今は母乳だけで大丈夫と伝えても、母に何度も『本当に白湯はいらないの?』と聞かれました」「家族に必要ないと話したけれど、お風呂上がりに湯冷ましが用意されていました」といったコメントが。

 2位は「泣いてすぐ抱っこすると抱き癖がつく」(267票)。「家族に『抱き癖がつくから、すぐに抱き上げてはダメ!』と言われて困りました」「周りから抱き癖がつくよと言われましたが、いっぱい抱いた方がいいと今は言われていることを伝えました」など、抱き癖について注意されている人が多いようです。

 そして、1位となったのは「◯◯でおなかの赤ちゃんの性別が分かる」(407票)でした。「おなかが前に突き出すような膨らみだと男の子。横に広がって膨らむと女の子。肉が無性に食べたくなると男の子、甘い物を食べたくなると女の子だと言われました」「ママの顔がキツくなると男の子、優しくなると女の子だと言われました」などのコメントが寄せられる結果となっています。

 では、妊婦さんやママを戸惑わせるこうしたアドバイスは、本当に正しいといえるのでしょうか。

 助産師・看護師・保健師の岸本志織さんによると、まず5位の「無痛分娩は痛みを感じないので愛情が薄くなる」について、「出産時の痛みと愛情に相関関係はありません」「愛情は痛みによって生まれるものではなく、赤ちゃんの存在そのものに生まれるものです」とコメント。

 4位の「妊娠中は2人分食べて」については、「2人分食べる必要はありません」とキッパリ。「体重の増え過ぎは、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、難産などのリスクが高まることもあります。反面、痩せた状態で出産すると低出生体重児のリスクが高まるといわれており、実際に、最近では低出生体重児が増加しています」とし、「低出生体重児は、出生後にも医療的ケアが必要となる場合も多く、また発育・発達の遅延や障害、 成人後も含めた健康に係るリスクが大きいことが指摘されています」「かかりつけの産婦人科の医師や助産師の指導をもとに、バランスのよい食事で、ご自身の体格に合わせた適正な体重増加を目指しましょう」とアドバイスしています。

 3位の「沐浴の後は白湯を飲ませるべき」には、「沐浴後に水分補給は必要なので、半分当たってはいます」とコメント。一方で、「栄養がないただのお湯よりも、母乳やミルクをしっかり飲ませましょう。基本的に、離乳食が始まるまでの赤ちゃんにとっては、母乳やミルクが最適な栄養源、水分源となります」「白湯や麦茶などは、離乳食が開始してからを目安としましょう」とのことです。

 2位の「泣いてすぐ抱っこすると抱き癖がつく」に関しては、「赤ちゃんは抱っこしてもらうことで安心や信頼感を覚えて、情緒が安定します。泣いたときにすぐに声掛けや抱っこで応えてあげることで信頼関係が形成されます。また、抱っこすると幸せホルモンと呼ばれる『オキシトシン』が赤ちゃんにも抱っこしている人にも出ると言われています」とし、「もし、周りの人に抱っこ癖がつくと言われたら、逆に『赤ちゃんは抱っこが大好きなんだよ』と話して抱っこしてもらいましょう。身近な人との抱っこやスキンシップで、赤ちゃんと家族の信頼関係を築いてください」とアドバイス。

 そして、1位の「◯◯でおなかの赤ちゃんの性別が分かる」については、「おなかの出方は、妊婦さんの骨盤の形や姿勢、体形、赤ちゃんの位置などによって変わります。嗜好(しこう)の変化も、第1子、第2子で異なることもありますし、個人差もあってさまざま。科学的根拠やエビデンスはなく、あくまでも迷信と考えてください」とコメントしています。