産後の骨盤は整骨院で「産後ケア」を、ポイントは骨盤底筋のトレーニング
産後の女性は本当に忙しく、自分の身体をいたわる余裕はなかなかないと思います。しかし、「産後ケア」を適切にしておくと、その後の身体がとても楽になるそうです。今回は、産後の骨盤矯正や整骨院で受けられる施術、自宅でのケア方法などについて、「ひらの整骨院」の中谷先生に解説していただきました。
出産時、骨盤ってどうなってるの？ 産後に矯正が必要なのはどうして？ 柔道整復師が解説
編集部
「産後の骨盤」は、どういう状態なのでしょうか？
中谷先生
産後の女性は、いわゆる「骨盤が開いた」状態になっており、骨盤の開きが産後の不調を引き起こすとも言われています。しかし、骨盤の開きはそこまで大きいものではなく、出産時に一時的に広がったとしても、自然に戻ってきます。稀に骨盤が大きく開いたり、ズレたりするケースもありますが、そこまでになってしまうと、そもそも歩くことすら大変になっているはずです。
編集部
そうなのですね。では、産後の「骨盤周囲の不調」は、なぜ起こるのですか？
中谷先生
骨盤の周囲には様々な筋肉が存在しており、この筋肉のどこかに問題があるのだと思います。産後、骨盤周囲の不調を訴える女性は、お尻などにある骨盤を支える筋力の低下が多いですね。
編集部
骨盤を支える筋肉が弱ったままだとどうなるのですか？
中谷先生
その状態で生活していると、筋肉のバランスが崩れて、腰痛などの痛みが出たり、血流やリンパの流れが悪くなって冷え性になったりすることが考えられます。ほかにも、新陳代謝の低下や内臓のズレから体型が戻りにくくなったり、加齢に伴って膝の痛みが出てきたりすることもあります。あとは、尿もれに悩む女性も多いですね。
産後の骨盤はどのようにアプローチしたらいい？「産後ケア」って何をしたらいいの？
編集部
「産後、尿もれが気になるようになった」という話は聞いたことがあります。
中谷先生
尿もれは、「骨盤底筋」と深く関係しています。骨盤底筋は骨盤の中にある筋肉で、普段は尿が膀胱から漏れ出ないように収縮していて、排尿時に緩むようになっています。多くの場合、この骨盤底筋が出産時に引き裂かれて挫傷してしまうのです。挫傷した骨盤底筋は、こわばったように固まってしまい、本来の機能が発揮できずに尿もれなどを引き起こします。
編集部
筋肉が深く関係しているのですね。
中谷先生
そうですね。「産後、体型が戻らない」「浮腫みやすい」「股関節に痛みがある」「腰痛」「便秘気味」「尿もれ」などの産後の不調は、骨盤周囲の筋肉に問題があることが原因かもしれません。
編集部
とはいえ、手足の筋肉とは違って「骨盤周囲の筋肉をきちんと使う」というのは難しそうですね。
中谷先生
はい、難しいと思います。そのため、ご自分でなんとかしようとせず、専門家による産後ケアを受けることが大事です。先ほどの症状があってもなくても、産後、落ち着いたら一度、整骨院などで骨盤周囲の状態を診てもらうことをおすすめします。
産後の骨盤に対して整骨院ではどんな施術をするの？
編集部
整骨院では、どんな施術が受けられるのですか？
中谷先生
弱って上手く使えていない筋肉をトレーニングするのがメインになりますね。とくに産後の女性は、整骨院に何度も通うのは難しいと思います。当院ではその人にあったトレーニングのプログラムを組んで、ご自宅でもできるように指導しています。骨盤底筋のトレーニングについては、「ケーゲル体操」が有名ですので、インターネットなどで調べてみてくださいね。
編集部
整骨院を選ぶ際のコツがあれば教えてください。
中谷先生
やはり、「産後の骨盤についての知識がある専門家」にみてもらうことに尽きます。産後ケアなど、産後のお身体に特化した施術メニューがあるところが安心だと思います。現実的なところで言うと、キッズスペースのある整骨院はお子さんと一緒に通いやすいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
中谷先生
産後ケアをしないとインナーマッスルが弱まってしまい、腰痛などのトラブルにつながります。そして、一度落ちた筋力はなかなか元に戻りません。ぜひ、産後は骨盤底筋に精通している整骨院でリハビリを受けてみてください。
編集部まとめ
今回は、産後の骨盤やそこから引き起こされる不調について、お話を伺いました。「骨盤」は骨ですが、それを支える筋肉が大事とのことでした。骨盤内の筋肉は自分でトレーニングしていても分かりにくいですが、鍛えておかないと様々な不調をきたす可能性があることを覚えてほしいと思います。
近くの整骨院を探す
