明日の株式相場に向けて=次期業績の伸びしろで内需株の出番続く

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 週明け8日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比208円安の2万8949円と5日ぶり反落。2日の取引終了時点で日経平均の騰落レシオ(25日移動平均)は150%を上回っており、ゴールデンウィーク(GW)で東京市場が休場している間に嫌な予感はあったが、案の定NYダウは3営業日で900ドルを超える下げに見舞われた。相場にタラレバは禁物ながら、もし前週末5日にダウが下げ止まっていなければ、GW明けの日経平均は200円安では収まらず、半ばパニック的な下げに見舞われた可能性も否定できない。マーケットは世界的に楽観が支配しているが、硝子の橋を渡っているような怖さがある。

 もっとも、硝子の橋に魅入られて空売りをドッサリ載せる動きも繰り返され、これが毎度絵に描いたようにショートスクイーズを誘発しているのも事実である。前週末の米地銀株の急反騰は典型的な踏み上げ相場で、実態を見直したファンダメンタルズ由来の買いではない。結論として「もうはまだなり」の相場が依然として続いているが、これから引いていくカードの中にJokerが入っていないことを見切るのは相当に難しい。

 ともあれ、今はマクロを睨みつつ個別株戦略を粛々と進めるよりない。東京市場は半導体関連株の動向がカギを握っているが、常に売買代金で断トツとなっているレーザーテック<6920.T>が冴えない動きであり、これが全体相場に影響を及ぼしている。同社株自体は日経225採用銘柄ではないが、東京エレクトロン<8035.T>やアドバンテスト<6857.T>をはじめ半導体関連セクターに位置する銘柄の採用率は高く、どうしても同セクターに市場のセンチメントも左右されがちだ。逆に言えば、半導体関連が波に乗れていない中で、日経平均が2万9000円台をクリアしたことは特筆に値するといってもよい。

 これはやはり内需株の強さによるところが大きい。インバウンド消費の復活は今の東京市場にとっては願ってもない強力な追い風となっていることは間違いのないところだ。決算発表絡みでは、海運や鉄鋼などグローバル景気に敏感なセクターは、23年3月期は絶好調であっても24年3月期業績予想に対する懸念が付きまとっているわけだが、インバウンド特需を享受している業態についてはまだコロナ禍の残像を引きずった復活初動にあり、次期はインバウンド効果が“フル寄与するであろう”という思惑が前面に押し出されている。その点で“無敵の株”である。もちろん、遅かれ早かれ24年3月期に対する期待が株価に織り込み完了となる局面は訪れるが、そこまではかなり距離がありそうだ。

 当欄でもインバウンド及びリオープン関連については一貫してフォローを続けてきた。しかし、依然として上値の伸びしろを感じる銘柄が多数ある。早めに着目したものではHANATOUR JAPAN<6561.T>や、まんだらけ<2652.T>などが挙げられるが、物色の裾野も次第に広がりをみせている。最近取り上げたものでは三重県を地盤に「コンフォートホテル」を展開するグリーンズ<6547.T>、不動産ファンドを活用したホテル投資を手掛けるウェルス・マネジメント<3772.T>などが一段と強い動きで目を引く。これらは決算発表が近いので、確信犯的な決算プレーを除いてはいったん離れて再度インするタイミングをうかがうのが正攻法だが、PERなどから判断して今の株価が伸び切った感触はない。

 まんだらけの株価変貌は外国人のフィギュア人気を反映した部分もある。この流れでマークしたい穴株として、ブックオフグループホールディングス<9278.T>に目を向けたい。最近は古本よりも利益率の高いトレーディングカードやフィギュアに力を入れ、功を奏している印象だが、業態チェンジを株価はまだ織り込み切れていない。また、意外性のあるインバウンド関連ではオオバ<9765.T>に目を配っておきたい。同社は調査測量・区画整理業務で強みを持つ建設コンサルだが、国土強靱化の政策恩恵にとどまらず、インバウンド投資需要が急速に復元されつつあることで繁忙局面に遭遇している。増額含みの23年5月期に続き、当然ながら24年5月期予想についても好調が期待される。

 あすのスケジュールでは、3月の家計調査、3月の毎月勤労統計がいずれも朝方取引開始前に開示されるほか、10年国債の入札も予定されている。海外では、4月の中国貿易収支などが注目される。なお、米国では3年国債の入札が行われる見通し。国内主要企業の決算発表では、任天堂<7974.T>、ローム<6963.T>、三菱商事<8058.T>、日本郵船<9101.T>、三越伊勢丹ホールディングス<3099.T>などがある。(銀)

出所:MINKABU PRESS