キャリア3戦で桜花賞3着のペリファーニア オークスでは「打倒リバティアイランド」へ虎視眈々
2023年クラシック候補たち
第16回:ペリファーニア
今年の3歳牝馬戦線は、リバティアイランドの完全なる"一強"状態だ。GI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月11日/阪神・芝1600m)を完勝して2歳女王の座に就くと、ぶっつけで挑んだクラシック第1弾のGI桜花賞(4月9日/阪神・芝1600m)でも圧巻の勝利を飾って一冠目を手にした。
現状、続くGIオークス(5月21日/東京・芝2400m)に向けてもこれといった不安要素はなく、クラシック二冠達成は濃厚と見られている。そんななか、そのオークスでの逆転を密かに目論んでいる馬がいる。
美浦トレセンの鹿戸雄一厩舎に所属するペリファーニア(牝3歳/父モーリス)である。
桜花賞では女王リバティアイランドに屈したが、オークスでは逆転を狙うペリファーニア
同馬の兄は2021年に、3歳牡馬クラシックのGI皐月賞をはじめ、GI天皇賞・秋、GI有馬記念を制して年度代表馬に輝いたエフフォーリア。そうした血統背景から、デビュー戦となる2歳新馬(12月25日/中山・芝1600m)では断然の1番人気に支持され、見事その人気に応えて快勝した。
そして2戦目には、すかさず桜花賞トライアルのGIIチューリップ賞(3月4日/阪神・芝1600m)に挑戦した。8枠17番という不利な大外枠からのスタートになったうえ、ややかかり気味になってレースを運んだが、直線を迎えてもバテずに奮闘。逃げきり勝ちを決めたモズメイメイ、2着コナコーストとタイム差なしの3着に入って、大舞台への出走権を手にした。
迎えた桜花賞。再び7枠14番という外枠発走となったが、ここでも果敢に先行して好位4〜5番手を追走し、直線では外から脚を伸ばしていった。残り200mをきってから先に抜け出したコナコーストに並びかけ、一瞬勝利も見えたが、最後は異次元の末脚を繰り出したリバティアイランドにかわされ、3着に終わった。
キャリアが浅いなか、世代トップクラスを相手に勝ち負けを演じてきたペリファーニア。その分、陣営の評価もすこぶる高いという。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。
「厩舎スタッフは、ペリファーニアの素質の高さを早くから感じ取っていたようです。たとえばデビュー戦を振り返って、『2コーナーで前の馬に突っかかりそうなアクシデントがあったが、ふつうの2歳牝馬はああいう状況になると勝てない』と言って、目を細めていました。
実際、能力の高さは相当なもの。それは、キャリア2戦目のチューリップ賞、キャリア3戦目の桜花賞、それぞれのレースぶりと結果を見れば明らかです」
唯一の不安は、少し喉鳴りの症状があること。トラックマンによれば、「チューリップ賞のあと、鞍上の横山武史騎手が『喉さえ気にしなければ、間違いなくGI級』とつぶやいていました」という。
それでも、桜花賞では上位争いを演じており、キャリアの浅さを考えれば、今後の伸びしろも大いにある。だからこそ、陣営は「オークスでもチャンスは十分にある」と見込んでいるようだ。
「確かにリバティアイランドは強いですが、スタッフは『操縦性はこちらのほうが間違いなく上だし、好位で立ち回れる強みがある』と、ペリファーニアのストロングポイントを強調。今度は東京が舞台ですし、輸送の必要もありませんから、陣営は"絶対女王"相手にも白旗を上げていません」
オークスではさらなる上積みが見込めるペリファーニア。そのポテンシャルを最大限に生かして「打倒リバティアイランド」を実現するのか、必見である。