クラッチはレバー調整でいつも同じ発進に!【ライドナレッジ131】(ピックアップ)
発進の半クラッチ。ビギナーはエンストを怖れ、そうっとクラッチレバーを放すので、いつ走り出すかはバイクまかせ。
キャリアを積んでも、なぜか半クラからの繋がり方が毎回変わるので、どこか探りながらといった感覚がつきまとう。
この曖昧さは、クラッチの構造からきている。エンジンの強力なパワーを滑らずに伝えるには大きな面積のクラッチ板が必要になる。
しかし直径の大きなユニットだと慣性力の錘効果でレスポンスを妨げるので、小さな径で何枚ものクラッチ板と滑らせるフリクション板を交互に組んで面積を稼ぐご覧のような構造に進化してきた。
ところがこの構造は、何枚ものクラッチとフリクションが組み合わさるため、僅かな熱膨張でも隙間がすぐ狭くなりがち。
急に繋がったり、なかなか走り出さなかったりはこれが原因だ。
第三関節が曲がる握りしめるカタチは
僅かな違いがわからない!
そうなると熱膨張しないうちに時間をかけず発進してしまうのが安定した操作となる。
しかも瞬間的に微妙なレバー操作が必要だ。
ところがレバーを握った状態から、徐々に放す操作だと、どこが繋がる位置かわかりにくい。
これは指の第三関節が曲がるカタチの握るポースが、細かい反力を感じられないからだ。握りやすいのは感触なだけで、実際には曖昧で漠然とした操作しかできない。
ブレーキ操作でレバーを遠めにセットしたほうが、微妙な入力コントロールがやりやすく、実は入力できるチカラも強くできるのを覚えたライダーならピンときたはず。
第一関節から第二関節へ指が曲がる範囲が、細かな操作がしやすい範囲だからだ。
そのためには、レバーの位置を自分の左手に合わせて調整する必要がある。
レバー調整で手のサイズに合わせよう!
多くのバイクがクラッチレバーの基部に、クラッチを操作するワイヤーの遊び調整がついている。
ここを回転させて遊びのストロークを調整して、クラッチミートする瞬間の位置が、第一関節から第二関節へ指が曲がる範囲になるようにするのだ。
またバイクによっては、クラッチレバーの角度が手のサイズに合わせて変えられるタイプもある。
さらにハイエンドのスーパースポーツになると、油圧動作でも遊びからクラッチレバーの戻る位置に引きはじめる位置まで、実に細かく設定できるタイプもある。
それほどクラッチラバーの位置は、安定した操作に重要なファクターなのだ。
意識して何度か調整を試しながら、時間をかけない短い半クラでサクッとスマートな発進できるワザを身につけよう!