イングランド代表DFアシュリー・コールとフランス代表DFウィリアム・ガラスの大型トレードを、移籍マーケット締め切り直前に成立させたアーセナルとチェルシー。約1年半続いた移籍騒動に終止符を打った前者に対し、後者は監督とクラブ首脳が衝突するなど、両者の明暗ははっきりと分かれているようだ。

 コール放出の見返りに、ガラス+500万ポンド(約10億円)を手に入れたアーセナルのアーセン・ベンゲル監督。長期に渡る騒動に決着をつけた知将は、晴れやかな表情を浮かべた。

「ようやく決着がついたね。これでチームが1つの目標に向かって集中できる。アシュリー・コールはチェルシー移籍を望み、ウィリアム・ガラスはアーセナル移籍を望んだ。最終的に両者の望みが叶ってよかったじゃないか。私も問題の決着を喜んでいる。特に悩まされていたわけでもないが、外に出ると同じ質問ばかり受けていたものでね」

 一方、念願のイングランド代表左サイドバックを手に入れたチェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督だが、“ガラス+金銭”の条件には憤慨している様子。指揮官の起用法に不満を抱き、移籍の希望を公言するガラスの放出は規定路線と考えられていた。しかし、自らの意に反してトレードを成立させたとして、ポルトガル人監督は、ピーター・ケニオン最高経営者を非難。今回のトレードで、ジョン・テリーとリカルド・カルバリョが組むセンターバックの貴重なバックアップを失ったこと、そして守備に問題を抱えるアーセナルにガラスとコロ・トゥーレの鉄壁コンビが生まれてしまったことを挙げ、クラブ首脳と激しく衝突しているという。

 両クラブにとって最高の結末を迎えたかに思われた、今回の“不満分子トレード”。しかし、満足度ではノースロンドンの雄に軍配が上がったようだ。