「結膜結石」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!
目は五感のうちの「視覚」を司る感覚器官です。私たちは主に視覚からの情報を頼りに外界を感知しており、五感から得られる情報の8割以上を占めるともいわれています。
私たちにとってとても重要な感覚器官である目ですが、目にもさまざまな病気が存在し、その中の1つに結膜結石というものがあります。
目に何も入っていないのにずっと異物感があったり、まばたきする度に目が痛んだりといった症状に悩まされたことはありませんか。
今回は結膜結石について、どんな病気か・なぜできるのか・自然治癒は可能なのかなど、さまざまな疑問について解説します。
結膜結石の症状・原因
結膜結石とはどんな病気ですか?
結膜結石とは、まぶたの裏側に結石ができる病気のことです。目はまぶたの裏側から黒目の縁まで結膜という粘膜に守られていますが、結膜結石では何らかの原因でまぶたの裏側の結膜(眼瞼結膜)に小さなかたい塊(結石)が生じてしまうのです。
結石が結膜の奥で生じた場合には特に問題ないですが、結膜の表面に露出してきた場合には目にさまざまなトラブルを引き起こします。
眼瞼結膜に白や黄色の小さな砂粒状の斑点ができ、目にゴミなどが入っていないにも関わらず異物感・痛みなどの症状があらわれた場合には結膜結石が疑われます。
結膜結石の原因を教えてください。
結膜結石は主にアレルギー・ドライアイ・細菌感染などが原因で発症します。これらの結膜結石の原因となる症状を放置していると慢性的な結膜炎を引き起こし、その結果、眼瞼結膜内でカルシウムや脂質などの分泌物が固まって結石が生じるのです。
また、原因不明で発症するケースもあれば、自己免疫疾患(関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなど)・結石が発生しやすい体質などが原因であるとも考えらえています。
いずれにしても、目の炎症が発症の引き金となっていることは確かだといえるでしょう。
結膜結石を発症する原因はさまざまであり特定することが難しいため、基本的には原因の特定を行わず治療に入ります。
結膜結石ではどんな症状があらわれますか?
結石がまぶたの深い部分に生じている初期の段階では無症状の場合がほとんどです。無症状の場合は特に治療を行わず経過観察となります。しかし、深い部分にあった結石が眼瞼結膜の表面に移動して露出してくると、眼球の表面に結石があたりまばたきの度に角膜(黒目の部分)が擦れて傷ついてしまいます。
そのため、目がゴロゴロする・異物感がある・目の痛み・充血・涙目などの症状があらわれるのです。
目を開けられなくなるほど痛みが強くなる場合もありますので、目の痛み・異物感などの異常を感じたら早めに眼科で受診することをおすすめします。
結膜結石の診断・治療
結膜結石はどのように診断されますか?
目に異物がないのにゴロゴロする・まばたきするたびに痛いなどの症状で結膜結石が疑われる場合には、まぶたの裏側・眼球など目の様子を確認します。その際、眼瞼結膜の表面に白・黄色の結石が見られた場合には結膜結石と診断されるでしょう。
結石は自然に取れることがあるため、まずは点眼薬を使用しながら2~3日様子をみます。
尚、経過観察時に使用する点眼薬は発症の主な原因であるアレルギーやドライアイなどからくる目の炎症に対処するものであり、結石そのものを排出しやすくするわけではありません。
自然治癒するのでしょうか。
前述したように、まぶたの裏側にできた結石は自然に排出されることもあり、結石が排出された場合には自然に治るでしょう。しかし、結石が排出されない限り目の表面を傷つけ続けることになります。
一度できた結石を溶かすような薬は存在しないため、2~3日様子を見ても異物感が続く・痛みが治まらない・症状がひどくなる場合には自然排出を待たずに直接取り除くことをおすすめします。
目を傷つけ続けることで今度はものが見えにくくなるなど別の症状に悩まされることになりかねませんので、早めに次の治療に踏み出すことが大切です。
痛みが強い場合はどうしたらいいですか?
目を開けていられないほど痛みが強い場合には、手術で結石を取り除きます。手術は点眼麻酔で目の表面に麻酔をかけた後に行われ、極細のピンセットや針を使って1つずつ慎重に取り除きます。
稀に出血がみられることもありますが、2~3日のうちに止まることがほとんどです。結石をピンセットなどで取り除くだけの簡単な手術のため、手術時間は数分程度ととても短く入院の必要もありません。
しかし、人によっては結石が10個以上など多数できていることもあるため、その場合は手術時間も長くなるでしょう。
また、結石は必要以上に取り除くと瘢痕化しやすくなるため、基本的には眼瞼結膜の表面に露出し異物感の原因となっているものだけを取り除きます。
手術後は、稀に感染症を引き起こす可能性があるため、医師の処方に従って点眼治療を行いましょう。
結膜結石は自分で取れますか?
結石をピンセットで取り除くだけなら自分でもできるのでは?と考える方もいらっしゃるかと思いますが、自己処理はおすすめできません。目はとても繊細な器官ですので、手術を行う医師も目を傷つけないよう細心の注意をはらいます。
自分で処理をすることで万が一目やまぶたを深く傷つけてしまうと、ものが見えにくくなったり目が開かなくなったりすることもあるのです。
結膜結石の除去は眼科で医師にお願いするようにしましょう。
結膜結石の再発
結膜結石はどれくらいで治りますか?
目に症状を引き起こしている結石自体は、自然に排出されるか、手術で取り除くことにより行うことで3日~1週間程無くなります。すなわち、自然排出を待つ2~3日間もしくは手術で取り除くまでの期間で結石による症状は治るでしょう。
前述したように、一度まぶたにできてしまった結石を薬などで溶かすことはできず、結膜結石を完治させることは難しいといえます。
そのため、結膜結石の治療は原因である慢性的な結膜炎を治すための対処療法が主体となるのです。結膜炎は医師の処方を守り点眼治療を行うことにより3日~1週間程度で治まります。
結膜結石単体を治療するというよりも、結膜結石が発症する原因を治療すると考えた方が良いでしょう。
結膜結石は再発しますか?
結膜結石はまぶたの奥で発症するため、表面に出てきた結石を取り除いたからといって完治というわけにはいきません。もちろん結石を取り除いた後に再発しないというケースもありますが、まぶたの奥で新たに結石ができている場合は、また眼瞼結膜の表面に結石が露出して再発する可能性もあるのです。
結膜結石は目に症状をもたらす場合にのみ治療を行うため、定期的に検診を受ける・目の違和感に気づいたら眼科で受診するなどで、早期発見に努めましょう。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
「まぶたの裏に石ができる」と聞くととても怖い病気のように聞こえますが、適切な処置を行うことで再び目の健康を取り戻せます。しかし、結膜結石は結膜炎など目の炎症から発症するため、結石だけを処置するといったその場しのぎの治療を行っても再発してしまう恐れがあります。
根本である炎症を完治させることがポイントなのです。結膜結石は完治させることが難しい病気です。
結石があらわれた場合には自分で取り除こうとせず、その都度眼科で医師に処置してもらうようにしましょう。
編集部まとめ
今回は結膜結石について詳しく解説いたしました。結膜結石では結石自体の治療というよりも、発症の原因である結膜炎の治療・予防がポイントとなります。
日常の中でも目にゴミが入るなどの異物感があるととても気になってしまうものです。結石で目が傷つき痛みが出る前に、早めに対処したいですね。
日ごろから目に炎症が起きないよう、アレルギー対策・ドライアイ防止・コンタクトレンズを正しく使用するなど、目の健康を守るよう心掛けましょう。
参考文献
結膜炎の原因・治療・予防法と正しい点眼薬(目薬)の使い方(NHK健康ch)