「企業努力に涙がでる」植物由来の「代替卵」SNSで脚光 開発のキユーピー歓喜「苦労報われた」
植物由来の成分で作られた代替卵シリーズ「HOBOTAMA(ほぼたま)」に注目が集まっている。卵の色味や触感、味などを再現した。オムレツなどの卵料理やお菓子作りにも用いることができる。
開発した食品大手・キユーピーは2023年3月9日、J-CASTニュースの取材に対し、加熱によって凝固する卵の特徴の再現に苦労したと明かす。
「味や食感だけでなく火の入り方もほぼ卵」
キユーピーは21年6月、スクランブルエッグ風の「HOBOTAMA」を飲食店や給食など業務用に発売した。22年3月には加熱用液卵風の商品を追加した。併せて一般消費者に向けて、首都圏の一部エリアとオンラインでの販売を開始した。
ツイッターで23年2月26日、飲食関係者を名乗るツイッターアカウントが「味や食感だけでなく火の入り方もほぼ卵」と紹介したことをきっかけに注目が集まった。卵アレルギーを持つ娘のために購入したとして、「企業努力に涙がでるわ...!ありがとうキユーピー...!」と感謝した。
投稿は9日18時までに、167万7000回表示され、1万6000件のリツイート、2万3000件の「いいね」が寄せられる大きな反響があった。「娘に食べさせてあげたい!!」「卵アレルギーの旦那が半熟卵の料理食べてみたいっていってたから買う!」などと投稿をきっかけに関心を寄せる声もあった。
取材に対しキユーピーは、健康志向の高まりや地球環境への配慮などから、植物由来の食品を選択する人が増えているとして、「アレルギーなど様々な理由で卵を食べられない方に向けた商品」だと説明する。様々な理由から卵が食べられない人がいても同じものを食べられるうえ、柑橘系に代表される、数少ない黄色い食材として食卓を彩ることができるとアピールする。
「スクランブルエッグ風は、解凍してそのまま使え、パンにはさんでもだれない程度のやわらかさで、サラダのトッピングや朝食メニューに適する、半熟のスクランブルエッグの食感を大切に開発しています。こだわりのスクランブルエッグの仕立てです。市販用の販売にあたって液卵風を追加しました。とき卵のように調理に使える調理適性があります。もちろんこちらでスクランブルエッグ風を調理することも可能です」
植物由来の「プラントベース食品」の事業拡大を発表
当初は業務用のみの販売だったが「家庭で使用したい」という声を受けたことをきっかけに、市販用を発売したという。通販がメインであるものの、販売エリアも拡大した。
ツイッターで大きな注目を集めたことを受けて、開発担当者は大喜びだという。
「液卵風は卵の特性である熱凝固性の再現に大変な苦労をしたので、お客様が喜んでくださったことで苦労は報われたと申しております」
キユーピーは今後、このような植物由来の食品「プラントベース食品」の開発に力を入れると意気込む。8日には、「サステナブル(持続可能)な食」をコンセプトとした新ブランド「GREEN KEWPIE」を発表した。HOBOTAMAシリーズも今夏以降、このブランドに加わる。
「『これがいい!』と満足できる価値をプラントベースフードをはじめとしたサステナブルな食で実現し、未来の新しい食の選択肢に挑戦し続けるブランドです。
環境や健康の今と未来のためを考えている世界の人々に向けて、価値観の多様性や社会環境の変化に適応した新たな食の提案に挑戦します」