アッシュ・ペー・フランス(株)(TDB企業コード:984717545、資本金5000万円、東京都港区南青山5-7-17、代表原敏文氏ほか1名)は、2月24日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、同日保全管理命令を受けた。

 保全管理人は蓑毛良和弁護士(東京都新宿区新宿1-8-5、三宅・今井・池田法律事務所、保全管理人室連絡先hpf_kousei@hpgrp.com)が選任された。

 当社は、1985年(昭和60年)8月に設立。創業者の個人商店(1984年創業)を前身に、女性向け衣料品や服飾雑貨の販売を手がけ、フランスやイタリアなど欧州を主体に希少価値の高い輸入服飾雑貨を扱い、商品開発力と先見性に強みをもっていた。小売店舗は「drama H.P.FRANCE」など多数の屋号を持ち、顧客は富裕層や30代女性を中心に、比較的高めの価格帯となるなか、自社サイトを通じたネット販売も行い、2013年2月期には年売上高約110億6300万円を計上していた。

 しかし、積極的な事業拡大や多角化に加え、不正会計等で財務内容や資金繰りが悪化していた。このため2017年に事業再生ADRを実施し、金融機関から債権放棄を受けるとともに、新スポンサーとして現株主が就任。2021年以降、新経営陣に経営体制を移行し収益改善に取り組んでいたが、コロナ禍や昨年夏以降の円安進行による原価上昇等の影響で、業績の改善に苦慮していた。直近は主力部門のジュエリー事業で安定して利益を確保し、不採算店舗からの撤退等を進めた結果、前期から営業損失が縮小し、一定の収益改善が進んだものの、一部不採算事業や店舗が存在し、黒字化を達成するには至らず、2022年2月期の年売上高は約49億6400万円に落ち込んでいた。

 こうしたなか、事業再生ADRによる条件変更後の金融債務の一括返済期限が2023年2月末に迫っていたうえ、コロナ特例猶予を受けていた社会保険料約6億円の支払いも必要とするなかで、裁判所の監督下で事業再建を図ることが、事業継続及び債権者への弁済極大化の観点から最善の策であるとの判断に至り、今回の措置となった。

 負債(債権者一覧ベース)は債権者28名に対し約29億円。

 なお、商取引債権は海外・国内ともに全額期限通り弁済している。当社運営の全店舗も平常通り営業中。保全管理命令発令後、保全管理人においてSMBCとの間で融資枠を10億円とし、担保評価額に応じた借入を可能とするコミットメントライン契約を締結しており、事業継続に当たって当面の資金繰りに問題はないとしている。今後は事業の収益性を高め、スポンサーを選定することで更生を図る方針。