(株)トガシ技研(TDB企業コード:160246749、資本金1000万円、山形県鶴岡市丸岡字町の内309-1、代表長谷川靖和氏ほか1名、従業員70名)は、2月28日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全・監督命令を受けた。

 申請代理人は関端広輝弁護士(東京都千代田区大手町1-1-1、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業、電話03-6864-3034)ほか8名。監督委員には上野保弁護士(東京都港区虎ノ門1-1-20、元木・上野法律会計事務所、電話03-3501-2356)が選任されている。

 当社は、1988年(昭和63年)に創業、1999年(平成11年)2月に法人改組した産業用機械装置製造業者。設計から加工、組付け、電気制御、プログラミングまでを一貫して自社製作できる体制を構築し、自動車関連産業やロボット産業、家電関連産業、半導体産業など幅広い業界に受注基盤を有していた。機械設備を拡充して生産能力を向上させる一方、社員の技能習熟と多能工化を推進。短納期かつ低コストを実現する技術力や生産能力によって、顧客から一定の評価を得ていたうえ、国や山形県、鶴岡市などからものづくりの補助・支援を得ていた。また、新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、2020年(令和2年)8月よりマスクや足踏み式消毒スタンドの製造にも進出したことで、2021年(令和3年)7月期の年売上高は約51億9000万円を計上。東北地方よりも仕入部品の価格が低い関東地方への一括発注を行うことや、自動車メーカーでの経験者を招へいして工場内の改善による生産性の効率化を促進し、黒字基調で推移していた。

 しかしその一方で、オートメーション需要に対応するための設備投資が相次いだことで過剰債務を抱え、また近時は半導体をはじめとする部品調達が滞る事態となって思うような納品ができず、資金繰りが悪化していた。さらに、主要得意先であった(株)オフィスエフエイ・コム(TDB企業コード:240435142、栃木県小山市)が、2022年(令和4年)7月29日に民事再生法の適用を申請したことを受け、多額の不良債権が発生するとともに、同社との取引を利用した架空売り上げの計上による粉飾決算が明るみとなった。2022年(令和4年)7月期は、過年の架空売上を除いて実態のみを計上した結果、年売上高は約7億6800万円に大きく後退し、当期純損失約3億2900万円を計上して債務超過となった。

 粉飾決算が発覚して対外的な信用が失墜するなか、銀行借入金の元金返済および利払いの棚上げや、一部社員に対する解雇などで固定費削減に取り組んできたものの、自力での改善は困難と判断し、今回の措置となった。
 
 負債は債権者約21名に対して約56億円。