吉高由里子×大石静「星降る夜に」 “ラブストーリーの名手”コンビに心揺さぶられる 2024年大河にも期待
俳優の吉高由里子さんが主演を務め、“ラブストーリーの名手”と呼ばれる脚本家・大石静さんが手がける連続ドラマ「星降る夜に」(テレビ朝日、毎週火曜 午後9時)が話題になっています。2024年放送のNHK大河ドラマ「光る君へ」でもタッグを組む吉高さんと大石さん。大石さんが紡ぐ物語の中で、吉高さんが大人の魅力とピュアな心を兼ね備えた産婦人科医を好演する「星降る夜に」の魅力に迫ります。
ヒロインの魅力に翻弄されっぱなし!
2023年1月クールのドラマもそろそろ折り返しを迎えてきました。改めて振り返ってみると、今期はベテラン脚本家の手がける良質なラブストーリーが豊富。
例えば、北川悦吏子さんが2004年の「オレンジデイズ」以来、19年ぶりにTBSで描く若い男女の青春ラブストーリー「夕暮れに、手をつなぐ」(TBS系、毎週火曜日 午後10時)、2021年前期放送のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」を手がけた安達奈緒子さんの繊細な筆致が光る「100万回 言えばよかった」(TBS系、毎週金曜日 午後10時)、そして大石さん脚本の「星降る夜に」です。
「星降る夜に」はのどかな海街を舞台に、吉高さん演じる産婦人科医の雪宮鈴と、バンド「DISH//」のメンバーで俳優の北村匠海さん演じる遺品整理士の柊一星が織りなすピュアなラブストーリー。窮屈で息苦しい社会の中で心をすり減らし、孤独に生きる鈴の人生を、音のない世界で自由に生きる一星が変えていきます。
その年の差10歳。鈴は一星から受ける積極的でまっすぐなアプローチに最初は戸惑いながらも、その嘘のない純粋さにひかれていきます。
こういった「年上女子×年下男子」が繰り広げるラブストーリーは通常、年上女子が年下男子に翻弄(ほんろう)されるというのがセオリー。しかし、このドラマが面白いのは意外と一星の方が鈴の一挙一動に振り回されているところではないでしょうか。
鈴は優秀な産婦人科医。誰に対しても優しさと厳しさ、さらにユーモアを持って接する彼女は同僚からも慕われています。一方で、ある妊婦の命を救えなかったことが原因で訴えられた過去があり、どこか影のある鈴。しかし、一星といる時はその影が吹き飛び、まるで子どもみたいにはしゃぐ姿に見ているこちらも魅了されっぱなしです。
“ラブストーリーの名手”コンビが生み出す、絵になる場面
「星降る夜に」では、カメラが一星やシンガー・ソングライターで俳優のディーン・フジオカさん演じる45歳にして新米の産婦人科・佐々木深夜の目線に立ち、彼らが愛おしく見つめる鈴の表情が印象的に映し出されます。
その度に思うのが、どの瞬間を切り取っても“絵になる”ということ。無防備に星を眺める姿、少しはにかんだ表情、新しい手話を覚えた時の嬉しそうな顔、過去に想いを馳せる横顔……。その全てに物語があり、彼女のことをもっと知りたくなるのです。
絵になるといえば、吉高さんが主演を務めた2021年10月期放送の連続ドラマ「最愛」(TBS系)で見せたとある場面を思い出します。それは、吉高さん演じる殺人事件の重要参考人となった実業家の真田梨央が、べっとり血のついた手で髪をかきあげる第1話冒頭の場面。そこに映し出される恐ろしいほどに洗練された美しさが、過去パートで高校生の梨央が見せるあどけなさを強調させました。
奥行きのある表情で見る人の心を掴み、一瞬にして忘れられないドラマにして見せる。そんな吉高さんもまた、脚本家の大石さんと同じく“ラブストーリーの名手”とも言えます。二人がタッグを組むのは今回が2度目です。初タッグは2020年1月期のドラマ「知らなくていいコト」(日本テレビ系)。スキャンダルを追う週刊誌の記者でありながら、自身も妻子ある男性と恋に落ちる主人公の葛藤を色濃く映し出しました。
「知らなくていいコト」「星降る夜に」で、視聴者の記憶に残る抜群のタッグ感を見せる吉高さんと大石さん。“ラブストーリーの名手”コンビの3度目となる次回作はNHK大河ドラマ「光る君へ」。平安時代を舞台に、世界最古の女性文学といわれる「源氏物語」を生み出した紫式部の生涯をどう描くのかも注目が集まってきています……。
2月28日放送の「星降る夜に」第7話では、俳優のムロツヨシさん演じる鈴の過去に深く携わった男の登場により、物語もいよいよ佳境へ。「星降る夜に」の結末を見届け、「光る君へ」の始まりを待ち望みましょう!