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珍車が1円スタート 結果は?

オークションハウス「BHオークション」は、「ヤフオク!」とコラボレーションし、希少価値の高い名車に特化した第16回「コレクションカーオークション」を開催。

【画像】航空機みたい!【フルサイズキャンパー「スポーツコーチ」の内外装】 全31枚

今回のオークションは、和歌山県発の大人気アウトドアショップ「Orange」本店に展示されていた希少なヴィンテージカー全13台が出品された。


スポーツコーチ    BHオークション×ヤフオク!

スタート価格はすべて1円から。「誰もが参加できる」オークションとして開催された。

出品される個体は、「Orange」のYouTubeチャンネルや、各種イベントで話題となったカスタムトラック2台をはじめ、国内では極めて入手困難なアメリカ製のキャンピングバンなど、「Orange」代表池田道夫氏が長年かけて収集した珠玉のコレクションが揃う。

2023年1月22日深夜に判明したオークション結果をそれぞれ紹介する。

「スポーツコーチ」のオークション結果

スタート価格:1円
落札価格:116万1000円(税込:127万7100円)
入札数:222

スポーツコーチの詳細

そのボディサイズから圧倒的な存在感を放つのが「シボレー・スポーツコーチ」。キャンピングカーの中でも最大級の大きさとなるいわゆるフルサイズキャンパーとなる。

全長は8mを超え、迫力満点なルックスはもちろんあらゆる快適装備が備えられたまさに走る家と呼ぶにふさわしいクルマ。


スポーツコーチは全長8080mm×全幅2420mm×全高2970mm。車両総重量は4600kg。7.42Lのガソリンエンジンを搭載する。    BHオークション×ヤフオク!

このクルマを手がけた「スポーツコーチ」は1968年に起源を持つ、キャンピングカーに特化したコーチビルダーだった。

1978年には「コーチマン」によって買収されるが、現在でも「スポーツコーチ」ブランドとして、フラッグシップモデルが製造されている。

現在でもその名を残す「スポーツコーチ」であるが、この個体は同メーカーが買収前に製造したオリジナルモデルということで非常に高い希少性を誇る。

実際にアメリカ本国でもこの年代に製造された「スポーツコーチ」は個体数が著しく減少している。

そしてこの「スポーツコーチ」には、当時の一般的なモーターホームと一線を画す革新的な設計が採用されていた点にも注目したい。

当時、他メーカーのモーターホームのボディ設計は、基本的に木造の建築技術が用いられ木製のフレームなどが使用されることもめずらしくなかった。

それに比べ「スポーツコーチ」は、航空機に使用されていた製造技術を取り入れることで軽量かつ丈夫なボディを作り上げたのである。

フレームにはアルミなど金属が多く使用され、当時のカタログを見てもその耐久性の強さが強調されている。

そして特徴的な突き出たノーズも空気抵抗を減らす目的でデザインされており、航空機らしいエアロダイナミクスの技術が応用されている。

壁の中にポリウレタン素材を用いることで、断熱効果向上も測られている点も当時としては先進的だった。

出品された個体は内装が前のオーナーによって大幅に作り替えられており、外装とは裏腹に現代的な快適装備を備えている点もポイント。

外付けの発電機に加え冷蔵庫、電子レンジを装備し、日本規格のコンセントまで備えている。シンクキッチンも広々としてキャンプ先でも本格的な料理が楽しめる。

ベッド類はフルフラットへ変形する大きなソファを2つ備え、居住スペースの上部の棚を展開すればもう1つベッドが出現するようになっている。

十分なスペースが確保されており、6人くらいまでなら快適に過ごせるだろう。

しかし、最後尾のトイレはまだレストア前となっており、排水用のパイプも外されている。国内で使用するためには、タンクを備えたトイレにつくり替える必要がある。

パワートレインにはシボレー製7.42Lガソリンエンジンが搭載されている。

その充実した装備と広々としたスペースによる快適性、そして「スポーツコーチ」が製造した希少な個体であるということを考えれば、他にはない魅力を放つクルマであるということには異論ないだろう。