『すずめの戸締まり』聖地となった鷲羽山ハイランド が“廃墟扱い”に困惑「映画観て来た人はいない」
『すずめの戸締まり』
新海誠最新作は『君の名は。』超えの興行収入200億円突破へ! ファンが舞台となった各地を巡礼開始、現地の反応は?
「扉の向こうには、すべての時間があったーー」
新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』が日本中を席巻している。
「日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる “扉” を閉めていく少女・鈴芽の成長を描いたロードムービーです。11月11日に公開されて以降、『君の名は。』を超える勢いで興行収入が伸び続け、このままなら200億円を超える見通しです」(映画ライター)
同作で話題になっているのが、日本各地の風景描写だ。アニメーション研究家で『新海誠の世界を旅する 光と色彩の魔術』の著書もある津堅信之氏は、こう語る。
「新海監督の風景描写の手法は、映画を自主制作していたときからの真骨頂です。実際の風景を写真に撮り、それにデジタル加工するという新しい手法でした。実写以上の描写力が出てくるんです」
公開数日後から映画の舞台となった場所で熱心なファンたちが記念撮影する様子がネット上にアップされている。だが、 “聖地” となった各地を取材してみると、その反応は悲喜こもごもだった。
「9日間で来場者が400人も増えましたよ。紅葉が見ごろなのもありますが、嬉しいですね」(旧豊後森機関庫関係者)
「映画に登場した場所を撮影されている方を多く見受けます。SNSのフォロワー数も増えていて、ありがたいです」(道の駅 大谷海岸関係者)
一方、映画内で廃墟として描かれたブラジリアンパーク鷲羽山ハイランドの担当者は、困惑しているという。
「私たちのテーマパークは、明るく元気に、前向きに楽しんでもらう場所です。廃墟という描かれ方をされるのはちょっと……。映画を観て来園されたという方はおりません」
映画の存在を知らない人もいる。
「映画の “聖地” になっている? 知りませんね。でも確かに映像を見ると、ここですね(笑)」(湯平温泉の住人)
映画評論家の前田有一氏は、写写丸世代にもおすすめできる映画だという。
「『けんかをやめて』など、1980年代にヒットした曲が挿入歌として流れるんですよ。ロードムービーなので、登場した舞台を旅行先に加えることができるのも楽しみのひとつ。さらに、日本神話を下敷きにしたファンタジー作品なので、中高年でも臆せずに入りやすいと思います。新海監督は、デビュー当初はマニア向けの作品を製作していたのですが、『君の名は。』で、川村元気プロデューサーと一緒に仕事をするようになってから、世間にウケる作品を作れるようになりました。劇場で観る価値アリですよ」
“戸締まり” せずに旅してみてはいかが。