海外で急増する「折りたたみスマホ」、日本にないもの一気見せ!
サムスンの「Galaxy Z Fold4」「Galaxy Z Flip4」は画面を二つに折りたたむことのできる折りたたみスマートフォンという新しいジャンルの製品です。開くと7.6インチ画面の小型タブレットになるGalaxy Fold4、閉じると手のひらに収まるコンパクトサイズになるGalaxy Z Flip4とどちらも魅力的な製品ですが、価格が高めなことや折りたたみモデルの選択肢が少ないことから、まだ知名度はあまり高くありません。
ところが海外に目を向けると、すでに折りたたみスマートフォンは多くのメーカーから製品が出てきています。世界のスマートフォンのシェア上位メーカーのうち、アップル以外のメーカーはすべてラインナップの最上位モデルに折りたたみスマートフォンを加えているのです。それではどんな製品が出ているのか、特徴的な製品を紹介しましょう。参考に2022年11月時点での現地価格も記載します。なお折りたたみスマートフォンには横側に開く小型タブレットスタイルと、縦に開くスマートフォンスタイルの2種類があります。まずは横折式のモデルをいくつかピックアップしました。
折りたたみ方式も様々、大画面から小型サイズまで魅力的な横折り式モデル
1.シャオミ「Xiaomi MIX Fold 2」
日本でも格安スマートフォンを次々と出して存在感を高めつつあるシャオミも折りたたみスマートフォンを出しています。Xiaomi MIX Fold 2は角をシャープに仕上げた全体的にスクエア感の強いボディーが特徴で、画面サイズは開くと8.02インチ、閉じると6.56インチ。閉じたときの画面サイズは折りたたみスマートフォンの中で最大であり、閉じたときもスマートフォンとして使いやすい画面サイズです。本体サイズは開くと161.1×144.7×5.4mmで最薄サイズ。閉じると161.1×73.9×11.2mm、重量は262gになります。
カメラにも大きな特徴があり、老舗のカメラメーカーであるライカとコラボした5000万画素カメラを搭載しています。ライカならではのフィルム時代を思わせる味のある写真を撮ることができるというわけです。カメラは他に1300万画素の超広角、800万画素の2倍望遠を搭載。チップセットにSnapdragon 8+ Gen 1を搭載しており、価格は8999元(約12万2000円)です。
2.ファーウェイ「Mate Xs 2」
日本でのスマートフォン新製品の投入が停滞しているファーウェイですが、海外では現在も年間数モデルの新機種を投入しています。ファーウェイはサムスンと共に2019年から折りたたみスマートフォンを手掛けており、これまで数機種を販売してきました。最新モデルのMate Xs 2は他メーカーのモデルとは異なり、横に折りたたむタイプですが、画面は表示面を表にした状態で折りたたむ「山折り式」を採用しています。画面サイズは7.8インチ、本体サイズは開いたときが156.5×139.3×5.4mm、閉じたときが156.5×75.5×11.1mm、重量は255g。シャオミのXiaomi MIX Fold 2と並んで最薄モデルとなります。
カメラはシャオミ同様に5000万画素カメラを搭載。超広角1300万画素、光学3倍800万画素というトリプル仕上げ。なお以前ファーウェイはライカと協業していましたがライカはシャオミとのコラボに切り替えており、ファーウェイのこちらのモデルのカメラからはライカの名前が消えています。とはいえ「スマホのカメラと言えばファーウェイ」と誰もが認める実績をそのまま引き継いでおり、カメラも十分な性能を持っています。チップセットはSnapdragon 888を搭載、通信方式は4Gのみに対応し、価格は9999元(約20万2000円)となっています。
3.OPPO「Find N」
日本ではRenoシリーズを中心にしているOPPOも折りたたみスマートフォンを海外で販売しています。Find Nは折りたたみモデルながら本体の形状はやや小ぶり。横折り式ながら閉じたときはコンパクトな大きさで持ち運べるのが魅力になっています。画面サイズは開いたときが7.1インチ、閉じると5.49インチ。閉じたときの画面の縦横比は18:9で一般的なスマートフォンと変わらず、違和感なく使うことができます。サイズは開いたときが132.6×140.2×8.0mm、閉じると132.6×73×15.9mmで、厚みはあるものの閉じたときの大きさも他社品と比べると小型です。重量は275g。
小型ながらもカメラは5000万画素+1600万画素+1300万画素光学2倍望遠と手を抜かない設計。発売が2021年12月と他社の最新モデルよりやや早いこともあり、チップセットはSnapdargon 888を搭載するなど若干性能が劣りますが、それでもハイエンドモデルであることには変わりありません。また開いたときの画面の形状も横が長く縦が短いため、タブレット画面としても使いやすくできているわけです。価格は6989元(約14万1000)です。
カメラを強化したハイスペックモデルも登場
4.HONOR「Magic V」
HONOR(オナー)は元々ファーウェイのスマートフォンのサブブランドでしたが、現在は独立したメーカーになっています。ファーウェイ時代からの高品質なスマートフォン設計を引き継いでおり、HONORの製品はカメラ性能にも優れています。そのHONORの折りたたみスマートフォンMagic Vは、折りたたみスマートフォンの中でも最強のカメラスペックを誇ります。画面サイズは開くと7.9インチ、閉じると6.45インチ。本体サイズは開いたときが160.4×141.1×6.7mm、閉じたときが160.4×72.7×14.3mmです。重量は288g。
カメラは5000万画素の広角、5000万画素の超広角、5000万画素のスペクトル測定と3つの5000万画素カメラを搭載。さらにフロントカメラも4200万画素と超高解像度のものを外画面、内画面のどちらにも搭載。5つのカメラの総画素数は2億3400万画素にも達します。カメラ性能を重視しても購入できるモデルと言えるでしょう。チップセットはSnapdragon 8 Gen 1、価格は9999元(約20万2000円)です。
5.vivo「X Fold+」
vivoは日本に一切絡んでいない謎のスマートフォンメーカーと思われるかもしれません。しかし世界のスマートフォン出荷台数の上位に入る大手メーカーです。vivoは2022年4月に初の折りたたみX Foldを発売し、わずか5か月後の9月にチップセットを乗せ換えたマイナーチェンジモデルX Fold+を投入しました。画面サイズは閉じたときが8.03インチでこれは折りたたみスマートフォンの中で最大サイズ。閉じると6.53インチです。本体サイズは開くと162×144.9×6.3mm、閉じると162×74.5×14.6mm。重量は311gあります。
vivoもスマートフォンのカメラ性能には定評があり、ソニーのXperiaシリーズと同様にレンズメーカーのツアイスと提携したレンズを搭載しています。X Fold+のカメラは5000万画素+4800万画素超広角+1200万画素2倍望遠+800万画素5倍望遠。望遠を近距離、遠景と2つ搭載。デジタルで最大60倍の望遠撮影も可能です。チップセットはSnapdragon 8+ Gen 1。価格は9999元(約20万2000円)。
縦折り式はスタイル重視
続いて縦に折りたたむコンパクトモデルを紹介します。同じ折りたたみスマートフォンと言っても、縦折り式のモデルは開けば一般的なスマートフォンと大きさは変わりませんから、小さく持ち運べることや、たたんだときの外パネルの色を活かして身の回りのアクセサリのように使えることで、女性を中心に人気になっています。
1.ファーウェイ「Pocket S」
製品名にポケットとついていることからわかるように、縦折り式スマートフォンはたためばポケットにもすっぽりと入ってしまいます。ファーウェイが2022年11月に出したPocket Sは5988元(約12万1000円)と比較的買いやすい価格であり、パステル系の色も含めた5つのカラバリでファッション性を大きくアピールしています。開いたときの画面サイズは6.9インチ、本体サイズは開くと170×75.5×7.2mmですが、閉じると87.3×75.5×15.2mmと本当に小さくなります。
2.モトローラ「razr 2022」
モトローラは日本でも折りたたみスマートフォンを出していましたが、最新モデルrazr 2022は本体デザインを大きく変え、より使いやすさを追求した2022年モデル。最大の特徴は閉じたときもスマートフォンとしてある程度操作できるように大型の外画面を搭載していること。2.7インチ画面を上蓋に搭載することでカメラのプレビューやメッセージを読むなど閉じたままでも簡単な操作を行えます。開いたときの画面サイズは6.7インチ、本体サイズは開くと167.0×79.8×7.6mm、閉じると86.5×79.8×17mmで重量は200g。価格は5999元(約12万1000円)です。
折りたたみスマホはどこで買える? 日本への投入はある?
今回紹介した折りたたみスマートフォンは価格を見るといずれも人民元になっています。つまりこれらのモデルはすべて中国国内で販売されているのです。それでは中国以外では購入できないのでしょうか? 現時点ではファーウェイがアジアやヨーロッパの一部の国で製品を販売していますが、グーグルサービスが搭載されていないというデメリットもあります。またモトローラは中国以外への販売も今後行うと見られており、他にはHONORが次の折りたたみモデルからはグローバル展開すると明言。
シャオミやOPPOなど日本でもある程度知名度が高まっているメーカーは、ぜひ日本に折りたたみスマートフォンを出してほしいところです。価格が高価なことや折りたたみディスプレイの修理体制などを考えるとまだ投入するタイミングではないと考えているのかもしれません。しかしiPhoneの最上位モデルが20万円を越えているだけに、高価な製品でも性能や仕上げが優れていれば日本の消費者も興味を示す可能性は大いにあります。日本で実績のあるモトローラにはぜひrazr 2022の投入を期待したいものです。