インプラントは怖い!? 歯科医師が実際に経験したインプラントのリスクとは

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歯の抜歯が必要になったとき、インプラントが必要とよく聞きます。でもインプラントってインターネットで悪い書き込みをよく見かけるし、本当に安全なの? 痛くないの? どうしてもやらないといけないの? そのような患者の不安に歯科医の野崎先生が答えてくれました。

監修医師:
野崎 康弘(ジェイエムビル歯科医院 院長)

日本歯科大学卒業後、医療法人社団医恵会に勤務。平成8年にジェイエム歯科医院を開設。日本アンチエイジング歯科学会認定医、日本小児歯科学会会員、日本スポーツ歯科医学会会員。公益社団法人浅草歯科医師会地域医療理事なども務めていた。

リスクは「手術中の出血」と「手術後の神経麻痺」

編集部

インプラント治療とはどういうものですか?

野崎先生

先天的に歯がない、歯を抜くことになった場合などに、その場所に人工の歯根と義歯を作る治療のことです。アゴの骨にくっつける人工の根っこを埋め、そのうえに人工の歯を作っていきます。

編集部

インターネットではインプラントは危険だという書きこみを見かけますが、実際の危険性についてはいかがですか?

野崎先生

術前の診査を十分に行えばほとんどの危険は回避できますが、稀に起きる症状はふたつ。ひとつは術中の出血、もうひとつは術後の神経麻痺です。

編集部

実際にリスクはあるんですね。術中の出血はどのようなときに起こるのですか?

野崎先生

下顎の骨の中にある、下歯槽管と呼ばれる血管に触れてしまうと、大量出血が起こる場合があります。そうならないように、CTを撮るなど術前の検査をしっかりと行い、大きな血管の位置を把握して治療にのぞみます。きちんとした手順を踏めば、出血による重大事故が起こる可能性は極めて低いと言えます。

編集部

きちんと検査してくれる歯医者で手術すれば安心ですね。では、術後の神経麻痺はなぜ起きるのですか?

野崎先生

インプラントに限らず、抜歯などの外科処置には常に麻痺の可能性はありますし、麻酔ひとつでも神経麻痺の可能性はあります。ただ、麻痺が起きるか否かは術後にしかわかりません。ビタミン剤の内服で症状は軽くなることがほとんどですが、完治までに時間を要するケースが多く見られます。

編集部

神経麻痺と聞くとなんだか怖いですね。実際に起こる可能性はどれくらいあるのですか?

野崎先生

私が28年間歯科医をしてきて神経麻痺が起きたのは、2件のみです。どちらもその後の治療で元通りに回復しました。後遺症が残ったケースはありません。

編集部

よかったー。後遺症は怖いので安心しました。

インプラント治療後はメンテナンスが大切

編集部

その他の注意点はありますか?

野崎先生

インプラント治療をした後は、定期的なメンテナンスをお願いしています。目安は半年に一度くらいですが、状態確認、汚れの除去を中心に行います。清潔な状態を保っていれば大きなトラブルは起きづらいですが、メンテナンスを怠るとインプラントがダメになってしまうこともあります。

編集部

ダメになった場合はどうしたらいいのですか?

野崎先生

色々な選択肢がありますが、基本的にはインプラントの除去をおすすめします。新しいインプラントを入れなおす、ということですね。汚れにより菌が感染するとまわりの骨が少なくなってしまい、次の歯をインプラントする際に大きな影響を与えてしまいます。骨を残すためにも、菌が感染したときは早めに除去するのがいいでしょう。インプラントの入れ直しは費用的にも心理的にも負担が大きいので、定期的なメンテナンスを受けることが大切なのです。

編集部

分かりました。インプラントを入れたら、メンテナンスは絶対やらないといけないですね。最後に、インプラントをする前に、先生に確認した方がいいことはありますか?

野崎先生

体調が良くない時は処置を避けたほうが無難ですので、手術当日の体調不良は歯医者にきちんと伝えましょう。担当医が難しいと判断した場合、日を改めて行うことになると思います。血液の病気や血糖値なども重要ですので、問診票に正しく記入してください。

編集部まとめ

事前の検査により健康な状態であれば、インプラント治療に伴うリスクはほとんどないと言えます。ただ、インプラント治療の後も安心せずに、定期的なメンテナンスがマスト。口の中を清潔に保っていれば、痛みのない健康な生活が過ごせそうです。

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