『ドラえもん』のスネ夫役をはじめ、『鬼滅の刃』の不死川実弥役や『呪術廻戦』のパンダ役など、話題作に多数出演し、ESSEonlineでもエッセイを連載中の人気声優・関智一さん。現在は舞台『立て!マジンガーZ!!』の公演を11月に控え、多忙な日々を過ごしています。

関智一さんインタビュー「理想の50代に寄せていっている」

今回は連載の番外編として、幼少期や50代を迎えた日のことなど…プライベートなお話をご本人にたっぷり伺いました!

●SNSの反応をうまい感じで利用している

――7月から連載コラムがスタートしましたが、周りの方からなにか言われたことなどありましたか?

関智一さん(以下関):僕に直接なにかを言う人は今のところいないです(笑)。ただうれしいことに、ファンの人たちが記事に共感してくれたり、喜んでくださっているということは聞きました。今後はまだ僕を知らない人とかにも見ていただけたらいいですね。

――ESSEのTwitterでも、毎回多くの“いいね”や“引用RT(リツイート)”がつくなど反響がありますが、こういったSNSの反応などはご存知でしたか?

関:もちろんです! 連載のほかでも自分に関することは気になるタイプなので、ちょいちょいエゴサーチとかしてチェックしてます。「確かにそうかもな…」と感じたことはいろいろと取り入れたいですし、逆に反骨精神に火がついてもっとがんばろうと思ったり(笑)。うまい感じで自分に利用してます。

――なるほど。それでは連載で関さんにお願いしたいことがあったら、SNSで反応すれば関さんに見ていただけるかもしれませんね(笑)。ちなみに、ご自身の性格は“ポジティブ”と“ネガティブ”だとどちらに当てはまりますか?

関:ネガティブなことも考えますが、あんまり長引かないタイプ。根が短絡的なところや、怠け者っていうところもありますが、なにか継続して思い悩むということはないですね。パッと瞬間的にネガティブになることもありますが、「考えてもしょうがいないしな…」と気分を切り替えることは上手な方かなとは思います。

●上手に立ち回っていた子ども時代

ーー関さんのお話を聞くと、負の感情とも上手にお付き合いされていると感じますが、その切り替えのうまさは子どもの頃からでしたか?

関:そうかもしれないですね。記憶に残っているのは、中学1年生くらいのときに、隣の席の女の子と仲良く話していたら、「好きなんだろう」って感じで噂になり、周りから結構冷やかされたんですよ。当時は思春期真っ只中だったので、恥ずかしさや、学校に行くのがイヤだな…って気持ちになってしまって。

でも、そうやって悩んでいたら、ふと夏休みまであと少しくらいだということに気づいたんですよ。夏休みが始まったらそれなりの日にちが経つわけで…「人の噂も75日」ということでみんな言わなくなるだろうと、頭の中で整理して考えたら気がラクになりました。

――子どもながらも大人びた考えをお持ちだったんですね! そういう風に考えるきっかけはなにかあったのでしょうか?

関:なんでですかね…?(笑)。でも、ひとりっ子で、両親も共働きであまり会話するタイミングもなかったので、考える時間や自分で解決しないといけないことも多かったですね。だから自然と自問自答するということが身についていき、頭の中で考えて整理して折り合いつけるのが得意になったんだと思います。

学校の先生からも「なにを考えているかわからない」と言われて、周りほど頭ごなしに怒られるということはなかったですし。怒られる前に先手を打って上手に立ち回る“ずる賢い”タイプというか…そういう落ち着いた面がある一方で、「みんなの前で目立ちたい」というおちゃらけた部分もありましたよ。

●怒られるのがイヤだし、それを恥ずかしいと思った

ーー聞けば聞くほど、“関少年”は子どもとは思えないエピソードをおもちですね。

関:みなさんもそうかもしれませんが、小学生の頃とか親から「いい子」ってほめられるとその気になりますよね。だから自分は賢くていい子だと思っていましたが…両親以外の方に叱られたときに、己の浅はかさに気づかされすごく恥ずかしかったんです。「自分はいい子だと思ってたのに、意外と全然悪いやつじゃん…」みたいな。

そのギャップを埋めたくて、悪さをして叱られたときは再度怒られないように原因やそのあとの言い訳の仕方とか、そういうものを自分なりに精査して次に生かしていきました。そうした積み重ねこそが、「頭の中で整理する、考える」ということにつながったんじゃないですかね。

●両親以外から怒られた経験から学んだ大切なこと

――たしかに、怒られることで「ドキッ」と気づくこともありますよね。

関:親がしつけとして子どもを叱ることは多々あり、僕も例外ではなく怒られてきたのですが…それよりも、親戚やなにかで知り合った方に怒られたことの方が強く記憶に残ってますね。

すごく覚えているのは、親族でトランプゲームをした際に、ルールを知らないから参加しないということをひねくれた感じで伝えたら、叔母さんに「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」って言われたんですよ。小学生だった僕は初めてその言葉を聞いたんですけど、ものすごく恥ずかしくて、自分は恥なことをしてしまったんだ…と感じましたね。

そこから「人から教えを乞うということを恥ずかしがっていると一生それを知らないままで恥ずかしい」とわかり、次からは積極的に学ぼう、教えてもらおうという気持ちになったのを今でも覚えています。ほかにも、悪いと思ったことに対しては言い訳せずに素直に認めて謝罪するってことも、怒られた経験から学びました。

●理想の50歳、現実の50歳

ーー持ち前の頭の回転の速さで物事を合理的に考えてこられたんですね…。先月50歳のお誕生日を迎えられたかと思うのですが、その瞬間はなにを考えられましたか?

関:未来の年齢だと思っていた50歳が、ついにきてしまった…! そう思いましたね。不自由に感じることとか、衰えていくなにか、といったものはありますが、それが変えられないならそのなかで楽しもう…! という、諦めやワクワクが入り混じったような気持ちで迎えましたね。

――先ほどお話伺った“関少年”からみて、今の関さんは自分が理想としていた50歳を迎えられたと思いますか?

関:小さい頃に思い描いていた50歳は、なんでも知ってて動揺もしないし、肉体的にも元気で…それこそもう仙人の入り口的なそんなイメージでした(笑)。でもいざ自分がなってみると実際は知らないことも多く、肉体は衰えてきても内面はまだ子どもだなって。ただ、今はいろいろ調べて勉強したり、挑戦したい気持ちにはなっているので、思い描いていた50代に自分が寄せにいこうとしてるのかもしれませんね。

あとは20代・30代のときにまだおこがましいとか早すぎるとか思って先延ばししていたことを、このまま謙遜ばかりしていたら、結局なにもできないまま終わるとすごく思いました。やれそうなことや多少無理をしたらできそうなことはどんどんやった方がいい。だからこれからは、自分自身をちょっと認めて称えながら、背中を押して、やれることを挑戦していきたいですし、この連載でもいろんな経験ができたらうれしいです!

☆今月の関智通信☆

今月は11月下旬から本番が始まる、劇団の公演準備に追われまくってます。2年前にコロナの影響で中止になったマジンガーZを原作にした舞台公演がマジンガーZ誕生50周年の今年、満を持してついに復活します! ぜひ遊びにきてくださいね。