【プロが解説】トレイルランニングシューズの選び方やシューズの特徴とは?

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アウトドアブームの今、登山道や林道を駆け抜ける「トレイルランニング」が注目を集めています。

そんなトレイルランニング(トレラン)を楽しむためには、専用のトレイルランニングシューズが必要不可欠です。しかし、トレイルランニングシューズは種類が多く、どれを選べば良いのか悩んでしまいます。

そこで今回、数々のトレイルレース優勝経験を持ち、Tsukuba Strides Running Clubの代表を務める半田佑之介さんに、トレランシューズ選びのポイントを教えてもらいました。

<プロフィール>

半田佑之介さん

Tsukuba Strides Running Club代表。國學院大學時代は陸上競技部主将。大学卒業後、福島県須賀川消防本部で8年間レスキュー隊員、救急隊員を務める。退職後、筑波大学大学院博士前期課程修了(健康体力学ヘルスフィットコース)。戸隠トレイルランレース、富士山麓トレイルランレース、菅平トレイルランレースで優勝経験あり。

トレイルランニングにおけるシューズ選びの重要性

トレイルランニングを始めるにあたり、まず用意したいのがシューズです。

一般的なランニングシューズでも走れないことはありませんが、トレイルランニング専用シューズは、ソールが硬めに設計されており、また不整地でもしっかりとグリップ力を発揮するように作られています。

「トレイルランニングでは、シューズが一番重要なギアです。転倒しにくい、木や岩に足をぶつけたときにケガしづらいなど、安全にトレイルを楽しむために必要です。ウェアは動きやすいものなら何でもOKですが、シューズは自分の身を守るためにもトレラン専用のものを選びましょう。」(半田さん)

トレイルランニングシューズはフィールドに合わせて選ぶ

そんなトレイルランニングシューズは、フィールドに合わせて選ぶのがポイント。大きく分けて「石/岩場」「泥/ぬかるみ」「森林」「舗装路」の4つのフィールド向けに作られています。

「主な違いはソールのパターンです。例えば、岩場向けのシューズは靴底の凹凸(スタッド、ラグ)が低めで大きく、泥やぬかるみ向けのシューズは凹凸が高くて小さく、ややとがった形状になっています。」(半田さん)

フィールドに合ったトレランシューズを履くと走りやすいと半田さんは話します。自分がよく行くフィールドや、好きなフィールドに合わせてシューズを選ぶと良いそうです。

「フィールドに合わせて履くシューズを変えるのが理想ですが、それはなかなか難しいかもしれません。その場合は、比較的オールラウンダーな作りになっている岩場向けや森林向けのシューズがおすすめです。」(半田さん)

半田さんも愛用するinov-8のトレイルランニングシューズ

仕事でもプライベートでもトレイルランニングを楽しんでいる半田さん。そんなトレランのプロが愛用しているのが、「inov-8(イノヴェイト)」のトレイルランニングシューズです。

inov-8は、2003年にイギリスで誕生したオフロードシューズブランド。

ナチュラルで軽量、抜群のグリップ力を追求し続け、トレイルランニングのみならずトレーニングやハイキングなど幅広いシーンに向けたアイテムを展開しています。

inov-8のトレランシューズは、半田さんが愛用していることからも分かるようにハイクオリティ。初心者~上級者までを対象に作られた高機能シューズとなっています。

今回はそんなinov-8のトレイルランニングシューズ全10型を、半田さんの解説と併せて紹介します。ぜひシューズ選びの参考にしてみてください。

「石/岩場」におすすめのトレランシューズ

inov-8の石/岩場向けのモデルは、「FLYULTRA」シリーズです。長距離向けに設計されていて、クッション性も高くオールラウンドに対応します。

グラフェン搭載のオールラウンダー向け「FLYULTRA G 300 MAX MS」

世界で初めてグラフェンをミッドソールに使用した、ウルトラトレイルに適した長距離対応モデル。タフなトレイルトラクションを実現し、長距離を走行する際にも足の自然な変化に適応するモデル。

10mmのアダプターフレックスグルーブがさまざまな起伏・形状の地形に対応。アウトソールにもグラフェンを使用し、粘着性のあるトラクションと耐久性向上を実現。

スルーハイクにも着用可能なユーティリティモデル。6mmドロップで安定感のある走りが可能(ドロップ=つま先とかかとのソールの厚さの差、靴の前後の高低差)。

「これは岩場向けですが、どちらかと言うとオールラウンダー向け。その理由として、ほかのモデルよりもソールがすごく厚いんですよ。かかとにかかる負担、足にかかる衝撃を軽減してくれます。」(半田さん)

FLYULTRA G 300 MAX MS

トレイル > ロード
中距離 < 長距離
クッション性★★★★★
グリップ力★★★★★
軽量性★★★☆☆

 

グラフェン搭載の長距離向けの「FLYULTRA G 270 V2 MS」

こちらもウルトラトレイル向けに開発されたモデル。フラットなロード、泥ねい地、岩場、牧草地など、レース中に起こる路面の変化に対応し、長距離の走行に耐え得るための装備を併せ持つハイスペックモデル。

アウトソールにはグリップ性と耐久性のあるグラフェン素材を採用し、ミッドソールにはクッション性と反発性を考慮したPOWERFLOWを搭載。

コンフォートなフィット5(3E相当)の幅広設計で、スピードのある走りをサポートする0mmドロップ構造。

「アウトソールにグラフェン、つまりグラファイトという炭素素材が入っています。これが入ることによってソールが消耗しづらいという特徴があります。」(半田さん)

【11月販売予定】FLYULTRA G 270 V2 MS

トレイル > ロード
中距離  < 長距離
クッション性★★★★☆
グリップ力★★★★★
軽量性★★★☆☆

 

スピードを求めるトレイルランナーにおすすめの「FLYULTRA 250 MS」

スピードを求めるトレイルランナーにおすすめの軽量な0mmドロップモデル。足の甲全体への接着面を考慮し、パッド入りのシュータンを採用。フィット4(2.5E相当)の幅広設計で汎用性の高い1足。

「軽いので、もう少しスピードが上げられそうだなという人におすすめです。その分少し衝撃がかかるので、ほかのモデルと比べて短い距離を走るのに向いています。岩場向けですがオールラウンドに対応し、ランニングシューズ感覚で履けるようなタイプですね。」(半田さん)

【11月販売予定】FLYULTRA 250 MS

トレイル > ロード
中距離  < 長距離
クッション性★★★★☆
グリップ力★★★☆☆
軽量性★★★★☆

「泥/ぬかるみ」におすすめのトレランシューズ

inov-8の泥/ぬかるみに適したモデルは、「X-TALON」シリーズです。ほかのシューズより靴底の凹凸が高くて小さいため、ぬかるんだフィールドでも足を取られにくい作りになっています。

その反面、接地面積が少ないので舗装路にはあまり向いていません。

ぬかるんだフィールドに強い「X-TALON ULTRA 260 MS V2」

グリップ力とクッション性を併せ持ち、さまざまなタイプのレース、本格派ランナーからエントリーユーザーまで幅広い層に適したモデル。

X-TALONシリーズのなかでもゆったりとした足入れ感で、アウトソールには2種類の硬度を組み合わせたDUAL-Cラバーを採用。

「クッション性と反発性を両立させた、POWERFLOW MAXというミッドソールを採用した長距離向けモデルです。靴底の凹凸が前足部は三角形で、かかとのほうは逆三角形になっているのも特徴で、これにより横滑りも斜めにも滑りにくくなっています。

ほかのモデルよりもドロドロにぬかるんだフィールドに強い1足です。」(半田さん)

X-TALON ULTRA 260 MS V2

トレイル > ロード
中距離  < 長距離
クッション性★★★★☆
グリップ力★★★☆☆
軽量性★★★★☆

 

軽量でグリップ力のある「X-TALON 212 MS V2」

2008年に発売され、その軽量性とグリップ力が多くのトレイルランナーに愛されたinov-8を代表するモデル。

オリジナルスペックの強みを継承しながら、アウトソールのラバーを粘性の高いSTICKY GRIPラバーにアップデートし、グリップ力がさらに向上。

「ぬかるんだ滑りやすいフィールドでもグリップ力を発揮するソールを搭載しています。靴底の凹凸は四角形で、どちらかと言うとクロスカントリーに近いモデルですね。ほかよりも軽いのでスピードを求める人におすすめ。」(半田さん)

X-TALON 212 MS V2

トレイル > ロード
中距離  < 長距離
クッション性★★☆☆☆
グリップ力★★★★☆
軽量性★★★★★

 

ゆったりとした足入れ感の「X-TALON 255 MS」

グリップ力の高いSTICKY GRIPアウトソールを採用。ゆったりとした足入れ感(フィット4=2.5E相当)も特徴。3mmドロップ構造で、より素足感覚で走行できる中距離ランナー向け。

「X-TALON 212に似ていますが、こちらのほうが少しだけ重く、その分足の保護性が高い作りになっています。あと、ほかの2足がそれぞれ8mmドロップ、6mmドロップなのに対し、3mmドロップ構造という点も特徴です。」(半田さん)

X-TALON 255 MS

トレイル > ロード
中距離  < 長距離
クッション性★★☆☆☆
グリップ力★★★★☆
軽量性★★★★☆

「森林」におすすめのトレランシューズ

inov-8の森林向けモデルは、「TRAILTALON」シリーズです。クッション性と反発性を備えたバランスの良いオールラウンドモデルなので、初めてトレイルランニングに挑戦する人にもおすすめです。

トレイルにもロードにも活躍する「TRAILTALON 290 V2 MS」

トレイル、ロードいずれに対しても安定した走行に配慮した、中長距離用のオールラウンドモデル。低めの4mm三角形状のラグを搭載したアウトソールは、クッション性、グリップ力と走行時の安定性を実現。

ミッドソールにはクッション性と反発性のあるPOWERFLOWを搭載。アッパーにはフィット感の高いADAPTERFITを採用。

国内のトレイルレースに多く見られる、比較的ロードの区間が長いフォーマットにも適したモデル。

「ランニングシューズに近いモデルですが、やはりロードシューズよりソールがしっかりしています。ソール自体も厚いのでクッション性が高く、アッパーも足を保護してくれる作りになっているので、初心者の方も安心して履ける1足です。」(半田さん)

TRAILTALON 290 V2 MS

トレイル < ロード
中距離  > 長距離
クッション性★★★☆☆
グリップ力★★★☆☆
軽量性★★★☆☆

 

短中距離向けの軽量スピードモデル「TRAILTALON 235 V2 MS」

短中距離向けの軽量スピードモデル。走行時の安定性やクッション性、グリップ力を考慮し、アウトソールには低めの4mm三角形状のラグを搭載。ミッドソールにはPOWERFLOWを搭載し、クッション性と反発性を考慮。

「TRAILTALON 290と非常に似ていますが、こちらのほうがアッパーが薄くて軽いので、スピードを重視する人におすすめです。森林向けのモデルは、フィールドが険しくないので履きやすいシューズとなっています。」(半田さん)

TRAILTALON 235 V2 MS

トレイル < ロード
中距離  > 長距離
クッション性★★★☆☆
グリップ力★★★☆☆
軽量性★★★★★

「舗装路」におすすめトレランシューズ

inov-8の舗装路向けモデルは、「PARKCLAW」シリーズです。靴底の凹凸が低く、クッション性もあるためランニングシューズ感覚で履きやすいのが特徴です。

初心者におすすめ「PARKCLAW G 280 MS」

グラフェンをミッドソールにコンパウンドしたG-FLYを搭載することで、反発性が格段に向上した、PARKCLAWの新モデル。

前足部にゆとりを持たせた幅広設計と高い反発性により、スタートからゴールまで快適な走行が可能。

「ソールが柔らかくクッション性が増しているので、厚底ランニングシューズのような感覚で履けますね。ソールのラグパターンもアップデートされていて、接地面積が広くなっています。」(半田さん)

PARKCLAW G 280 MS

トレイル < ロード
中距離  > 長距離
クッション性★★★★★
グリップ力★★★☆☆
軽量性★★★☆☆

 

ロードにもトレイルにも汎用性の高い「PARKCLAW 260 KNIT MS」

ロード、トレイルいずれにおいてもパフォーマンスを発揮するよう設計されたハイブリッドモデル。

ニットアッパーとフィット5(3E相当)の幅広設計により、快適な着用感を実現。レース、トレーニング問わず対応する汎用性の高い1足。

「ランニングシューズ感覚で履けるモデルです。とはいえロードシューズとは違い、草原などでしっかり蹴り出せるところが特徴です。また、ニットアッパーにより、足を包み込むような履き心地になっているので安心感があります。」(半田さん)

PARKCLAW 260 KNIT MS

トレイル < ロード
中距離  > 長距離
クッション性★★★☆☆
グリップ力★★★☆☆
軽量性★★★★☆

トレランシューズさえあればすぐに始められる!

inov-8のトレイルランニングシューズのフルラインナップはいかがでしたか。それぞれフィールドに合わせた特徴があることが分かったのではないでしょうか。

登山などは装備品を一式そろえないと始められませんが、トレイルランニングは動きやすいウェアと専用シューズがあればすぐに始められるのも魅力です。

「トレイルランニングは自然を楽しむもの。景色を楽しみながら歩いても良いし、走りたくなったら走れば良いんです。ロードのランニングとは違いトレーニングではないので、気軽に始めてみてほしいですね。」(半田さん)

トレイルランニングは急坂や険しいフィールドを駆け抜けるイメージがありますが、半田さんはなだらかで気持ち良く走れる場所が好きとのこと。

まずはオールラウンダーなシューズを手に入れて、自分の好きなフィールドを探すところから始めるのも良いかもしれませんね。