【高校野球】埼玉の強豪・山村学園の独自の“冬練” アイディア企画「ウインターリーグ」とは?
スカウトも注目…高校通算37発・坪井蒼汰内野手のパワー育んだ冬メニュー
今秋の関東大会にも出場した山村学園(埼玉)は徐々に力をつけて、県内でも強豪高校のひとつになった。夏まで中心打者だった坪井蒼汰内野手は、高校通算37本塁打を誇る右の大型三塁手で、ドラフト指名はならなかったが、将来を期待される長距離砲に成長。春に出場した関東大会で1試合2発を放ったことでスカウトからの注目を浴び、夏の埼玉大会は準決勝で惜しくも敗退もベスト4までの6試合で2本塁打とパワーを見せつけた。その源となったのは、同校の冬メニュー「ウインターリーグ」にあった。
「ウインターリーグ」は、山村学園硬式野球部の“伝統的”な行事でもある。対外試合が禁止されている12月から2月に、約50人いる部員を4チームに分けたリーグ戦のことを指す。1日に2試合以上をこなす。
坪井を中心とした主力4選手が各チームの主将として“勝てるチーム”のメンバー編成をしていく。リーグ戦に負けたらランメニューが課されるため、ナインは意地でも勝ちにいきたくなる。本塁から右翼ポールをタッチして、左翼ポールのもとへ行き、ホームベースに戻ってくる。これでダッシュ1本の計算。それを2位チームは2本、3位チームは3本、4位は5本と課されるという。
2チームが試合を行なっている間、他の2チームはトレーニング。試合が終わったタイミングで、気が付いたことを各チームでミーティングを行う時間も作っている。そして、各チームで話した内容を全体ミーティングで共有し、次の試合に向けて修正していく。選手たちの自主性を育んでいる。
チームの主砲であった坪井は「1年生の冬から春にかけて、ウインターリーグを通じて、試合をこなすことで、打球が飛ぶようになった」と100を超える打席数を経験することで、スイングの力がついたことを実感している。昨冬のリーグ戦は対戦から打率、盗塁など数値化し、順位付け。秋のメンバーに漏れた選手が、ひと冬を越え、春のベンチ入りメンバーになることもこれまでも多くあった。効果の大きい、効率のよい冬の実戦練習となるだろう。(津久井智子 / Tomoko Tsukui)